新門紅丸
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「若、見てください! 若ー‼︎」
帰ってすぐに向かったのは自分の部屋ではなく、若の部屋。
朝からうるせェと振り向いた彼は眠そうな目を一瞬丸くする。
「どうですか? 似合ってます?」
その場でくるりと回ってみせると、ふわりと長い袖も一緒に舞う。
今日は成人の日。悩みに悩んで決めた赤地に辻が花の振袖は、この日のためのとっておき。
日が昇る前に起きていつもとは違う化粧をして、髪も若に頼むのをぐっと我慢して他の人にお願いした。
それも全部、一番にこの姿を若に見せたかったからだ。
「若?」
素直に褒めてくれるとは微塵も思っていなかったけれど、なにも言われないのは予想外だった。
まだ寝ぼけているのかと、彼の前で袖を振る。
「おーい、若ー、起きてますか?」
「てめェ、それ意味わかってやってんのか」
「はい?」
意味とは? なんのことだろう?
首を傾げていると、若は小さく溜息を吐いて私の鼻をつまんだ。
「むぎゃっ⁉︎」
「わからねェなら今は構わねェ。その長ェ袖もじきに俺が短くしてやる」
「は⁉︎ やめてくださいよ、高いんですから振袖は……もぎゃっ‼︎」
もう一度鼻をつまんで気が済んだのか、彼は立ち上がって部屋を出て行ってしまった。
痛む鼻を押さえながら、うーんと唸る。明日は雨が降るかもしれない。もしかしたら雪、いや槍かも。
閉じた襖の向こうから聞こえた「似合ってる」が私の空耳でなければの話だけど。
帰ってすぐに向かったのは自分の部屋ではなく、若の部屋。
朝からうるせェと振り向いた彼は眠そうな目を一瞬丸くする。
「どうですか? 似合ってます?」
その場でくるりと回ってみせると、ふわりと長い袖も一緒に舞う。
今日は成人の日。悩みに悩んで決めた赤地に辻が花の振袖は、この日のためのとっておき。
日が昇る前に起きていつもとは違う化粧をして、髪も若に頼むのをぐっと我慢して他の人にお願いした。
それも全部、一番にこの姿を若に見せたかったからだ。
「若?」
素直に褒めてくれるとは微塵も思っていなかったけれど、なにも言われないのは予想外だった。
まだ寝ぼけているのかと、彼の前で袖を振る。
「おーい、若ー、起きてますか?」
「てめェ、それ意味わかってやってんのか」
「はい?」
意味とは? なんのことだろう?
首を傾げていると、若は小さく溜息を吐いて私の鼻をつまんだ。
「むぎゃっ⁉︎」
「わからねェなら今は構わねェ。その長ェ袖もじきに俺が短くしてやる」
「は⁉︎ やめてくださいよ、高いんですから振袖は……もぎゃっ‼︎」
もう一度鼻をつまんで気が済んだのか、彼は立ち上がって部屋を出て行ってしまった。
痛む鼻を押さえながら、うーんと唸る。明日は雨が降るかもしれない。もしかしたら雪、いや槍かも。
閉じた襖の向こうから聞こえた「似合ってる」が私の空耳でなければの話だけど。