アーサー・ボイル
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ころりとラムネ瓶の中を転がるガラス玉を太陽に透かす。きらきらと光る、淡い青。綺麗だな、なんて見つめていたら、夏の日差しに目をやられた。
「ぐっ」
呻く私を、隣に寝転んでいたアーサーが覗き込んでくる。
「どうした?」
「いやーこの中のガラス玉、何とかして取れないかなと思ったんだけど、難しそうだなって」
浅草への定期報告、その帰りに紺炉副隊長が「暑い中ご苦労さん」とくれたラムネ瓶。ぬるくなる前に飲んでしまおうと帰り道の途中にある土手でアーサーと二人腰を下ろしたのだけど、川から吹く風が気持ち良くて、つい長居してしまった。寝転んでしまったのも失敗だった。起き上がりたくなくて、だらだらとどうでもいいことを話してしまう。
「欲しいなら切るが?」
確かにアーサーの能力なら、綺麗に瓶を切ってガラス玉を取り出せそうだ。でもいいや、と私は首を横に振る。
「アーサーの目みたいで綺麗だなって思っただけだから、いいよ」
きらりと光るまあるいガラス玉をラムネ瓶越しではなく、直接見たいと思ったのは本当だ。でもそれだけのためにわざわざ瓶を切ってもらうのはさすがに気が引ける。今度浅草に行った時にガラス玉の取り出し方を教えてもらおうか。紺炉副隊長なら知っているかもしれない。いや、桜備大隊長なら力技で外せるかも。
そんなことを考えていると、ふっと顔に陰がかかった。日が陰ったわけではないのは、すぐにわかった。視界いっぱいに飛び込んできたのは、太陽に透かしたガラス玉よりもずっと綺麗な澄んだ青。
夏空が、降ってきたのかと思った。
「……そんなガラス玉じゃなくて、俺を欲しがってくれ」
ゆっくりと身体を起こしながら、アーサーがぽつりと零す。その瞳は涼しげな色をしているのに、今にも溶け出しそうだった。
ーーそんなつもりじゃなかったのに。
けれど言い訳は口を噤んでいるせいで出てこなかった。引き結んだ唇にはまだ感触と微かな熱が残っていて、なかったことにはできないとまざまざと伝えてくる。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
何も考えていなかった。アーサーの気持ちなんてこれっぽっちも知らなかった。もちろん、彼をそういう対象として見たことも一度もなくて。
ちらり、と目の前の青色を見る。やっぱり、私の好きな、綺麗な青だ。もし私が欲しいと言ったらアーサーは……と考えて、ぶんぶんと首を振る。触れたところも、それ以外のところも熱くなってきて、思考がままならない。この状態で答えを出すのはアーサーにも失礼だ。
「ちょ、ちょっと考えさせて!」
落ち着いたら、改めて考えよう。そう思って一旦保留にしたのだけど、あんなことがあった後で落ち着けるはずもなく、私は一週間ほど知恵熱で寝込んだのだった。
「ぐっ」
呻く私を、隣に寝転んでいたアーサーが覗き込んでくる。
「どうした?」
「いやーこの中のガラス玉、何とかして取れないかなと思ったんだけど、難しそうだなって」
浅草への定期報告、その帰りに紺炉副隊長が「暑い中ご苦労さん」とくれたラムネ瓶。ぬるくなる前に飲んでしまおうと帰り道の途中にある土手でアーサーと二人腰を下ろしたのだけど、川から吹く風が気持ち良くて、つい長居してしまった。寝転んでしまったのも失敗だった。起き上がりたくなくて、だらだらとどうでもいいことを話してしまう。
「欲しいなら切るが?」
確かにアーサーの能力なら、綺麗に瓶を切ってガラス玉を取り出せそうだ。でもいいや、と私は首を横に振る。
「アーサーの目みたいで綺麗だなって思っただけだから、いいよ」
きらりと光るまあるいガラス玉をラムネ瓶越しではなく、直接見たいと思ったのは本当だ。でもそれだけのためにわざわざ瓶を切ってもらうのはさすがに気が引ける。今度浅草に行った時にガラス玉の取り出し方を教えてもらおうか。紺炉副隊長なら知っているかもしれない。いや、桜備大隊長なら力技で外せるかも。
そんなことを考えていると、ふっと顔に陰がかかった。日が陰ったわけではないのは、すぐにわかった。視界いっぱいに飛び込んできたのは、太陽に透かしたガラス玉よりもずっと綺麗な澄んだ青。
夏空が、降ってきたのかと思った。
「……そんなガラス玉じゃなくて、俺を欲しがってくれ」
ゆっくりと身体を起こしながら、アーサーがぽつりと零す。その瞳は涼しげな色をしているのに、今にも溶け出しそうだった。
ーーそんなつもりじゃなかったのに。
けれど言い訳は口を噤んでいるせいで出てこなかった。引き結んだ唇にはまだ感触と微かな熱が残っていて、なかったことにはできないとまざまざと伝えてくる。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
何も考えていなかった。アーサーの気持ちなんてこれっぽっちも知らなかった。もちろん、彼をそういう対象として見たことも一度もなくて。
ちらり、と目の前の青色を見る。やっぱり、私の好きな、綺麗な青だ。もし私が欲しいと言ったらアーサーは……と考えて、ぶんぶんと首を振る。触れたところも、それ以外のところも熱くなってきて、思考がままならない。この状態で答えを出すのはアーサーにも失礼だ。
「ちょ、ちょっと考えさせて!」
落ち着いたら、改めて考えよう。そう思って一旦保留にしたのだけど、あんなことがあった後で落ち着けるはずもなく、私は一週間ほど知恵熱で寝込んだのだった。