アーサー・ボイル
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目が覚めたら知らない場所にいた。
ここはどこだろう?
天蓋付きの驚くほどふかふかなベッドの上で、身に纏っているのは繊細なレースをあしらったドレス。下手に動いたら破れてしまうんじゃないかとドキドキしながら身体を起こす。
やっぱり何度見ても知らない部屋だ。おかしい。私は自分の部屋で茉希さんに借りた恋愛小説を読んでいたはずなのに。
もしかして、夢ーー?
はっとして自分の頬っぺたを思い切りつねる。痛く……ない! いくらつねっても痛くない!
なんだ夢かぁ、とほっと胸を撫で下ろしていると、不意に部屋のドアが開いた。
「姫、起きたのか?」
しまった。咄嗟に寝たふりをしてしまった。
けど、今の聞き覚えのある声は……。
バレないように薄目を開けて、まだ離れたところにある人影を確認する。そこにいたのはアーサーだった。ただ現実の彼とは違い、頭上には輝く王冠、翻るマント、腰には立派な剣を携えて。まるでおとぎ話に出てくる王子様みたいだ。見慣れない格好のはずなのに、よく似合っている。
「なんだまだ眠っているのか」
ぎしり、とベッドが沈んだ。声がすごく近い。つっと輪郭をなぞるようにアーサーの指が私の耳に触れて、声が出そうになるのを必死に堪える。
「姫、そろそろ起きてくれ。じゃないと俺が困る」
ふっと、アーサーが吐息を漏らす。ぎゅっと目を閉じていても感じる近さに心臓が壊れそうだった。柔らかなベッドはさらに沈み込み、そしてーー。
「うわぁっ‼︎」
目が覚めた、というより飛び起きた。安っぽい作りの窓からは夕陽が差し込んでいて、間違いなく自分の部屋であることに安堵する。それにしても、我ながらとんでもない夢を……。
「目が覚めたか」
その声に一際大きく心臓が鳴った。できれば落ち着くまで聞きたくなかった声だ。
「ア、アーサー、なんでここに」
「もうすぐ晩餐の時間だからな。起こしに来た」
「そうなんだ。ありがとう」
「問題ない。姫の目覚めさせ方は心得ている。騎士王だからな」
フッと笑う唇に、忘れたかった熱が再び上がり始める。
ここはガラスの靴も魔法も王子様もいない現実で、あれは全部ただの夢。そう何度自分に言い聞かせても、目覚めのキスの、あの甘く柔らかな感触だけが今もはっきり残っていて。
「どうかしたか?」と覗き込むアーサーの顔を私はまともに見ることができなかった。
ここはどこだろう?
天蓋付きの驚くほどふかふかなベッドの上で、身に纏っているのは繊細なレースをあしらったドレス。下手に動いたら破れてしまうんじゃないかとドキドキしながら身体を起こす。
やっぱり何度見ても知らない部屋だ。おかしい。私は自分の部屋で茉希さんに借りた恋愛小説を読んでいたはずなのに。
もしかして、夢ーー?
はっとして自分の頬っぺたを思い切りつねる。痛く……ない! いくらつねっても痛くない!
なんだ夢かぁ、とほっと胸を撫で下ろしていると、不意に部屋のドアが開いた。
「姫、起きたのか?」
しまった。咄嗟に寝たふりをしてしまった。
けど、今の聞き覚えのある声は……。
バレないように薄目を開けて、まだ離れたところにある人影を確認する。そこにいたのはアーサーだった。ただ現実の彼とは違い、頭上には輝く王冠、翻るマント、腰には立派な剣を携えて。まるでおとぎ話に出てくる王子様みたいだ。見慣れない格好のはずなのに、よく似合っている。
「なんだまだ眠っているのか」
ぎしり、とベッドが沈んだ。声がすごく近い。つっと輪郭をなぞるようにアーサーの指が私の耳に触れて、声が出そうになるのを必死に堪える。
「姫、そろそろ起きてくれ。じゃないと俺が困る」
ふっと、アーサーが吐息を漏らす。ぎゅっと目を閉じていても感じる近さに心臓が壊れそうだった。柔らかなベッドはさらに沈み込み、そしてーー。
「うわぁっ‼︎」
目が覚めた、というより飛び起きた。安っぽい作りの窓からは夕陽が差し込んでいて、間違いなく自分の部屋であることに安堵する。それにしても、我ながらとんでもない夢を……。
「目が覚めたか」
その声に一際大きく心臓が鳴った。できれば落ち着くまで聞きたくなかった声だ。
「ア、アーサー、なんでここに」
「もうすぐ晩餐の時間だからな。起こしに来た」
「そうなんだ。ありがとう」
「問題ない。姫の目覚めさせ方は心得ている。騎士王だからな」
フッと笑う唇に、忘れたかった熱が再び上がり始める。
ここはガラスの靴も魔法も王子様もいない現実で、あれは全部ただの夢。そう何度自分に言い聞かせても、目覚めのキスの、あの甘く柔らかな感触だけが今もはっきり残っていて。
「どうかしたか?」と覗き込むアーサーの顔を私はまともに見ることができなかった。