新門紅丸
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どこか心が満たされたように感じるのはおいしいものを食べたからに違いない。その名もチョコレート。響きもかわいい。浅草にもおいしいものはたくさんあるけれど、あそこまで濃厚でコクのある甘味はないように思う。
そして皇国にはバレンタインという、友人や恋人たちにチョコを渡して感謝の気持ちや愛を伝えるお祭りがあるのだとか。
私がチョコを口にできたのもそのお祭りのおかげだ。第八に報告書を渡しに行ったら茉希ちゃんたちがたくさんチョコをくれて、ヒカヒナや紺さんにもと手土産までもらって。まさに幸せでホクホクしている。
そんなことを紅ちゃんに伝えればそっけない相槌が返ってきた。何か良いことでもあったのか、と訊かれたから答えたのに。
まぁいいや。茉希ちゃんたちにもらったチョコでも食べよう。
その場から立ち去ろうとして、くいと着物の袖を引っ張られる。
「何?」
振り向くと紅ちゃんが「ン」と右掌を差し出してきた。そこには何もない。首を傾げると「俺にはねェのか、ちょこ」と一言。
「え」
彼が甘いチョコを欲しがる理由はない、はず。けれど私からの、恋人からの本命は欲しいと、表情に反して熱っぽい瞳が語っている。どうにかしたい気持ちはあるけれど
「ごめん」
「……」
「来年! 来年は絶対用意するから!」
だから機嫌を直してと、私は必死にそっぽを向いて拗ねる恋人を宥めたのだった。
そして皇国にはバレンタインという、友人や恋人たちにチョコを渡して感謝の気持ちや愛を伝えるお祭りがあるのだとか。
私がチョコを口にできたのもそのお祭りのおかげだ。第八に報告書を渡しに行ったら茉希ちゃんたちがたくさんチョコをくれて、ヒカヒナや紺さんにもと手土産までもらって。まさに幸せでホクホクしている。
そんなことを紅ちゃんに伝えればそっけない相槌が返ってきた。何か良いことでもあったのか、と訊かれたから答えたのに。
まぁいいや。茉希ちゃんたちにもらったチョコでも食べよう。
その場から立ち去ろうとして、くいと着物の袖を引っ張られる。
「何?」
振り向くと紅ちゃんが「ン」と右掌を差し出してきた。そこには何もない。首を傾げると「俺にはねェのか、ちょこ」と一言。
「え」
彼が甘いチョコを欲しがる理由はない、はず。けれど私からの、恋人からの本命は欲しいと、表情に反して熱っぽい瞳が語っている。どうにかしたい気持ちはあるけれど
「ごめん」
「……」
「来年! 来年は絶対用意するから!」
だから機嫌を直してと、私は必死にそっぽを向いて拗ねる恋人を宥めたのだった。
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