新門紅丸
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
幼馴染の紅ちゃんと恋仲になった。
きっと叶わない、そう決めつけていた想いが実ってどれほど嬉しかったことか。けれど兄妹みたいな、姉弟みたいな。そんな関係が長すぎて、今更どう接していいのかわからない。
今日だって、紅ちゃんと手が触れただけで心臓が驚くほど跳ね上がって、逃げてきてしまった。まあその後すぐに捕まって、詰所に連れて来られたのだけど。
縁側の柱にもたれて寝息を立てる恋人は、こんな私のどこがいいのか、未だ愛想も尽かさず傍に置いてくれている。少しでも触れようものなら逃げ出すばかりで、ちっとも可愛くないこの私を。
物好きだな、と思う。でもそれが、どうしようもなく嬉しい。
酔っ払って眠ってしまった紅ちゃんの手から一升瓶を奪い取り、自分のお猪口にお酒を注ぐ。一献、二献と盃を重ねていけば、紅ちゃんよりお酒に強い私でもそれなりに酔いが回り、気が大きくなっていく。
「紅ちゃん、好きよ」
彼の大きな手に指先だけからめて、想いを告げる。
恋仲なのにちっとも甘くならない私たちの関係に、お砂糖ひとさじ。それができるのは、まだ、こうやって酔っている間だけ。
「好き」
もう一度紡いだその言葉は、紅ちゃんに届くことなく、夜のしじまに溶けていく。本人に言わないと意味がないのはわかってるけど、今の私にはこれが精一杯。
ーーいつか、必ず言うから。だから、もう少しだけ待って。
きゅっとからめた指先に力を入れると、握り返されたような気がして、慌てて手を引っ込める。恐る恐る顔を覗くと起きてはいないようで、ほっと胸を撫で下ろしつつ、再び指先を近づけた。まだまだ、道のりは遠そうだ。
ふと空を見上げると春三日月が浮かんでいて、きっと一部始終を見ていたのだろう、その顔は捻くれ者の恋模様を楽しむように笑っていた。
きっと叶わない、そう決めつけていた想いが実ってどれほど嬉しかったことか。けれど兄妹みたいな、姉弟みたいな。そんな関係が長すぎて、今更どう接していいのかわからない。
今日だって、紅ちゃんと手が触れただけで心臓が驚くほど跳ね上がって、逃げてきてしまった。まあその後すぐに捕まって、詰所に連れて来られたのだけど。
縁側の柱にもたれて寝息を立てる恋人は、こんな私のどこがいいのか、未だ愛想も尽かさず傍に置いてくれている。少しでも触れようものなら逃げ出すばかりで、ちっとも可愛くないこの私を。
物好きだな、と思う。でもそれが、どうしようもなく嬉しい。
酔っ払って眠ってしまった紅ちゃんの手から一升瓶を奪い取り、自分のお猪口にお酒を注ぐ。一献、二献と盃を重ねていけば、紅ちゃんよりお酒に強い私でもそれなりに酔いが回り、気が大きくなっていく。
「紅ちゃん、好きよ」
彼の大きな手に指先だけからめて、想いを告げる。
恋仲なのにちっとも甘くならない私たちの関係に、お砂糖ひとさじ。それができるのは、まだ、こうやって酔っている間だけ。
「好き」
もう一度紡いだその言葉は、紅ちゃんに届くことなく、夜のしじまに溶けていく。本人に言わないと意味がないのはわかってるけど、今の私にはこれが精一杯。
ーーいつか、必ず言うから。だから、もう少しだけ待って。
きゅっとからめた指先に力を入れると、握り返されたような気がして、慌てて手を引っ込める。恐る恐る顔を覗くと起きてはいないようで、ほっと胸を撫で下ろしつつ、再び指先を近づけた。まだまだ、道のりは遠そうだ。
ふと空を見上げると春三日月が浮かんでいて、きっと一部始終を見ていたのだろう、その顔は捻くれ者の恋模様を楽しむように笑っていた。