野火丸
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目に飛び込んできたのは、晴れ渡る空。それから聞こえてくる祝福の声。私はにこりとその声に微笑み、夫となる人の差し出した腕にそっと手を伸ばした。
一歩。また一歩。降り注ぐ花びらの祝福を受けながら、ゆっくりと階段を降りていく。涙ぐむ両親、幸せを願ってくれる親族、笑顔で祝ってくれる友人たち。隣には愛する夫もいる。私は間違いなく幸せ者だ。
けれど一方で、それを否定したい私がいる。私が、私だけが幸せになっていいはずがないと。
かつて愛したあのひとは、今も地獄の道を歩んでいるかもしれないのにーー。
不意に教会の鐘が鳴った。祝福を告げる鐘。花びらが風に舞い上げられる。白、ピンク、赤。その中に予定になかった黄色の花びらを見つけてハッとする。
「……野火丸さん?」
たくさんの祝福にかき消される私の声。でも確かに彼はそこにいた。最後に会った日と変わらぬ姿のまま。
言いたいことも聞きたいこともたくさんあった。でも彼は人差し指を立ててしーっとこちらにウインクする。それから少しだけ眉を下げて、口を動かす。
『お幸せに』
その一言は声にせずとも私に届いた。
ああ、なんで貴方はそうなんだろう。自分のことはいつだって後回し。
私は泣きそうになるのを必死に堪え、頷く。私はもう充分幸せだから、どうか。
『あなたも』
幸せでありますように。
一歩。また一歩。降り注ぐ花びらの祝福を受けながら、ゆっくりと階段を降りていく。涙ぐむ両親、幸せを願ってくれる親族、笑顔で祝ってくれる友人たち。隣には愛する夫もいる。私は間違いなく幸せ者だ。
けれど一方で、それを否定したい私がいる。私が、私だけが幸せになっていいはずがないと。
かつて愛したあのひとは、今も地獄の道を歩んでいるかもしれないのにーー。
不意に教会の鐘が鳴った。祝福を告げる鐘。花びらが風に舞い上げられる。白、ピンク、赤。その中に予定になかった黄色の花びらを見つけてハッとする。
「……野火丸さん?」
たくさんの祝福にかき消される私の声。でも確かに彼はそこにいた。最後に会った日と変わらぬ姿のまま。
言いたいことも聞きたいこともたくさんあった。でも彼は人差し指を立ててしーっとこちらにウインクする。それから少しだけ眉を下げて、口を動かす。
『お幸せに』
その一言は声にせずとも私に届いた。
ああ、なんで貴方はそうなんだろう。自分のことはいつだって後回し。
私は泣きそうになるのを必死に堪え、頷く。私はもう充分幸せだから、どうか。
『あなたも』
幸せでありますように。