保科宗四郎
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僕には一人だけ、弟子がおる。
最初はそんなつもりなかったんやけど、あの子の熱意に僕が負けた。今となっては、弟子にしてよかったと思うとる。
そして僕は、僕の愛弟子が今年の新人たちに囲まれとる現場に遭遇した。
一緒におるんはカフカに市川、四ノ宮の三人。あの子も後輩らにあんな慕われるようになったんやなあ。弟子の成長に、僕、涙が出そうやわ。
「どうした嬢ちゃん、迷子か?」
「ちょ、先輩! この子怖がってますって」
「いや、私は迷子じゃなくて……」
「ここはアンタみたいな子どもが来るところじゃないわよ。早く家に帰りなさい」
「キコルだってまだ子どもだろ」
「うっさいわね、誰が子どもよ!」
あかん、ほんまに涙出てきた。笑いすぎてお腹痛い。
物陰からそっと様子を窺うと、自分より大きい三人に囲まれたあの子は、あわあわしながら必死に誤解を解こうとしとる最中やった。
そういえばあの子、今日非番やったっけ。なんや用があって来たんやろうけど、どうやら私服で基地内うろついとったところをカフカたちに見つかったらしい。
成人しとるとはいえ、あの子ちっさいし、童顔やからな。未成年と間違えるのもわかるけど……迷子って。おもろすぎやろ。
「あの、私はここの隊員で……」
「こういう時ってどうするんだ? うち迷子センターあったっけ」
「あるわけないじゃないですか。とりあえず上司に相談とか?」
「そんなことしなくても、普通に基地の外まで送って行けばいいじゃない」
「もう、人の話聞いてくださいよ〜!」
僕の愛弟子は今日も元気に喚いとる。癇癪を起こしたみたいにぷんすこ怒るあの子に、さすがにカフカたちも話を聞く気になったようで。
「悪い悪い、ちゃんと聞いてやるからそんな怒んなって……」
どうどう、と宥めながらカフカがあの子の頭に手を伸ばす。迷子を落ち着かせるんやったら、それで正解。けど、あかん。あかんなあ。
「それ以上はセクハラやで」
カフカの手が届く前に腕を伸ばして、あの子を自分のほうへと引き寄せる。愛弟子含め、カフカたちは急に現れた僕に驚いとるようやった。
「ほ、保科副隊長!」
「副隊長、どうしてここに」
「いやー、僕の可愛い可愛い愛弟子が世話になったみたいで」
「え、」
「まなでし?」
「この子が?」
カフカたちの視線が僕の腕の中でもがく愛弟子へと注がれる。
「ほ、保科副隊長、苦しいです」
「おー、すまんすまん」
自分でも気づかん内に力んどったらしい。愛弟子がギブギブと僕の腕を叩く。
「この子、僕の愛弟子。君らの先輩や。仲良うしたってな」
愛弟子を解放してわしわしと頭を撫でる。相変わらず撫でやすい頭しとるなあ。
カフカたちは勘違いを詫びて、愛弟子ともすぐに打ち解けとった。ええことや。ええことやけども、ちょーっと君ら打ち解けんの早ない? 愛弟子も愛弟子や。さっきまでフグみたいに膨れとった癖に「先輩、先輩」言われたくらいで顔ゆるっゆるになって、チョロすぎて心配になるんやけど。
愛弟子とカフカたちの会話は僕そっちのけでその後も大いに盛り上がり、だんだんつまらなってきた僕は、まだ話したそうな愛弟子の肩を掴んでくるりと向きを変えさせた。
「楽しいんはわかるけど、このへんにしとこか。君、なんや用があって来たんやないの?」
「はっ、そうでした!」
愛弟子は僕に言われて初めてここに来た目的を思い出したみたいやった。何でも小此木ちゃんに用があるんやとか。愛弟子はカフカたちに「また今度」と軽く手を振って、僕と一緒にその場を後にする。
「……なあレノ、キコル。俺が触るのは駄目で、副隊長が触るのはいいのか?」
「先輩、シッ!」
「あんまり大きな声で言うと聞こえるわよ」
聞こえとる。僕、意外と耳ええんやで。
心配せんでも僕のはセクハラやない。僕のちょっかいは愛弟子にとって、師匠と弟子のスキンシップみたいなもんなんやと。
アホやなあ。そんなわけないのに。こちとら下心も嫉妬もバリバリやぞ。
まあ僕も表向きは呑気な愛弟子に合わせとるけど。
じっと隣に立つ小さなつむじを見ていると、視線に気づいた愛弟子が顔を上げて、僕と目が合うなりへらりと頬を緩ませた。ったく、この子は人の気も知らんとーー。
「君はほんっまに無防備やな!」
「へ? いだだだっ⁈」
親指でぐりぐりとちょうどええとこにあったつむじを押してやる。愛弟子は急に何するだとか、縮んだらどうしてくれるだとか喚いとったけど、そんなん知らん。こっちは仲ええ師匠と弟子のまま、一線を越えんよう必死やってのに。縮むくらい我慢せえ!
最初はそんなつもりなかったんやけど、あの子の熱意に僕が負けた。今となっては、弟子にしてよかったと思うとる。
そして僕は、僕の愛弟子が今年の新人たちに囲まれとる現場に遭遇した。
一緒におるんはカフカに市川、四ノ宮の三人。あの子も後輩らにあんな慕われるようになったんやなあ。弟子の成長に、僕、涙が出そうやわ。
「どうした嬢ちゃん、迷子か?」
「ちょ、先輩! この子怖がってますって」
「いや、私は迷子じゃなくて……」
「ここはアンタみたいな子どもが来るところじゃないわよ。早く家に帰りなさい」
「キコルだってまだ子どもだろ」
「うっさいわね、誰が子どもよ!」
あかん、ほんまに涙出てきた。笑いすぎてお腹痛い。
物陰からそっと様子を窺うと、自分より大きい三人に囲まれたあの子は、あわあわしながら必死に誤解を解こうとしとる最中やった。
そういえばあの子、今日非番やったっけ。なんや用があって来たんやろうけど、どうやら私服で基地内うろついとったところをカフカたちに見つかったらしい。
成人しとるとはいえ、あの子ちっさいし、童顔やからな。未成年と間違えるのもわかるけど……迷子って。おもろすぎやろ。
「あの、私はここの隊員で……」
「こういう時ってどうするんだ? うち迷子センターあったっけ」
「あるわけないじゃないですか。とりあえず上司に相談とか?」
「そんなことしなくても、普通に基地の外まで送って行けばいいじゃない」
「もう、人の話聞いてくださいよ〜!」
僕の愛弟子は今日も元気に喚いとる。癇癪を起こしたみたいにぷんすこ怒るあの子に、さすがにカフカたちも話を聞く気になったようで。
「悪い悪い、ちゃんと聞いてやるからそんな怒んなって……」
どうどう、と宥めながらカフカがあの子の頭に手を伸ばす。迷子を落ち着かせるんやったら、それで正解。けど、あかん。あかんなあ。
「それ以上はセクハラやで」
カフカの手が届く前に腕を伸ばして、あの子を自分のほうへと引き寄せる。愛弟子含め、カフカたちは急に現れた僕に驚いとるようやった。
「ほ、保科副隊長!」
「副隊長、どうしてここに」
「いやー、僕の可愛い可愛い愛弟子が世話になったみたいで」
「え、」
「まなでし?」
「この子が?」
カフカたちの視線が僕の腕の中でもがく愛弟子へと注がれる。
「ほ、保科副隊長、苦しいです」
「おー、すまんすまん」
自分でも気づかん内に力んどったらしい。愛弟子がギブギブと僕の腕を叩く。
「この子、僕の愛弟子。君らの先輩や。仲良うしたってな」
愛弟子を解放してわしわしと頭を撫でる。相変わらず撫でやすい頭しとるなあ。
カフカたちは勘違いを詫びて、愛弟子ともすぐに打ち解けとった。ええことや。ええことやけども、ちょーっと君ら打ち解けんの早ない? 愛弟子も愛弟子や。さっきまでフグみたいに膨れとった癖に「先輩、先輩」言われたくらいで顔ゆるっゆるになって、チョロすぎて心配になるんやけど。
愛弟子とカフカたちの会話は僕そっちのけでその後も大いに盛り上がり、だんだんつまらなってきた僕は、まだ話したそうな愛弟子の肩を掴んでくるりと向きを変えさせた。
「楽しいんはわかるけど、このへんにしとこか。君、なんや用があって来たんやないの?」
「はっ、そうでした!」
愛弟子は僕に言われて初めてここに来た目的を思い出したみたいやった。何でも小此木ちゃんに用があるんやとか。愛弟子はカフカたちに「また今度」と軽く手を振って、僕と一緒にその場を後にする。
「……なあレノ、キコル。俺が触るのは駄目で、副隊長が触るのはいいのか?」
「先輩、シッ!」
「あんまり大きな声で言うと聞こえるわよ」
聞こえとる。僕、意外と耳ええんやで。
心配せんでも僕のはセクハラやない。僕のちょっかいは愛弟子にとって、師匠と弟子のスキンシップみたいなもんなんやと。
アホやなあ。そんなわけないのに。こちとら下心も嫉妬もバリバリやぞ。
まあ僕も表向きは呑気な愛弟子に合わせとるけど。
じっと隣に立つ小さなつむじを見ていると、視線に気づいた愛弟子が顔を上げて、僕と目が合うなりへらりと頬を緩ませた。ったく、この子は人の気も知らんとーー。
「君はほんっまに無防備やな!」
「へ? いだだだっ⁈」
親指でぐりぐりとちょうどええとこにあったつむじを押してやる。愛弟子は急に何するだとか、縮んだらどうしてくれるだとか喚いとったけど、そんなん知らん。こっちは仲ええ師匠と弟子のまま、一線を越えんよう必死やってのに。縮むくらい我慢せえ!
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