新門紅丸
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陽当たりの良い縁側に見覚えのある背中がひとつ。そっと隣に腰掛けて覗き込むと、紅さんが柱にもたれてすやすやと寝息を立てていた。
穏やかな寝顔に頬を緩ませて、とんと軽く、眠る彼に頭を寄せる。陽の光をたっぷり浴びた濃紺の法被は干したてのお布団みたいにふかふかで気持ちいい。紅さんが日向ぼっこついでに眠ってしまうのもわかる気がする。
私も、少しだけ。
目を閉じて深く深く息を吸う。肺を満たすのはお天道様と石鹸と、それから彼の匂い。私の大好きな匂いだ。
毎夜抱きしめられるとすぐに寝てしまってしょっちゅう紅さんに文句を言われるのだけど、好きな人の匂いに包まれると安心しきってしまうのだから仕方ない。今だってそう。もっと近くに感じたくて、ゆったりと押し寄せる睡魔に身を任せたくて。猫みたいに擦り寄った。
「……何してンだ」
「ん、紅さんはお天道様の匂いがするなって」
低く掠れた声が鼓膜を揺らす。寝起き特有のそれに笑みを零すと突然ぐっと腰を引き寄せられた。さらりとした黒髪が肌を撫で、彼がすんすんと鼻を鳴らす。髪から首筋、衿元へと鼻先が滑り「くすぐったいよ」と身を捩るもびくともしない。
「甘ェ」
「え?」
「お前は甘ェ匂いがする」
ゆっくりと息を吐きながら紅さんが言った。私を見つめる赤い瞳が妙に色っぽくて、その視線から逃げるように慌てて自分の手首に鼻先を近付ける。香水も付けてないし、嗅いでみても紅さんの言うような甘い匂いはしないと思うけど。正直自分の匂いなんてよくわからない。
「あ、もしかしておばあちゃんの大福かな。いらないと思って紅さんの分も食べちゃった」
鼻が利くね、なんて返したら、不機嫌な彼におでこを強かに小突かれて、おまけとばかりに首筋にがぶりといかれてしまった。
穏やかな寝顔に頬を緩ませて、とんと軽く、眠る彼に頭を寄せる。陽の光をたっぷり浴びた濃紺の法被は干したてのお布団みたいにふかふかで気持ちいい。紅さんが日向ぼっこついでに眠ってしまうのもわかる気がする。
私も、少しだけ。
目を閉じて深く深く息を吸う。肺を満たすのはお天道様と石鹸と、それから彼の匂い。私の大好きな匂いだ。
毎夜抱きしめられるとすぐに寝てしまってしょっちゅう紅さんに文句を言われるのだけど、好きな人の匂いに包まれると安心しきってしまうのだから仕方ない。今だってそう。もっと近くに感じたくて、ゆったりと押し寄せる睡魔に身を任せたくて。猫みたいに擦り寄った。
「……何してンだ」
「ん、紅さんはお天道様の匂いがするなって」
低く掠れた声が鼓膜を揺らす。寝起き特有のそれに笑みを零すと突然ぐっと腰を引き寄せられた。さらりとした黒髪が肌を撫で、彼がすんすんと鼻を鳴らす。髪から首筋、衿元へと鼻先が滑り「くすぐったいよ」と身を捩るもびくともしない。
「甘ェ」
「え?」
「お前は甘ェ匂いがする」
ゆっくりと息を吐きながら紅さんが言った。私を見つめる赤い瞳が妙に色っぽくて、その視線から逃げるように慌てて自分の手首に鼻先を近付ける。香水も付けてないし、嗅いでみても紅さんの言うような甘い匂いはしないと思うけど。正直自分の匂いなんてよくわからない。
「あ、もしかしておばあちゃんの大福かな。いらないと思って紅さんの分も食べちゃった」
鼻が利くね、なんて返したら、不機嫌な彼におでこを強かに小突かれて、おまけとばかりに首筋にがぶりといかれてしまった。