新門紅丸
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縁側から賑やかな声が聞こえてきて、つられるように覗き込む。
確か紅さんが日向ぼっこをしていたはずだ。
冬とは思えぬぽかぽかの陽気に気持ち良さそうにしてたからそっとしておいたのだけれど、束の間の休息は双子たちに破られたみたいだ。
ヒカゲとヒナタが紅さんの両肩にしがみついて戯れついている。
交互に体重をかけるものだから、肩からずるりと法被が落ちては紅さんが戻しを繰り返す。
前にも見たなぁ。
あれは第八の人たちが初めてこの詰所に押しかけてきたときのことだったか。口の悪い双子だけれど、それなりに人見知りでもあって、紅さんの後ろで隠れるように様子をうかがっていた。
その時も同じように法被がずり落ちて、その度に紅さんが直してたっけ。
後ろでその様子を見ていた私は、真剣な話に水を差してはいけないと、必死に笑いを堪えていたのだけれど。
ひとしきり戯れて満足したのか双子は裏庭から外へと飛び出して行った。
紅さんの日向ぼっこ再開だ。もう少ししたらお茶を入れて、私もご一緒させてもらおう。
と、思ったのだけれど。
「おい。ヒカゲ、ヒナタいい加減に……」
「わっ⁈」
紅さんが振り返ると思ってなくて、顔の近さに思わず仰け反る。じぃっと紅い双眸が向けられるのを感じるも、私は顔を合わすまいと必死だ。この距離で紅さんの顔を直視する勇気はない。
「おい、何のつもりだ」
「ちょっと魔が差しまして……」
紅さんの背中が干したてのお布団みたいにふかふかしてそうで、触れたら双子みたいに戯れてみたくなって。そんなつもりはなかったので、魔が差したとしか言いようがない。
「誘ってンのか?」
「はっ⁈」
紅さんの形のいい唇が弧を描く。
「結果として法被をずり下ろしましたけど、双子の真似をしただけで断じてそんなつもりは……!」
「好いた女の誘いは断るわけにはいかねェよなァ」
手を取られて引き寄せられる。紅さんの太ももに倒れ込んで慌てて身体を捻ると、指を絡ませられて縫い止められた。
影を落とす黒髪は逃がすまいとする檻のようで、覗く瞳は逸らすことを許さない。
するりとかさついた手が頬、輪郭となぞりながら下りてくる。
「べに、さん……」
急かすように、縋るように彼の法被に皺を作れば、紅い瞳がわずかに細められた。
熱を孕んだ瞳に囚われてしまっては、もうどこにも逃げられないと私はよく知っているのだ。
確か紅さんが日向ぼっこをしていたはずだ。
冬とは思えぬぽかぽかの陽気に気持ち良さそうにしてたからそっとしておいたのだけれど、束の間の休息は双子たちに破られたみたいだ。
ヒカゲとヒナタが紅さんの両肩にしがみついて戯れついている。
交互に体重をかけるものだから、肩からずるりと法被が落ちては紅さんが戻しを繰り返す。
前にも見たなぁ。
あれは第八の人たちが初めてこの詰所に押しかけてきたときのことだったか。口の悪い双子だけれど、それなりに人見知りでもあって、紅さんの後ろで隠れるように様子をうかがっていた。
その時も同じように法被がずり落ちて、その度に紅さんが直してたっけ。
後ろでその様子を見ていた私は、真剣な話に水を差してはいけないと、必死に笑いを堪えていたのだけれど。
ひとしきり戯れて満足したのか双子は裏庭から外へと飛び出して行った。
紅さんの日向ぼっこ再開だ。もう少ししたらお茶を入れて、私もご一緒させてもらおう。
と、思ったのだけれど。
「おい。ヒカゲ、ヒナタいい加減に……」
「わっ⁈」
紅さんが振り返ると思ってなくて、顔の近さに思わず仰け反る。じぃっと紅い双眸が向けられるのを感じるも、私は顔を合わすまいと必死だ。この距離で紅さんの顔を直視する勇気はない。
「おい、何のつもりだ」
「ちょっと魔が差しまして……」
紅さんの背中が干したてのお布団みたいにふかふかしてそうで、触れたら双子みたいに戯れてみたくなって。そんなつもりはなかったので、魔が差したとしか言いようがない。
「誘ってンのか?」
「はっ⁈」
紅さんの形のいい唇が弧を描く。
「結果として法被をずり下ろしましたけど、双子の真似をしただけで断じてそんなつもりは……!」
「好いた女の誘いは断るわけにはいかねェよなァ」
手を取られて引き寄せられる。紅さんの太ももに倒れ込んで慌てて身体を捻ると、指を絡ませられて縫い止められた。
影を落とす黒髪は逃がすまいとする檻のようで、覗く瞳は逸らすことを許さない。
するりとかさついた手が頬、輪郭となぞりながら下りてくる。
「べに、さん……」
急かすように、縋るように彼の法被に皺を作れば、紅い瞳がわずかに細められた。
熱を孕んだ瞳に囚われてしまっては、もうどこにも逃げられないと私はよく知っているのだ。