保科宗四郎
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「トリックオアトリート」
貸切り状態だった屋上の休憩所にやって来たそいつは、他にも空いているベンチがあるにも関わらず私の隣に腰掛け、笑顔でそう言った。
「は?」
てっきり仕事の話かと思いきや、第一声がそれ? 思わず聞き返せば、にこにこと人好きのする笑顔が途端に悪戯っぽいものへと変わる。
「せやから、トリックオアトリートって言うてんねん」
別に聞こえなかったわけじゃないんだけど。この男のことだからわかっていてやっているのだろう。第3部隊の副隊長である保科宗四郎は誰よりも周りを見ているし、頭の回転も速い。それなりに付き合いの長い私は、もちろんよく知っている。だからこそ、
「あのね保科。知ってるでしょ、私が甘いの苦手なの」
実際に今飲んでるのだってブラックコーヒーだ。そんな私がお菓子なんて持っているはずがない。家にだって酒のつまみになるスルメやサラミしか置いてないのに。
「もちろん知っとるで。何年か前におすすめのモンブランの店誘ったら秒で断られたの、忘れるわけないやん」
そういえばそんなこともあったかもしれない。でも知ってるなら、何でーー。
コーヒーを啜りながら眉を顰めると、保科はさらに目を細めて言った。
「知ってるからこそ、や。お菓子持ってへんなら、選択肢は一つしかないやろ」
「……は!?」
トリックオアトリート。
お菓子を持っていない私の運命はすでに決まっている。
「ず、ずるい!」
「しゃあないやん。お菓子持ってへん君が悪い」
わかっていたはずだ。保科宗四郎は誰よりも周りを見ていて、頭の回転が速くて。そしてからかい甲斐のある面白い人間が好きだと。
わなわなと唇を震わせる私に、保科はにっこりと笑って告げた。
「さぁて、どんなイタズラにしよか」
もし悪魔がいるとしたら、こんな顔をしているに違いない。
貸切り状態だった屋上の休憩所にやって来たそいつは、他にも空いているベンチがあるにも関わらず私の隣に腰掛け、笑顔でそう言った。
「は?」
てっきり仕事の話かと思いきや、第一声がそれ? 思わず聞き返せば、にこにこと人好きのする笑顔が途端に悪戯っぽいものへと変わる。
「せやから、トリックオアトリートって言うてんねん」
別に聞こえなかったわけじゃないんだけど。この男のことだからわかっていてやっているのだろう。第3部隊の副隊長である保科宗四郎は誰よりも周りを見ているし、頭の回転も速い。それなりに付き合いの長い私は、もちろんよく知っている。だからこそ、
「あのね保科。知ってるでしょ、私が甘いの苦手なの」
実際に今飲んでるのだってブラックコーヒーだ。そんな私がお菓子なんて持っているはずがない。家にだって酒のつまみになるスルメやサラミしか置いてないのに。
「もちろん知っとるで。何年か前におすすめのモンブランの店誘ったら秒で断られたの、忘れるわけないやん」
そういえばそんなこともあったかもしれない。でも知ってるなら、何でーー。
コーヒーを啜りながら眉を顰めると、保科はさらに目を細めて言った。
「知ってるからこそ、や。お菓子持ってへんなら、選択肢は一つしかないやろ」
「……は!?」
トリックオアトリート。
お菓子を持っていない私の運命はすでに決まっている。
「ず、ずるい!」
「しゃあないやん。お菓子持ってへん君が悪い」
わかっていたはずだ。保科宗四郎は誰よりも周りを見ていて、頭の回転が速くて。そしてからかい甲斐のある面白い人間が好きだと。
わなわなと唇を震わせる私に、保科はにっこりと笑って告げた。
「さぁて、どんなイタズラにしよか」
もし悪魔がいるとしたら、こんな顔をしているに違いない。