保科宗四郎
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「それ、そんな美味いん?」
保科副隊長が奢ってくれるとのことだったのでありがたくお言葉に甘え、買ってもらったばかりの缶ジュースをこくりと一飲みしたタイミングのことだった。不意にそんなことを訊かれ、私は缶を傾けたままぱちりと瞬く。
「おいしいですよ」
「えー、ほんまに?」
私の言葉が信じられないのか、なおも保科副隊長は怪訝な表情でこちらを見つめてくる。
私は手にしていた『飲むショートケーキ』と書かれた缶をきゅっと握った。
そういえばつい先日もこのジュースを飲んでいたら、たまたま通りかかった同期が保科副隊長と全く同じ表情をしていたっけ。
確かに名前だけ見ればなかなか手を出そうとは思えないだろう。でも味は本当においしいのだ。生クリームの甘さといちごの酸味が絶妙で、ほんのりと卵とバターの風味もしてまさに飲むショートケーキ。……賛同者は今のところいないけれど。無理にわかってもらおうとは思わない。好みは人それぞれだし、私からしたらあんなに苦いブラックコーヒーをおいしそうに飲む保科副隊長のが信じられない。
「君、ほぼ毎日それ飲んどるよなぁ」
「好きなんです。それに今の時期だけの期間限定販売なので」
「ほーん」
興味があるのか、ないのか。沈黙が嫌で当たり障りのない会話を続けているだけなのか。声音だけでは判断できない。ただ保科副隊長の視線が私から外れることはなく、それが何だか気まずくて、誤魔化すように再び缶を傾けた。
「なあ、それひとくち貰ってもええ?」
「えっ」
突然のことに思わず咽せそうになるのを何とか堪える。
「えっと、ひとくちってこれをですか?」
「おん。君があんまり美味そうに飲むもんやから、どんな味か気になってな」
今までそんな風に興味を持ってくれる人はいなかったから、素直に驚いてしまった。でもこれは同志を増やすチャンスかもしれない。
私は「どうぞ」と飲んでいた缶を保科副隊長に渡そうとしてーーあれ、これって間接キスなのでは?
「どないしたん?」
「い、いえ。何でもないです」
一瞬脳裏を過った躊躇いをかき消して、今度こそ缶を保科副隊長に手渡す。
いい大人なんだからいちいち間接キスくらいでどうこう言ってどうする。きっと保科副隊長だってそんなこと微塵も気にしてないはずだ。
ちらりと様子を窺えば、ちょうど保科副隊長の喉がこくりと上下するところだった。
「ん、結構美味いな!」
「ですよね! 本当にショートケーキ食べてるみたいな」
「やばい。これのモンブランバージョンがあったら買い占めてしまいそうやわ。……あっ!」
ハッとした様子で保科副隊長がこちらを振り向く。どうしたのだろうと首を傾げていると、保科副隊長が照れたような、申し訳ないような表情で頬を掻いた。
「あー、すまん。間接キスになってしもたな……」
「っ!」
き、気にしないようにしてたのに……!!
保科副隊長に言われた途端変に意識してしまって、それからしばらく目を合わせられなかったのは言うまでもない。
保科副隊長が奢ってくれるとのことだったのでありがたくお言葉に甘え、買ってもらったばかりの缶ジュースをこくりと一飲みしたタイミングのことだった。不意にそんなことを訊かれ、私は缶を傾けたままぱちりと瞬く。
「おいしいですよ」
「えー、ほんまに?」
私の言葉が信じられないのか、なおも保科副隊長は怪訝な表情でこちらを見つめてくる。
私は手にしていた『飲むショートケーキ』と書かれた缶をきゅっと握った。
そういえばつい先日もこのジュースを飲んでいたら、たまたま通りかかった同期が保科副隊長と全く同じ表情をしていたっけ。
確かに名前だけ見ればなかなか手を出そうとは思えないだろう。でも味は本当においしいのだ。生クリームの甘さといちごの酸味が絶妙で、ほんのりと卵とバターの風味もしてまさに飲むショートケーキ。……賛同者は今のところいないけれど。無理にわかってもらおうとは思わない。好みは人それぞれだし、私からしたらあんなに苦いブラックコーヒーをおいしそうに飲む保科副隊長のが信じられない。
「君、ほぼ毎日それ飲んどるよなぁ」
「好きなんです。それに今の時期だけの期間限定販売なので」
「ほーん」
興味があるのか、ないのか。沈黙が嫌で当たり障りのない会話を続けているだけなのか。声音だけでは判断できない。ただ保科副隊長の視線が私から外れることはなく、それが何だか気まずくて、誤魔化すように再び缶を傾けた。
「なあ、それひとくち貰ってもええ?」
「えっ」
突然のことに思わず咽せそうになるのを何とか堪える。
「えっと、ひとくちってこれをですか?」
「おん。君があんまり美味そうに飲むもんやから、どんな味か気になってな」
今までそんな風に興味を持ってくれる人はいなかったから、素直に驚いてしまった。でもこれは同志を増やすチャンスかもしれない。
私は「どうぞ」と飲んでいた缶を保科副隊長に渡そうとしてーーあれ、これって間接キスなのでは?
「どないしたん?」
「い、いえ。何でもないです」
一瞬脳裏を過った躊躇いをかき消して、今度こそ缶を保科副隊長に手渡す。
いい大人なんだからいちいち間接キスくらいでどうこう言ってどうする。きっと保科副隊長だってそんなこと微塵も気にしてないはずだ。
ちらりと様子を窺えば、ちょうど保科副隊長の喉がこくりと上下するところだった。
「ん、結構美味いな!」
「ですよね! 本当にショートケーキ食べてるみたいな」
「やばい。これのモンブランバージョンがあったら買い占めてしまいそうやわ。……あっ!」
ハッとした様子で保科副隊長がこちらを振り向く。どうしたのだろうと首を傾げていると、保科副隊長が照れたような、申し訳ないような表情で頬を掻いた。
「あー、すまん。間接キスになってしもたな……」
「っ!」
き、気にしないようにしてたのに……!!
保科副隊長に言われた途端変に意識してしまって、それからしばらく目を合わせられなかったのは言うまでもない。