ジョーカー ・52
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その日に意味なんてなかった。
一つ歳を取る。年齢の目安。ただそれだけ。捨て置かれていたのだから、正確であるのかどうかさえ疑わしい。
俺にとっちゃ、今年も一年生き抜いた、くらいのもんだった。
だというのに。
「ジョーカー、誕生日おめでとう!」
何がそんなにめでたいのか、こいつは自分のことのように俺の生まれた日を祝う。
適当にあしらっても、飽きもせず毎年毎年。律儀なことだ。
「誕生日なんて別に祝うほどのもんじゃねェだろ」
「何言ってるの? 私は君に出会えて幸せなの。だから君が生まれてきてくれて嬉しい。君の生まれた日を祝わない理由がない」
何を当然のことを、と不思議そうに首を傾げるこいつの口元に付いた生クリームを拭ってやる。
こいつの真っ直ぐな言葉は、クソみたいな世界でクソみたいに生きてきた俺を、いとも簡単に掬い上げる。
生まれた日にも、生まれてきたことにも、意味なんざない。はずだったんだがなァ。
少なくともこいつに出会えた時点で生まれきた甲斐があると、うっかり甘ったるい台詞を吐きそうになって、お誕生日様だからと皿に載せられたチョコレートプレートを齧る。甘いのはケーキだけで十分だ。これ以上は胸やけする。
「ジョーカー?」
「ありがとよ」
「うん、おめでとうジョーカー。生まれてきてくれてありがとう」
「何回言うつもりだ」
「そんなの、何回でも」
来年はチョコレートケーキ、再来年はフルーツタルトだと楽しそうに語るこいつの横顔を眺めながら、未来のその日を少しだけ待ち遠しく思った。
一つ歳を取る。年齢の目安。ただそれだけ。捨て置かれていたのだから、正確であるのかどうかさえ疑わしい。
俺にとっちゃ、今年も一年生き抜いた、くらいのもんだった。
だというのに。
「ジョーカー、誕生日おめでとう!」
何がそんなにめでたいのか、こいつは自分のことのように俺の生まれた日を祝う。
適当にあしらっても、飽きもせず毎年毎年。律儀なことだ。
「誕生日なんて別に祝うほどのもんじゃねェだろ」
「何言ってるの? 私は君に出会えて幸せなの。だから君が生まれてきてくれて嬉しい。君の生まれた日を祝わない理由がない」
何を当然のことを、と不思議そうに首を傾げるこいつの口元に付いた生クリームを拭ってやる。
こいつの真っ直ぐな言葉は、クソみたいな世界でクソみたいに生きてきた俺を、いとも簡単に掬い上げる。
生まれた日にも、生まれてきたことにも、意味なんざない。はずだったんだがなァ。
少なくともこいつに出会えた時点で生まれきた甲斐があると、うっかり甘ったるい台詞を吐きそうになって、お誕生日様だからと皿に載せられたチョコレートプレートを齧る。甘いのはケーキだけで十分だ。これ以上は胸やけする。
「ジョーカー?」
「ありがとよ」
「うん、おめでとうジョーカー。生まれてきてくれてありがとう」
「何回言うつもりだ」
「そんなの、何回でも」
来年はチョコレートケーキ、再来年はフルーツタルトだと楽しそうに語るこいつの横顔を眺めながら、未来のその日を少しだけ待ち遠しく思った。