新門紅丸
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「なァ」
これで何度目だろう。今日は呼び止められるのがいつもより多い気がする。
「どうかしましたか、若」
「……何でもねェ」
「そう、ですか」
不思議なのは、自分から声をかけておきながら何でもないと去っていくこと。
普段の彼なら用もないのに呼びつけたりしない。
機嫌が悪そうだったから、私が何かやらかしたのではと顧みるも、特に思い当たる節もなく溜息が漏れる。
「おい」
そう間を置かず再び若が声を掛けてきた。
「何でしょう、若」
「……チッ」
じっと続く言葉に耳を澄ませていたら聞こえてきたのはまさかの舌打ちで、もはや言葉ですらない。理由はわからないけど私は若を怒らせてしまったみたいだ。ぴりぴりとした圧が迫ってくる。
「……んで」
「はい?」
「何で俺のほうを見ねェ」
どうしてってーー。
私はくるりと体を若のほうを向けた。
「首を寝違えました。しかも両側」
紺炉さんには話していたから若にも伝わっているだろうと思い込んでいた。
大変だろうからと、紺炉さんにいちいち振り向かなくていいと言われて甘んじていたけれど、事情を知らない若が怒るのは当然だ。
大隊長に対して一隊員が目も合わせないなんて失礼に決まっている。
「寝違えた、だァ?」
「気を悪くされたならすみません。朝起きたらびっくりするくらい首が動かなくて、動かせても左右十度程度なんです」
しかも良くなってこの程度だ。朝は起き上がれもしなかった。
「それで若、ご用件は?」
首を傾けようとして、ダメだやっぱりビクともしない。痛みに低く呻いているとちぐはぐの虹彩がまじまじとこちらを見つめていた。
「若?」
「ハッ」
今、私笑われた?
舌打ちの後は鼻で笑われた。これは私の方が怒っていいのでは。しかもまた用件も言わずに行ってしまった。結局何しに来たのだろう。
そのあとも若はふらりと私の前にやって来て、しばらくしては去って行く、を繰り返していた。
何が楽しいのか分からないけれど、若が満足そうなので、とりあえず良しとしておこう。
これで何度目だろう。今日は呼び止められるのがいつもより多い気がする。
「どうかしましたか、若」
「……何でもねェ」
「そう、ですか」
不思議なのは、自分から声をかけておきながら何でもないと去っていくこと。
普段の彼なら用もないのに呼びつけたりしない。
機嫌が悪そうだったから、私が何かやらかしたのではと顧みるも、特に思い当たる節もなく溜息が漏れる。
「おい」
そう間を置かず再び若が声を掛けてきた。
「何でしょう、若」
「……チッ」
じっと続く言葉に耳を澄ませていたら聞こえてきたのはまさかの舌打ちで、もはや言葉ですらない。理由はわからないけど私は若を怒らせてしまったみたいだ。ぴりぴりとした圧が迫ってくる。
「……んで」
「はい?」
「何で俺のほうを見ねェ」
どうしてってーー。
私はくるりと体を若のほうを向けた。
「首を寝違えました。しかも両側」
紺炉さんには話していたから若にも伝わっているだろうと思い込んでいた。
大変だろうからと、紺炉さんにいちいち振り向かなくていいと言われて甘んじていたけれど、事情を知らない若が怒るのは当然だ。
大隊長に対して一隊員が目も合わせないなんて失礼に決まっている。
「寝違えた、だァ?」
「気を悪くされたならすみません。朝起きたらびっくりするくらい首が動かなくて、動かせても左右十度程度なんです」
しかも良くなってこの程度だ。朝は起き上がれもしなかった。
「それで若、ご用件は?」
首を傾けようとして、ダメだやっぱりビクともしない。痛みに低く呻いているとちぐはぐの虹彩がまじまじとこちらを見つめていた。
「若?」
「ハッ」
今、私笑われた?
舌打ちの後は鼻で笑われた。これは私の方が怒っていいのでは。しかもまた用件も言わずに行ってしまった。結局何しに来たのだろう。
そのあとも若はふらりと私の前にやって来て、しばらくしては去って行く、を繰り返していた。
何が楽しいのか分からないけれど、若が満足そうなので、とりあえず良しとしておこう。