新門紅丸
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ヒカゲ、ヒナタと詰所のお風呂に入っているときのことだった。身体を洗い終え湯船に浸かろうと髪を上げると、先に湯船で遊んでいたヒカヒナが目を丸くして一点を指す。
「どうした姉御、首んとこ」
「くっきり歯型がついてんぞ‼︎」
首……歯型……?
そんなものに身に覚えは?とうなじをなぞってハッとする。
独占欲を主張するように残された跡は、指先で触れるとまだ昨晩の熱がこもっているような気さえしてくる。
うっかりしていた。見えるところには付けないでとは言ったけれども、確かに見えないところだけれども。
慌ててうなじを両手で隠すもヒカヒナは興味津々と目を輝かせている。
けれど正直に言うことなんてできるはずがない。
「こ、これは〜、えーっと…」
のちに私はこの選択を後悔することとなる。
次の日のこと。縁側に座って外を眺めていると、どかりと隣に紅が腰掛けてきた。
「おい」
「どうしたの、紅?」
何か用かと首を傾げると、紅は顎で裏庭を指す。
「あいつらのアレ、どういうこった?」
アレ、というのは大きな虫取り網を持って詰所中を駆け回るヒカヒナのことだろう。今は裏庭を探索中らしい。
「犬を探してるんだって」
「犬……? あぁそういやぁ朝から騒いでたな。しつけがなってねェ犬っころを捕まえるって」
ぎくりと胸が鳴る。
大丈夫。紅もきっとヒカヒナみたいにただの犬を探してると思ってる、はず。
「悪かったなァ、しつけがなってなくて」
するりと着物の上から太ももを撫でられて、思わず肩が跳ねた。
「ちょ、紅……⁈」
「そんなに言うなら責任持ってしつけてくれるんだよなァ?」
いつもぶっきらぼうなくせに、なんて楽しそうな顔をしているのだろう。その表情に胸が高鳴ってしまうのが悔しい。
「ま、待って‼︎」
待てなど知らぬ、とでもいうように、紅は無言で私を担ぎ上げる。
抵抗虚しく部屋までの道のりを揺られながら、しつけなんて到底できそうもないと思うのだった。
後日談
「ヒカヒナはまだ犬を探してるの?」
「ちげぇよ! 今は猫を探してんだ。よく鳴く猫をよ!」
「若の背中にでかい引っ掻き傷作って逃げてったんだってよ」
「……」
「猫ってぇのは犬よりしつけに時間がかかるんだとよ。じっくりしつけてやらねェとなぁ」
「待ってごめんなさい、お願い待って!」
「どうした姉御、首んとこ」
「くっきり歯型がついてんぞ‼︎」
首……歯型……?
そんなものに身に覚えは?とうなじをなぞってハッとする。
独占欲を主張するように残された跡は、指先で触れるとまだ昨晩の熱がこもっているような気さえしてくる。
うっかりしていた。見えるところには付けないでとは言ったけれども、確かに見えないところだけれども。
慌ててうなじを両手で隠すもヒカヒナは興味津々と目を輝かせている。
けれど正直に言うことなんてできるはずがない。
「こ、これは〜、えーっと…」
のちに私はこの選択を後悔することとなる。
次の日のこと。縁側に座って外を眺めていると、どかりと隣に紅が腰掛けてきた。
「おい」
「どうしたの、紅?」
何か用かと首を傾げると、紅は顎で裏庭を指す。
「あいつらのアレ、どういうこった?」
アレ、というのは大きな虫取り網を持って詰所中を駆け回るヒカヒナのことだろう。今は裏庭を探索中らしい。
「犬を探してるんだって」
「犬……? あぁそういやぁ朝から騒いでたな。しつけがなってねェ犬っころを捕まえるって」
ぎくりと胸が鳴る。
大丈夫。紅もきっとヒカヒナみたいにただの犬を探してると思ってる、はず。
「悪かったなァ、しつけがなってなくて」
するりと着物の上から太ももを撫でられて、思わず肩が跳ねた。
「ちょ、紅……⁈」
「そんなに言うなら責任持ってしつけてくれるんだよなァ?」
いつもぶっきらぼうなくせに、なんて楽しそうな顔をしているのだろう。その表情に胸が高鳴ってしまうのが悔しい。
「ま、待って‼︎」
待てなど知らぬ、とでもいうように、紅は無言で私を担ぎ上げる。
抵抗虚しく部屋までの道のりを揺られながら、しつけなんて到底できそうもないと思うのだった。
後日談
「ヒカヒナはまだ犬を探してるの?」
「ちげぇよ! 今は猫を探してんだ。よく鳴く猫をよ!」
「若の背中にでかい引っ掻き傷作って逃げてったんだってよ」
「……」
「猫ってぇのは犬よりしつけに時間がかかるんだとよ。じっくりしつけてやらねェとなぁ」
「待ってごめんなさい、お願い待って!」