新門紅丸
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「わ」
突然お腹に回された腕に思わず声を上げる。
「びっくりしたぁ」
ゆるりと、けれど逃げられない程度に力を入れて背後から私を抱きしめるその人は紅さんだった。無言のまま、すりと甘えるように頬を寄せてくる。
恋人同士になってから知ったことだが、彼は意外と甘えただ。二人きりの時は特にそう。可愛くてつい絆されそうになるが、今日ばかりは私も心を鬼にする。
「駄目ですよ」
一言そう告げれば、むっとしたのが気配でわかった。でも駄目なものは駄目。
背中に感じる体温はいつもよりずっと高い。まだ酔いが覚めていないのだろう。しこたま酒を飲んだ彼はさっきまで居間でぐっすりだった。
さすがに飲み過ぎだと彼の酒瓶を隠したのだが、もうねだりに来るとは。
「あげませんからね」
「なんで」
「なんでも」
「……他の奴にやんのか」
「はい?」
きょとんとする私に紅さんが呟く。
「今日、ヒカゲとヒナタ連れて第八に行ってただろ」
その一言でやっと彼の欲しがっていたものに気づく。
「だって、ああいうの嫌いでしょ」
「ああ」
「甘いのも」
「けど、いらねェとは言ってねェ」
不貞腐れたような声に、つい笑ってしまった。
二月十四日。皇国のお祭り『ばれんたいん』。明日のおやつにでもしようと思っていた手作りちょこれーとは、図らずも恋人の胃におさまることとなった。
突然お腹に回された腕に思わず声を上げる。
「びっくりしたぁ」
ゆるりと、けれど逃げられない程度に力を入れて背後から私を抱きしめるその人は紅さんだった。無言のまま、すりと甘えるように頬を寄せてくる。
恋人同士になってから知ったことだが、彼は意外と甘えただ。二人きりの時は特にそう。可愛くてつい絆されそうになるが、今日ばかりは私も心を鬼にする。
「駄目ですよ」
一言そう告げれば、むっとしたのが気配でわかった。でも駄目なものは駄目。
背中に感じる体温はいつもよりずっと高い。まだ酔いが覚めていないのだろう。しこたま酒を飲んだ彼はさっきまで居間でぐっすりだった。
さすがに飲み過ぎだと彼の酒瓶を隠したのだが、もうねだりに来るとは。
「あげませんからね」
「なんで」
「なんでも」
「……他の奴にやんのか」
「はい?」
きょとんとする私に紅さんが呟く。
「今日、ヒカゲとヒナタ連れて第八に行ってただろ」
その一言でやっと彼の欲しがっていたものに気づく。
「だって、ああいうの嫌いでしょ」
「ああ」
「甘いのも」
「けど、いらねェとは言ってねェ」
不貞腐れたような声に、つい笑ってしまった。
二月十四日。皇国のお祭り『ばれんたいん』。明日のおやつにでもしようと思っていた手作りちょこれーとは、図らずも恋人の胃におさまることとなった。