新門紅丸
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熱い吐息が肌を撫ぜる。首筋に沿って、下へ。下へ。
「紅丸さん、待って……」
「待たねェ」
はだけた胸元に彼が顔を埋める。ぬるりと舌が這う感触に思わず声を漏らすと、赤い瞳が僅かに細められたような気がした。ふいに強く肌を吸われてピリッと痛みが走る。やめても嫌だも聞き入れてもらえなかった。紅丸さんは私を布団に縫いとめたまま、何度も同じところに口づけを落としてくる。その度に痛くて、痛かったはずで。じわじわと奥底に溜まっていく甘い痺れは、きっと気のせいだ。そう思わないと、一気に流されてしまいそうになる。
耐えるように唇を噛んでいると、顔を上げた紅丸さんがあからさまに不機嫌そうな顔をした。そのまま身を屈めたと思ったらべろりと唇を舐められて、反射的に開いた口に舌をねじ込まれる。
「……っ、ふ」
熱くて溶けてしまいそうな口づけは、少しだけ鉄の味がした。遅れてやってきた痛みに自分の唇が切れてしまっていることに気づく。
「噛んでんじゃねェよ」
「だって、紅丸さんがこんなことしてくるから……」
こんなこと、といざ言葉にすると急に恥ずかしくなってくる。顔に熱が集まるのを感じて、それを悟られぬよう目を伏せると、胸元にはくっきりとした赤い痕がいくつも残されていた。さらに熱が上がる気配がしたがどうしようもない。
「お前が言ったんだろ。揃いのもんが欲しいって」
「それは……」
──紅丸さんが言わせたんじゃない。私は言いたくなかったのに。
皇国では恋人たちはお揃いのものを身につけることがある。それは指輪だったり、腕時計だったり人それぞれで、もちろん身につけない人たちもたくさんいる。
皇国生まれの私はああいうのに、ちょっと憧れがあっただけ。すごく欲しかった訳でもないから黙っていたら、何かを察したらしい紅丸さんが言いたいことがあるなら言えと強要してきたのだ。だから私は正直に話して、その時一緒に、私のわがままを紅丸さんに押し付けるつもりはないとも伝えたのに。
「買ってやるって言ってんのに、指輪もいらねェとか抜かしやがって」
「だって本当のことだもの」
紅丸さんの手はここ浅草の人々を弔う大切な手だ。指輪なんて邪魔でしかない。いくら紅丸さんがいいと言えども、そこは譲れなかった。
「ならこれしかねェだろ。邪魔にならねェ揃いのもんは」
「そんなこと……んっ」
紅丸さんが再び姿勢を低くしてきつく肌に吸い付いた。胸元に赤い花びらが増えていき、落ち着きかけていた熱も上がり始める。拒む意思はとっくに溶けきって、もっとと強請るように紅丸さんの頭を抱き寄せると、突然彼は動きを止めてごろりと私ごと寝返りを打った。
「揃いっつったろうが。次はお前の番だ」
さっきまでと立場が逆転する。こんな風に紅丸さんを見下ろすのは初めてだった。
ゆっくりと法被の前を広げ、促されるまま鎖骨の下あたりに強く口づける。けれど紅丸さんが残したような痕にはならなかった。何度も何度も繰り返して漸くうっすらとそれらしい痕がつく程度。それでも紅丸さんは満足したようで、私のつけた痕をなぞりながら「悪くねェ」と呟くのだった。
「紅丸さん、待って……」
「待たねェ」
はだけた胸元に彼が顔を埋める。ぬるりと舌が這う感触に思わず声を漏らすと、赤い瞳が僅かに細められたような気がした。ふいに強く肌を吸われてピリッと痛みが走る。やめても嫌だも聞き入れてもらえなかった。紅丸さんは私を布団に縫いとめたまま、何度も同じところに口づけを落としてくる。その度に痛くて、痛かったはずで。じわじわと奥底に溜まっていく甘い痺れは、きっと気のせいだ。そう思わないと、一気に流されてしまいそうになる。
耐えるように唇を噛んでいると、顔を上げた紅丸さんがあからさまに不機嫌そうな顔をした。そのまま身を屈めたと思ったらべろりと唇を舐められて、反射的に開いた口に舌をねじ込まれる。
「……っ、ふ」
熱くて溶けてしまいそうな口づけは、少しだけ鉄の味がした。遅れてやってきた痛みに自分の唇が切れてしまっていることに気づく。
「噛んでんじゃねェよ」
「だって、紅丸さんがこんなことしてくるから……」
こんなこと、といざ言葉にすると急に恥ずかしくなってくる。顔に熱が集まるのを感じて、それを悟られぬよう目を伏せると、胸元にはくっきりとした赤い痕がいくつも残されていた。さらに熱が上がる気配がしたがどうしようもない。
「お前が言ったんだろ。揃いのもんが欲しいって」
「それは……」
──紅丸さんが言わせたんじゃない。私は言いたくなかったのに。
皇国では恋人たちはお揃いのものを身につけることがある。それは指輪だったり、腕時計だったり人それぞれで、もちろん身につけない人たちもたくさんいる。
皇国生まれの私はああいうのに、ちょっと憧れがあっただけ。すごく欲しかった訳でもないから黙っていたら、何かを察したらしい紅丸さんが言いたいことがあるなら言えと強要してきたのだ。だから私は正直に話して、その時一緒に、私のわがままを紅丸さんに押し付けるつもりはないとも伝えたのに。
「買ってやるって言ってんのに、指輪もいらねェとか抜かしやがって」
「だって本当のことだもの」
紅丸さんの手はここ浅草の人々を弔う大切な手だ。指輪なんて邪魔でしかない。いくら紅丸さんがいいと言えども、そこは譲れなかった。
「ならこれしかねェだろ。邪魔にならねェ揃いのもんは」
「そんなこと……んっ」
紅丸さんが再び姿勢を低くしてきつく肌に吸い付いた。胸元に赤い花びらが増えていき、落ち着きかけていた熱も上がり始める。拒む意思はとっくに溶けきって、もっとと強請るように紅丸さんの頭を抱き寄せると、突然彼は動きを止めてごろりと私ごと寝返りを打った。
「揃いっつったろうが。次はお前の番だ」
さっきまでと立場が逆転する。こんな風に紅丸さんを見下ろすのは初めてだった。
ゆっくりと法被の前を広げ、促されるまま鎖骨の下あたりに強く口づける。けれど紅丸さんが残したような痕にはならなかった。何度も何度も繰り返して漸くうっすらとそれらしい痕がつく程度。それでも紅丸さんは満足したようで、私のつけた痕をなぞりながら「悪くねェ」と呟くのだった。