ジョーカー ・52
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「き……」
「喜んで!さあ52くん、ずずずいーっといっちゃって」
前のめりに左手を差し出すと52くんは、少しだけむすっと頬を膨らませた。
「……まだ最後まで言ってない」
その姿がまた可愛くて膨れた頬を指でつつく。やわらかい。そして羨ましいくらいすべすべだ。
「ごめんごめん、怒らないで。君からのプロポーズは全部受け入れたくて、つい」
あえてルール説明せずに始めたボードゲームは私の欲望のまま、ひたすら52くんにプロポーズさせて指輪を受け取るだけのものへと変質を遂げた。
「これは楽しいのか?」と彼は不思議そうに首を傾げていたが、私はものすごく楽しい。そう伝えたら「ならいい」と表情が柔らかくなるので、私は抱きしめたい衝動を抑えるのに必死だ。
52くんが私の左手を取った。大きさはそう変わらないけれど、女の私とは違う男の子の手にどきりとする。
私の左手にはすでに色とりどりの指輪がはめられていて、彼は最後の一つをどの指にはめようか迷っているようだった。
「52くん、この指だけ寂しいのだけど」
わざとらしく、唯一指輪のはめられていない薬指を動かしてみせる。本来はこの指にはめるのが正しいと思うのだが、彼は知ってか知らずか頑なにこの指以外に指輪をはめるのだった。
「この指はダメだ」
「どうして?」
「まだその時じゃない」
52くんは困ったように笑って左手の小指に指輪をはめた。
きっと彼なりに考えがあってのことなのだろう。聞きたいことは山ほどあったけれど聞けず終いで、その時も来ないまま。彼は私の前からいなくなった。
君を止めるつもりはなかったけれど、ゲームくらいは我儘を通せばよかった、なんて今更ながら思うんだ。
「喜んで!さあ52くん、ずずずいーっといっちゃって」
前のめりに左手を差し出すと52くんは、少しだけむすっと頬を膨らませた。
「……まだ最後まで言ってない」
その姿がまた可愛くて膨れた頬を指でつつく。やわらかい。そして羨ましいくらいすべすべだ。
「ごめんごめん、怒らないで。君からのプロポーズは全部受け入れたくて、つい」
あえてルール説明せずに始めたボードゲームは私の欲望のまま、ひたすら52くんにプロポーズさせて指輪を受け取るだけのものへと変質を遂げた。
「これは楽しいのか?」と彼は不思議そうに首を傾げていたが、私はものすごく楽しい。そう伝えたら「ならいい」と表情が柔らかくなるので、私は抱きしめたい衝動を抑えるのに必死だ。
52くんが私の左手を取った。大きさはそう変わらないけれど、女の私とは違う男の子の手にどきりとする。
私の左手にはすでに色とりどりの指輪がはめられていて、彼は最後の一つをどの指にはめようか迷っているようだった。
「52くん、この指だけ寂しいのだけど」
わざとらしく、唯一指輪のはめられていない薬指を動かしてみせる。本来はこの指にはめるのが正しいと思うのだが、彼は知ってか知らずか頑なにこの指以外に指輪をはめるのだった。
「この指はダメだ」
「どうして?」
「まだその時じゃない」
52くんは困ったように笑って左手の小指に指輪をはめた。
きっと彼なりに考えがあってのことなのだろう。聞きたいことは山ほどあったけれど聞けず終いで、その時も来ないまま。彼は私の前からいなくなった。
君を止めるつもりはなかったけれど、ゲームくらいは我儘を通せばよかった、なんて今更ながら思うんだ。
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