新門紅丸
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お前さん、見ねェ顔だな。へェ最近こっちに越してきたのか。場所は……三丁目ってェと呉服屋の近くか。羨ましいねェ、毎日べっぴんさん拝み放題じゃねェか。ん? 何の話って、まさかお前さん、呉服屋の一人娘を知らねェのか? 俺ァてっきりあの子目当てで越してきたとばかり。そうか。勘違いして悪かったな、あとで珈琲牛乳でも奢るから勘弁してくれや。風呂上がりに飲む珈琲牛乳は格別だぜ。
それにしても、呉服屋ンとこの嬢ちゃんを見たことねェとは勿体ねェ。立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花っつう言葉があンだろ? あれはあの子のためにある言葉だ。大げさ? はは、んなことねェよ。お前さんも一度見りゃあわかる。
呉服屋ンとこの嬢ちゃんは遅くにできた子で、しかも一人娘ときたもんだから、それはもうみんなに可愛がられてよ。蝶よ花よと育てられ、誰もが見惚れるべっぴんさんに成長した。それで性格も捻くれてねェってンだから、男ならみんな好きになっちまう。けどあの子は誰にも靡かねェ。浮いた噂ひとつもねェ。こないだ皇国の金持ちから求婚されたらしいが、それも「私には勿体ないお話ですので……」なんて断ったとか。
高嶺の花は未だ手折られずってなァ。一体誰があの子のはぁとを射止めるやら。俺? どうかねェ。あの子とは寺子屋からの仲だけどよ。お、紅じゃねェか! 賭場帰りにひとっ風呂ってか。なんだ、今日は勝ったのか? はは、冗談だって。そんな怒るなよ。お前、賭け事だけはてんで駄目だもんなァ。どうした? お前さん、まさかこいつのことも知らねェのか。紅は浅草火消しの……おい紅、なんか落とした……。ああ、これ……シャクナゲの簪……。へェ、ツレの……。な、なんでもねぇよ。ほら、風呂入りに来たんだろ! さっさと入れよ!
……なに見てンだよ。うるせェ、泣いてねェ! ただあの簪が、あの子の一等大事にしてたやつで。それが、紅の懐から出てきた……だけで。
ああ、そうか。高嶺の花はとっくに手折られてたんだなァ。ああ、クソ! 水くせェな紅のやつも。
あ? 酒でも飲みに行こうって? お前さんの奢りで? いいぜ、ちょうど飲みたい気分だったんだ。朝まで付き合えよ、新入り!
それにしても、呉服屋ンとこの嬢ちゃんを見たことねェとは勿体ねェ。立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花っつう言葉があンだろ? あれはあの子のためにある言葉だ。大げさ? はは、んなことねェよ。お前さんも一度見りゃあわかる。
呉服屋ンとこの嬢ちゃんは遅くにできた子で、しかも一人娘ときたもんだから、それはもうみんなに可愛がられてよ。蝶よ花よと育てられ、誰もが見惚れるべっぴんさんに成長した。それで性格も捻くれてねェってンだから、男ならみんな好きになっちまう。けどあの子は誰にも靡かねェ。浮いた噂ひとつもねェ。こないだ皇国の金持ちから求婚されたらしいが、それも「私には勿体ないお話ですので……」なんて断ったとか。
高嶺の花は未だ手折られずってなァ。一体誰があの子のはぁとを射止めるやら。俺? どうかねェ。あの子とは寺子屋からの仲だけどよ。お、紅じゃねェか! 賭場帰りにひとっ風呂ってか。なんだ、今日は勝ったのか? はは、冗談だって。そんな怒るなよ。お前、賭け事だけはてんで駄目だもんなァ。どうした? お前さん、まさかこいつのことも知らねェのか。紅は浅草火消しの……おい紅、なんか落とした……。ああ、これ……シャクナゲの簪……。へェ、ツレの……。な、なんでもねぇよ。ほら、風呂入りに来たんだろ! さっさと入れよ!
……なに見てンだよ。うるせェ、泣いてねェ! ただあの簪が、あの子の一等大事にしてたやつで。それが、紅の懐から出てきた……だけで。
ああ、そうか。高嶺の花はとっくに手折られてたんだなァ。ああ、クソ! 水くせェな紅のやつも。
あ? 酒でも飲みに行こうって? お前さんの奢りで? いいぜ、ちょうど飲みたい気分だったんだ。朝まで付き合えよ、新入り!