保科宗四郎
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何てことない日常の一幕。
深夜、カチャリと鍵の開く音がして恋人である宗四郎さんが帰宅した。
「おかえりなさい」
「ただいま」
同じ勤務時間だというのに私のほうが先に帰宅したのは、宗四郎さんに緊急の会議が入ったからだ。日本防衛隊第3部隊、その副隊長ともなれば多忙なのは当然。
だから最初は、疲れているせいだろうと思った。けれどぽつぽつと交わす会話の返事はいつまで経ってもそっけない。
あれ、もしかして怒ってる……?
そう気づけたのは恋人という関係になってそれなりに経つからだ。上司と部下という間柄では、宗四郎さんは絶対にプライベートな一面を見せてはくれない。なんなら恋人になってから知る一面のほうが多くて驚いたくらいだ。
それを本人に伝えれば「こっちの台詞や」と言い返されたものだけど。
とにかく今は、一刻も早く宗四郎さんが怒っている原因を突き止めなければ。ただでさえ二人きりで過ごす時間が少ないのに、このままギスギスして終わるのはごめんだ。
思い当たる節は……それなりにある。
「あの……」
「……」
「宗四郎さんのアイス、勝手に食べてすみませんでした」
私の懺悔に宗四郎さんが呆れたように息を吐いてから、鋭い視線を送ってくる。どうやら怒っている理由はこれではないらしい。
じゃあティッシュを出すのを忘れて洗濯機を回してしまったこと? それともこの前時間を忘れて訓練場にこもっていたことだろうか。
つらつらと余罪を並べるも、宗四郎さんの表情は変わらない。それどころか険しさを増しているようにも見える。
「まだ他に言うべきことがあるやろ」
私は微かに息を呑んだ。宗四郎さんの声のトーンが一段階下がったからだ。
「今日、任務の時に……」
私は今日、出動要請がかかった時のことを思い出す。
被害はそれほど大きくはなかった。本獣を討伐し、余獣もあらかた片付けた後のこと。瓦礫の下敷きになっている一般人を見つけすぐさま助けに入った私は、生き残っていた余獣が迫っていることに気づけなかった。咄嗟にシールドを展開したものの、他の同僚が駆けつけて対処してくれなければ助け出した怪我人諸共ただでは済まなかっただろう。
一人で勝手に行動せず、まずは仲間に連絡すべきだった。自身でも深く反省しているし、小隊長からも同様のことを厳しく言われた。
ただそれが宗四郎さんの耳にも届いているとは思わなかった。彼のいない現場だったし、表向きには一隊員が無謀なことをして小隊長から注意を受けた、それだけのことだ。
副隊長に報告するほどのことではないだろうと、私からも宗四郎さんには伝えていなかったのだけど。
ーーうそ。本当はそんな顔をさせてしまうとわかっていたから、宗四郎さんには伝えたくなかったのだ。
「僕が怒っとる理由、もうわかったな」
「はい」
ごめんなさいと頭を下げると宗四郎さんが私の頭をくしゃりと撫でた。
それから心配そうに私を見つめる彼が言葉を飲み込んだのを、見なかったことにする。
もう二度と危険な真似はしないでほしい。
そう思いはしても、口にできないのはお互い様だ。防衛隊員である限り、命の危険は常にある。私も宗四郎さんも、危険を冒さなければならない場面はこの先もきっとあるだろう。
だからーー。いやだからこそ、もう宗四郎さんにこんな顔させないためにも、私は今日のことを改めて反省したのだった。
深夜、カチャリと鍵の開く音がして恋人である宗四郎さんが帰宅した。
「おかえりなさい」
「ただいま」
同じ勤務時間だというのに私のほうが先に帰宅したのは、宗四郎さんに緊急の会議が入ったからだ。日本防衛隊第3部隊、その副隊長ともなれば多忙なのは当然。
だから最初は、疲れているせいだろうと思った。けれどぽつぽつと交わす会話の返事はいつまで経ってもそっけない。
あれ、もしかして怒ってる……?
そう気づけたのは恋人という関係になってそれなりに経つからだ。上司と部下という間柄では、宗四郎さんは絶対にプライベートな一面を見せてはくれない。なんなら恋人になってから知る一面のほうが多くて驚いたくらいだ。
それを本人に伝えれば「こっちの台詞や」と言い返されたものだけど。
とにかく今は、一刻も早く宗四郎さんが怒っている原因を突き止めなければ。ただでさえ二人きりで過ごす時間が少ないのに、このままギスギスして終わるのはごめんだ。
思い当たる節は……それなりにある。
「あの……」
「……」
「宗四郎さんのアイス、勝手に食べてすみませんでした」
私の懺悔に宗四郎さんが呆れたように息を吐いてから、鋭い視線を送ってくる。どうやら怒っている理由はこれではないらしい。
じゃあティッシュを出すのを忘れて洗濯機を回してしまったこと? それともこの前時間を忘れて訓練場にこもっていたことだろうか。
つらつらと余罪を並べるも、宗四郎さんの表情は変わらない。それどころか険しさを増しているようにも見える。
「まだ他に言うべきことがあるやろ」
私は微かに息を呑んだ。宗四郎さんの声のトーンが一段階下がったからだ。
「今日、任務の時に……」
私は今日、出動要請がかかった時のことを思い出す。
被害はそれほど大きくはなかった。本獣を討伐し、余獣もあらかた片付けた後のこと。瓦礫の下敷きになっている一般人を見つけすぐさま助けに入った私は、生き残っていた余獣が迫っていることに気づけなかった。咄嗟にシールドを展開したものの、他の同僚が駆けつけて対処してくれなければ助け出した怪我人諸共ただでは済まなかっただろう。
一人で勝手に行動せず、まずは仲間に連絡すべきだった。自身でも深く反省しているし、小隊長からも同様のことを厳しく言われた。
ただそれが宗四郎さんの耳にも届いているとは思わなかった。彼のいない現場だったし、表向きには一隊員が無謀なことをして小隊長から注意を受けた、それだけのことだ。
副隊長に報告するほどのことではないだろうと、私からも宗四郎さんには伝えていなかったのだけど。
ーーうそ。本当はそんな顔をさせてしまうとわかっていたから、宗四郎さんには伝えたくなかったのだ。
「僕が怒っとる理由、もうわかったな」
「はい」
ごめんなさいと頭を下げると宗四郎さんが私の頭をくしゃりと撫でた。
それから心配そうに私を見つめる彼が言葉を飲み込んだのを、見なかったことにする。
もう二度と危険な真似はしないでほしい。
そう思いはしても、口にできないのはお互い様だ。防衛隊員である限り、命の危険は常にある。私も宗四郎さんも、危険を冒さなければならない場面はこの先もきっとあるだろう。
だからーー。いやだからこそ、もう宗四郎さんにこんな顔させないためにも、私は今日のことを改めて反省したのだった。