野火丸
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パチリと寝室の電気をつけると、もぞりと布団の山が動くのが見えた。その中から現れたのは野火丸さん。今は小さな野火丸くんの姿で、可愛らしいパジャマを身につけている。彼は私を見るなりふわぁ、と欠伸をして、眠たげに目をこすった。
「もー、やっとですかー? 待ちくたびれましたよ」
「私、遅くなるから先に寝ててって言いませんでしたっけ?」
「寝れるわけないじゃないですか。おやすみのキスもしてないのに」
「おやすみの……きす?」
初めて聞く単語に戸惑いを隠せない。というか野火丸さん、昨日まで普通に寝てたよね?
彼は早く早くと私を近くに呼び寄せて、両手を組んで目を閉じた。
「寝るんですか?」
「寝ますよー。貴女がキスしてくれたら」
なるほど、私のキス待ちか。野火丸さんはベッドのど真ん中を陣取っていて、これは多分、彼の言う通りにしないと退いてもらえないやつだ。今日は疲れたし、私も早くベッドに横になりたい。さっさと終わらせてしまおうと、私は野火丸さんの前髪を避け、その額に顔を近づけた。
そしてーー。
要望通りに口づけを落とすと、ぴくり、と野火丸さんが身動いた。見開かれた金色の瞳が何故? と私に問いかけてくる。
「あれ、違いました?」
私は野火丸さんに言われた通りおやすみのキスをした。最初は額にしようと思ったけど、野火丸さんのことだ、「そこじゃないですよー」と唇にさせようとしてくる決まってる。だから私は言われるより先に唇を合わせたのだけど。
間違えたかと不安になる私に、野火丸さんは静かに微笑んで、首を横に振った。
「いいえ、貴女は何も間違っていませんよ」
よかった、これで心置きなく眠れる。そう思ってたのに。
「あの、野火丸さん」
「はい」
「何してるんですか?」
「見てわかりません? あ、詳しく言いましょうか」
「いえ、結構です」
気づいたら私はベッドに引きずり込まれ、野火丸さんに押し倒されていた。子どもの姿でも無理だろうけど、大人の姿の彼に押さえ込まれると、もう本当に何もできない。
顔中にキスの雨が降ってきて、時折首筋にぴりりとした痛みが走る。明日は髪を下ろして過ごしたほうが良さそうだ。
「おやすみのキスしたら寝るって言ったじゃないですか」
嘘つき、と恨みがましく呟くと、野火丸さんは私の鎖骨を甘噛みしながら「あれは目覚めのキスです」と飄々と言って退けた。「お姫様を起こすのもキスですしね」なんて、狐の貴方に言われても。
「今日はもう寝ましょうよ。野火丸さんも眠かったんでしょう?」
頼むから勘弁してくれ、という泣き言は野火丸さんにぱくりと飲み込まれて音にならなかった。代わりに「知らないようなので教えてあげましょうか」と艶めいた声が耳に吹き込まれる。
「狐って、夜行性なんですよ」
ああ、できればそれは知りたくなかった。夜はまだ、明けそうにない。
「もー、やっとですかー? 待ちくたびれましたよ」
「私、遅くなるから先に寝ててって言いませんでしたっけ?」
「寝れるわけないじゃないですか。おやすみのキスもしてないのに」
「おやすみの……きす?」
初めて聞く単語に戸惑いを隠せない。というか野火丸さん、昨日まで普通に寝てたよね?
彼は早く早くと私を近くに呼び寄せて、両手を組んで目を閉じた。
「寝るんですか?」
「寝ますよー。貴女がキスしてくれたら」
なるほど、私のキス待ちか。野火丸さんはベッドのど真ん中を陣取っていて、これは多分、彼の言う通りにしないと退いてもらえないやつだ。今日は疲れたし、私も早くベッドに横になりたい。さっさと終わらせてしまおうと、私は野火丸さんの前髪を避け、その額に顔を近づけた。
そしてーー。
要望通りに口づけを落とすと、ぴくり、と野火丸さんが身動いた。見開かれた金色の瞳が何故? と私に問いかけてくる。
「あれ、違いました?」
私は野火丸さんに言われた通りおやすみのキスをした。最初は額にしようと思ったけど、野火丸さんのことだ、「そこじゃないですよー」と唇にさせようとしてくる決まってる。だから私は言われるより先に唇を合わせたのだけど。
間違えたかと不安になる私に、野火丸さんは静かに微笑んで、首を横に振った。
「いいえ、貴女は何も間違っていませんよ」
よかった、これで心置きなく眠れる。そう思ってたのに。
「あの、野火丸さん」
「はい」
「何してるんですか?」
「見てわかりません? あ、詳しく言いましょうか」
「いえ、結構です」
気づいたら私はベッドに引きずり込まれ、野火丸さんに押し倒されていた。子どもの姿でも無理だろうけど、大人の姿の彼に押さえ込まれると、もう本当に何もできない。
顔中にキスの雨が降ってきて、時折首筋にぴりりとした痛みが走る。明日は髪を下ろして過ごしたほうが良さそうだ。
「おやすみのキスしたら寝るって言ったじゃないですか」
嘘つき、と恨みがましく呟くと、野火丸さんは私の鎖骨を甘噛みしながら「あれは目覚めのキスです」と飄々と言って退けた。「お姫様を起こすのもキスですしね」なんて、狐の貴方に言われても。
「今日はもう寝ましょうよ。野火丸さんも眠かったんでしょう?」
頼むから勘弁してくれ、という泣き言は野火丸さんにぱくりと飲み込まれて音にならなかった。代わりに「知らないようなので教えてあげましょうか」と艶めいた声が耳に吹き込まれる。
「狐って、夜行性なんですよ」
ああ、できればそれは知りたくなかった。夜はまだ、明けそうにない。