鳴海弦
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占いとかそういった類いはあまり信じていないのに、いざ見てしまうとそんな気になってしまうのはなぜだろう。いや、そんな気になってしまうからこそあまり見ないようにしている、が正しいかもしれない。
私は床に転がる空き缶を手元のごみ袋に投げ入れながらはぁ、と溜め息を零した。
「おい、ボクの目の前で溜め息とはいい度胸だな」
眉間に皺を寄せ私を睨みつけるのはこの部屋の主である鳴海隊長だ。ごろんと布団に横になってピコピコとゲームに勤しんでいる。
「失礼しました」
私だってわざと鳴海隊長の前で溜め息を吐こうと思ったわけじゃない。彼の寝そべっている布団を中心にごみが散らばっているから仕方なくそうなってしまっただけなのだ。
無意識にまた溜め息を吐きそうになって慌てて飲み込む。けれど鳴海隊長にはばれていたようで、何があったのか話せと目で告げてくる。
珍しい。他人のことにはあまり興味がなさそうなのに。
私はぽつりと呟いた。
「実はお正月に友人とおみくじを引きまして」
「は? おみくじ?」
神妙に頷く。そう、おみくじである。
友人と初詣に行き、一緒に引こうと誘われるままおみくじを引いたのだけど、それが良くなかった。
結果は吉とそれなりに良かったのに、内容がイマイチだったのだ。どれもあまりパッとせず、待ち人にいたっては「来ず」とはっきり書かれていて。去年恋人に二股をかけられ散々な思いをし、今年こそはと思っていた矢先の出来事だったから溜め息くらい吐きたくもなる。
「お前、さっきからそんなことで溜め息を吐いてたのか」
「そんなことって、私にとっては一大事ですよ。今年こそは素敵な彼氏を作って幸せになるんだって思ってたのに」
出鼻を挫かれるとはまさにこのことだ。やる気がしおしおと失われていく。
落ち込む私に鳴海隊長はくだらんとばかりに鼻を鳴らした。
「そんなものに一喜一憂するやつの気がしれん。まあそこまで落ち込むなら考え方を変えるって手もあるがな」
「考え方を変える?」
私はぽかんと口を開けた。
そっか、見方を変えればいいんだ。確かにおみくじの通りなら、私に待ち人は来ないのかもしれない。でもいるかどうかもわからない人を落ち込みながら待つくらいなら、気の合う人を自分で探したほうがいい。
そうと決まればーー。私はスマホを取り出して手早く指先を動かした。
「おい、何をしている?」
「何ってマッチングアプリです!」
「はあぁぁぁ!? 何でそうなる!!」
突然手が伸びてきたと思ったらがしりと両頬を掴まれ、無理矢理顔をスマホ画面から鳴海隊長のほうへと向けさせられた。
「いたたたっ!?」
目の前の彼はなぜか怒っている様子で、アドバイス通りに見方を変えて行動したのにどうしてと私は頭上に疑問符を浮かべた。
「マッチングアプリなんてする必要ないだろ!」
「だって待ち人が来ないなら自分で探さないと……」
「お前の目は節穴か!?」
鳴海隊長が覗き込むように顔を近づけてきた。そして私は、その顔が微かに赤く染まっていることに気づいてしまう。
「お、お前は……待ち人がここにいるとは考えないのか!」
私は床に転がる空き缶を手元のごみ袋に投げ入れながらはぁ、と溜め息を零した。
「おい、ボクの目の前で溜め息とはいい度胸だな」
眉間に皺を寄せ私を睨みつけるのはこの部屋の主である鳴海隊長だ。ごろんと布団に横になってピコピコとゲームに勤しんでいる。
「失礼しました」
私だってわざと鳴海隊長の前で溜め息を吐こうと思ったわけじゃない。彼の寝そべっている布団を中心にごみが散らばっているから仕方なくそうなってしまっただけなのだ。
無意識にまた溜め息を吐きそうになって慌てて飲み込む。けれど鳴海隊長にはばれていたようで、何があったのか話せと目で告げてくる。
珍しい。他人のことにはあまり興味がなさそうなのに。
私はぽつりと呟いた。
「実はお正月に友人とおみくじを引きまして」
「は? おみくじ?」
神妙に頷く。そう、おみくじである。
友人と初詣に行き、一緒に引こうと誘われるままおみくじを引いたのだけど、それが良くなかった。
結果は吉とそれなりに良かったのに、内容がイマイチだったのだ。どれもあまりパッとせず、待ち人にいたっては「来ず」とはっきり書かれていて。去年恋人に二股をかけられ散々な思いをし、今年こそはと思っていた矢先の出来事だったから溜め息くらい吐きたくもなる。
「お前、さっきからそんなことで溜め息を吐いてたのか」
「そんなことって、私にとっては一大事ですよ。今年こそは素敵な彼氏を作って幸せになるんだって思ってたのに」
出鼻を挫かれるとはまさにこのことだ。やる気がしおしおと失われていく。
落ち込む私に鳴海隊長はくだらんとばかりに鼻を鳴らした。
「そんなものに一喜一憂するやつの気がしれん。まあそこまで落ち込むなら考え方を変えるって手もあるがな」
「考え方を変える?」
私はぽかんと口を開けた。
そっか、見方を変えればいいんだ。確かにおみくじの通りなら、私に待ち人は来ないのかもしれない。でもいるかどうかもわからない人を落ち込みながら待つくらいなら、気の合う人を自分で探したほうがいい。
そうと決まればーー。私はスマホを取り出して手早く指先を動かした。
「おい、何をしている?」
「何ってマッチングアプリです!」
「はあぁぁぁ!? 何でそうなる!!」
突然手が伸びてきたと思ったらがしりと両頬を掴まれ、無理矢理顔をスマホ画面から鳴海隊長のほうへと向けさせられた。
「いたたたっ!?」
目の前の彼はなぜか怒っている様子で、アドバイス通りに見方を変えて行動したのにどうしてと私は頭上に疑問符を浮かべた。
「マッチングアプリなんてする必要ないだろ!」
「だって待ち人が来ないなら自分で探さないと……」
「お前の目は節穴か!?」
鳴海隊長が覗き込むように顔を近づけてきた。そして私は、その顔が微かに赤く染まっていることに気づいてしまう。
「お、お前は……待ち人がここにいるとは考えないのか!」
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