新門紅丸
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こくり、こくり。丸っこい頭が揺れている。
「おい、寝るなら布団……」
「んん、起きてる」
「おい」
「やだぁ」
ぐずるように唸ったかと思えば、もたれかかる頭からすぐにすぅすぅと規則正しい寝息が聞こえてきた。
寝てンじゃねェか。
はぁ、と息を吐き、眠ってしまった恋人を抱き上げる。二月十九日、いやもう二十日か。この日をこうして迎えるのも、もう何度目かわからない。
『私が一番に紅ちゃんにおめでとうって言うの!』
ガキの頃、張り切ってそう言ったこいつは日を跨ぐ前に寝た。それからは毎年同じことの繰り返し。早かろうが遅かろうが変わらねェからとっとと寝ろと言っても頑なに聞きゃしねェ。運ぶこっちの身にもなれってンだ。まあ、ガキの頃に運んでたのは紺炉だが。
もう紺炉に頼らずともこいつを運べるようになった。俺たちの関係もあの頃と随分変わった。なのにこいつと来たら、今も昔もーー。
「ん……べにちゃ……」
「寝てろ。明日も早ェんだろ」
「おめでと」
「ン」
満足そうな顔して寝てらァ。
そんな言葉ひとつ言うために、毎年毎年ご苦労なこった。俺も俺で、毎年その言葉を聞くためだけに付き合ってンだが……それを言うことは一生ない。こいつは何も知らねェまま、言いたいこと言って、俺の腕ン中で満足そうに眠ってりゃいい。来年も、再来年も、その先も。それでいい。
「おい、寝るなら布団……」
「んん、起きてる」
「おい」
「やだぁ」
ぐずるように唸ったかと思えば、もたれかかる頭からすぐにすぅすぅと規則正しい寝息が聞こえてきた。
寝てンじゃねェか。
はぁ、と息を吐き、眠ってしまった恋人を抱き上げる。二月十九日、いやもう二十日か。この日をこうして迎えるのも、もう何度目かわからない。
『私が一番に紅ちゃんにおめでとうって言うの!』
ガキの頃、張り切ってそう言ったこいつは日を跨ぐ前に寝た。それからは毎年同じことの繰り返し。早かろうが遅かろうが変わらねェからとっとと寝ろと言っても頑なに聞きゃしねェ。運ぶこっちの身にもなれってンだ。まあ、ガキの頃に運んでたのは紺炉だが。
もう紺炉に頼らずともこいつを運べるようになった。俺たちの関係もあの頃と随分変わった。なのにこいつと来たら、今も昔もーー。
「ん……べにちゃ……」
「寝てろ。明日も早ェんだろ」
「おめでと」
「ン」
満足そうな顔して寝てらァ。
そんな言葉ひとつ言うために、毎年毎年ご苦労なこった。俺も俺で、毎年その言葉を聞くためだけに付き合ってンだが……それを言うことは一生ない。こいつは何も知らねェまま、言いたいこと言って、俺の腕ン中で満足そうに眠ってりゃいい。来年も、再来年も、その先も。それでいい。