保科宗四郎
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日本防衛隊立川基地の近くにある、とある空き地。そこに一匹の猫を見つけて、思わず隣に立つ人の服を引っ張る。
「保科副隊長見てください! 猫ですよ、猫!」
「せやなぁ」
駆け寄りたいのをぐっと我慢して、抜き足差し足で猫に近づく。木陰で休んでいた猫はちらりと私を一瞥したが、幸い逃げ出す様子はない。しゃがんでそっと手を伸ばすと、猫自ら頭を動かして擦り寄ってきた。随分と人馴れしている。首輪はしていないけれど、黒い毛並みは健康的に艶々としていて、もしかしたらこの近辺に住む人たちに可愛がってもらっているのかもしれない。
顎を撫でているとこっちも撫でろと言わんばかりにごろんとお腹を差し出してきた。本当に野良かと疑いたくなるほどの警戒心のなさだ。
「ふふ、かわいいねぇ君は」
ゴロゴロと喉を鳴らす猫を存分に撫でる。少しでも手を止めると「にゃー」と甘えたように鳴かれるので、止め時もわからない。そろそろ帰ろうかと手を止めては強請るように鳴かれて再び撫で始める、を繰り返すこと数回。
「みゃう」
ぴたりと手を止めた私に、なぜ撫でない? と諌めるように猫が鳴く。タシタシとしっぽを地面に叩きつけ、不機嫌丸出しだ。私だって、もっと撫でてあげたいとは思う。でもできなかった。保科副隊長が私の手を掴んでいたから。
「ほ、保科副隊長……」
「んー?」
するりと指を絡められて息を飲む。恋人繋ぎというやつだ。突然のことに身動ぎすらできずにいると、そのままとん、と肩に保科副隊長の頭が乗った。
「あの、離してもらえますか?」
「嫌や」
私より年上の保科副隊長が、駄々を捏ねるようにぐりぐりと頭を擦り付けてくる。さらりとした髪がくすぐったい。距離の近さに落ち着かなくて身を捩ると、逃げるなと言わんばかりに腰に腕を回された。
「猫を可愛がる君も可愛いけど、僕のことほったらかしにしすぎやない?」
恋人やのに。
そう言って顔を上げた彼の瞳が緩く細められる。
「僕も構ってにゃー」
少しだけ首を傾けて、甘えるような声色で。部隊の副隊長として大勢の上に立つ彼が、こんな風に甘えるのだと知ったのはつい最近のことだ。そしてそんな姿を見せてくれるのは私だけということも。
じわりと頬が熱を帯びていくのを悟られぬように視線を外す。
「っ、何をすればいいですか」
「とりあえず名前、呼んで。せっかくのデートやったのに、君ずっと副隊長呼びやし」
「……保科、さん」
「んー、なんて? 聞こえんかったわ。もう一回」
「そ、宗四郎さん」
「ん」
再び保科副……、宗四郎さんが擦り寄ってくる。その表情はさっきまで私が撫でていた猫そっくりで、今にもゴロゴロと音が聞こえてきそうだった。
「ほし、宗四郎さん。日も暮れてきましたし、そろそろ帰りませんか?」
「いや、もうちょい。もうちょいこのまま」
擦り寄る彼の頭をあやすように撫でる。私の恋人は、私の足元に寝転んでいた猫に負けず劣らず甘えただ。二人きりだと特にそう。あの猫は付き合ってられるかとさっさとどこかに行ってしまったけれど、こっちはまだまだ当分、離してくれそうにない。
「保科副隊長見てください! 猫ですよ、猫!」
「せやなぁ」
駆け寄りたいのをぐっと我慢して、抜き足差し足で猫に近づく。木陰で休んでいた猫はちらりと私を一瞥したが、幸い逃げ出す様子はない。しゃがんでそっと手を伸ばすと、猫自ら頭を動かして擦り寄ってきた。随分と人馴れしている。首輪はしていないけれど、黒い毛並みは健康的に艶々としていて、もしかしたらこの近辺に住む人たちに可愛がってもらっているのかもしれない。
顎を撫でているとこっちも撫でろと言わんばかりにごろんとお腹を差し出してきた。本当に野良かと疑いたくなるほどの警戒心のなさだ。
「ふふ、かわいいねぇ君は」
ゴロゴロと喉を鳴らす猫を存分に撫でる。少しでも手を止めると「にゃー」と甘えたように鳴かれるので、止め時もわからない。そろそろ帰ろうかと手を止めては強請るように鳴かれて再び撫で始める、を繰り返すこと数回。
「みゃう」
ぴたりと手を止めた私に、なぜ撫でない? と諌めるように猫が鳴く。タシタシとしっぽを地面に叩きつけ、不機嫌丸出しだ。私だって、もっと撫でてあげたいとは思う。でもできなかった。保科副隊長が私の手を掴んでいたから。
「ほ、保科副隊長……」
「んー?」
するりと指を絡められて息を飲む。恋人繋ぎというやつだ。突然のことに身動ぎすらできずにいると、そのままとん、と肩に保科副隊長の頭が乗った。
「あの、離してもらえますか?」
「嫌や」
私より年上の保科副隊長が、駄々を捏ねるようにぐりぐりと頭を擦り付けてくる。さらりとした髪がくすぐったい。距離の近さに落ち着かなくて身を捩ると、逃げるなと言わんばかりに腰に腕を回された。
「猫を可愛がる君も可愛いけど、僕のことほったらかしにしすぎやない?」
恋人やのに。
そう言って顔を上げた彼の瞳が緩く細められる。
「僕も構ってにゃー」
少しだけ首を傾けて、甘えるような声色で。部隊の副隊長として大勢の上に立つ彼が、こんな風に甘えるのだと知ったのはつい最近のことだ。そしてそんな姿を見せてくれるのは私だけということも。
じわりと頬が熱を帯びていくのを悟られぬように視線を外す。
「っ、何をすればいいですか」
「とりあえず名前、呼んで。せっかくのデートやったのに、君ずっと副隊長呼びやし」
「……保科、さん」
「んー、なんて? 聞こえんかったわ。もう一回」
「そ、宗四郎さん」
「ん」
再び保科副……、宗四郎さんが擦り寄ってくる。その表情はさっきまで私が撫でていた猫そっくりで、今にもゴロゴロと音が聞こえてきそうだった。
「ほし、宗四郎さん。日も暮れてきましたし、そろそろ帰りませんか?」
「いや、もうちょい。もうちょいこのまま」
擦り寄る彼の頭をあやすように撫でる。私の恋人は、私の足元に寝転んでいた猫に負けず劣らず甘えただ。二人きりだと特にそう。あの猫は付き合ってられるかとさっさとどこかに行ってしまったけれど、こっちはまだまだ当分、離してくれそうにない。