掟破りな恋をしよう
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女子高生in男子校の恋愛奮闘記が始まりを告げた頃、一方ハーツラビュル寮ーーーー
こちらでも、1人の男子生徒が頭を抱えていた。
彼の名はリドル・ローズハート……つまり、キラの想い人である。彼は夜の自主学習をいつも通りの時間に、いつも通りに行おうとしていた。しかし、その日はどうも集中出来ない。と、言うより……
(あ、ここはそろそろ一年生が実験する範囲だな。彼にはまだ難しいだろうから、少しノートにまとめておいてあげよう)
(マンドレイク……彼はまだ知らなくて興味津々、という感じだったね。瞳をキラキラさせながら聞き入ってた)
(明後日は飛行術の試験か。そういえば彼は飛行術の授業の間どうしているのだろう?魔法が使えないと飛べないけれど……)
……と、いうように、勉強している内容からふと彼女ーーリドルにとっては彼ーーのことに脱線してしまうのだ。もちろんこれでは普段通りに進むはずも無く、終了予定時刻をかなりオーバーすることになった。紛うことなき恋愛の初期症状である。
しかし当の本人としては、なぜ自分がこのような状態になっているのかサッパリ分からない。無意識に「彼」のことを考えてしまっているためである。
「今日はなかなか進まなかったな……何が原因だろう。早く見つけて対処しないと」
溜め息混じりに呟くと、ドアが遠慮気味にノックされた。扉を開けると、リドルの予想通りの人物、トレイが立っていた。
「遅くに悪い、今大丈夫か?」
「構わないよ。ちょうどさっき、夜の自習を終えたところだ」
「なら良かった。でも、リドルにしては遅いな。どこか難しい所でもあったのか?」
「今日はなかなか、思ったように進まなくてね。まあそれは良いとして……どうしたんだい?こんな時間に」
「ああ、今日、エースたちと一緒にキラとグリムが遊びに来たから、今週のなんでもない日のパーティーに誘ったんだ」
「なるほど、2人増えるんだね。材料が足りないのかい?」
「いや、それがキラは来れないんだそうだ」
「……そうなのか、それは残念だ」
「それで、用事でもあるのかって聞いたら、『残念ながら私にとってはなんでもない日じゃないんです……』って言っていてたんだ。すごく悔しそうに」
「ということは、もしかして」
「ああ、おそらくキラの誕生日だろう。と、いうわけでその日にキラが好きそうなケーキを作ってやろうと思ってな。リドル、何か知らないか、彼女の好きなものとか」
「全く心当たりが無い訳ではないけれど……なぜボクに?エースやデュースに聞いた方がより正確な情報を得られるだろう?」
トレイはパチパチと瞬きした後、少し微笑んだ。生温かい目で見られたリドルは妙な居心地の悪さを感じ、まあ良いけれど、と言葉を続けた。
「そうだな……薔薇をどうやら気に入っているようだったね。ハーツラビュル(うち)に来た時はよく薔薇園に行きたがるし、ハーツラビュル生(うちの寮生)はいつも薔薇の良い匂いがするとも言っていた」
「薔薇か。なるほど、ケーキにも使えそうだ」
「あと、タルトも好きだと思う。ボクがトレイの苺のタルトについて話した時もなんだか興味深そうにしていたからね」
「じゃあ土台はタルト、薔薇のクリームも良いな。ライチと合わせてイスパハンにしてみようか」
「うん、良いと思うよ。嫌いなフルーツは特に無いと言っていたし」
「よし、とりあえず大体のイメージは出来たな。ありがとう」
「いや、ボクにとっても彼は可愛い後輩だ。力になれて嬉しいよ。ボクも何か用意するかな」
「……ああ、それが良いだろう」
少し間を開けたことに対し、一瞬不思議そうな顔をしたリドルだったが、トレイはなんでもない風を装って、彼の気持ちを図ることは幼馴染たるリドルですら難しくなった。
「それじゃ、そろそろお暇するよ。おやすみ。あったかくして寝るんだぞ」
「ありがとう、トレイもおやすみ。いい夢を」
トレイを見送り、時計を見ればもうなかなかいい時間だった。そろそろ寝ようか、そう呟き、リドルは机の上を片付け始める。ふと、手に持ったシャープペンシルを見て、キラが目を輝かせていたことを思い出した。黒い軸に、銀でトランプのスートが描かれているものだ。黒が基調で、銀も程よいアクセントとして入った上品な仕上がりで、リドル自身も気に入っていた。
たしか色違いで軸が白のものがあったはずだ。誕生日プレゼントが決まり、受け取って喜ぶキラの笑顔を想像して、リドルの口元は柔らかに緩むのであった。
こちらでも、1人の男子生徒が頭を抱えていた。
彼の名はリドル・ローズハート……つまり、キラの想い人である。彼は夜の自主学習をいつも通りの時間に、いつも通りに行おうとしていた。しかし、その日はどうも集中出来ない。と、言うより……
(あ、ここはそろそろ一年生が実験する範囲だな。彼にはまだ難しいだろうから、少しノートにまとめておいてあげよう)
(マンドレイク……彼はまだ知らなくて興味津々、という感じだったね。瞳をキラキラさせながら聞き入ってた)
(明後日は飛行術の試験か。そういえば彼は飛行術の授業の間どうしているのだろう?魔法が使えないと飛べないけれど……)
……と、いうように、勉強している内容からふと彼女ーーリドルにとっては彼ーーのことに脱線してしまうのだ。もちろんこれでは普段通りに進むはずも無く、終了予定時刻をかなりオーバーすることになった。紛うことなき恋愛の初期症状である。
しかし当の本人としては、なぜ自分がこのような状態になっているのかサッパリ分からない。無意識に「彼」のことを考えてしまっているためである。
「今日はなかなか進まなかったな……何が原因だろう。早く見つけて対処しないと」
溜め息混じりに呟くと、ドアが遠慮気味にノックされた。扉を開けると、リドルの予想通りの人物、トレイが立っていた。
「遅くに悪い、今大丈夫か?」
「構わないよ。ちょうどさっき、夜の自習を終えたところだ」
「なら良かった。でも、リドルにしては遅いな。どこか難しい所でもあったのか?」
「今日はなかなか、思ったように進まなくてね。まあそれは良いとして……どうしたんだい?こんな時間に」
「ああ、今日、エースたちと一緒にキラとグリムが遊びに来たから、今週のなんでもない日のパーティーに誘ったんだ」
「なるほど、2人増えるんだね。材料が足りないのかい?」
「いや、それがキラは来れないんだそうだ」
「……そうなのか、それは残念だ」
「それで、用事でもあるのかって聞いたら、『残念ながら私にとってはなんでもない日じゃないんです……』って言っていてたんだ。すごく悔しそうに」
「ということは、もしかして」
「ああ、おそらくキラの誕生日だろう。と、いうわけでその日にキラが好きそうなケーキを作ってやろうと思ってな。リドル、何か知らないか、彼女の好きなものとか」
「全く心当たりが無い訳ではないけれど……なぜボクに?エースやデュースに聞いた方がより正確な情報を得られるだろう?」
トレイはパチパチと瞬きした後、少し微笑んだ。生温かい目で見られたリドルは妙な居心地の悪さを感じ、まあ良いけれど、と言葉を続けた。
「そうだな……薔薇をどうやら気に入っているようだったね。ハーツラビュル(うち)に来た時はよく薔薇園に行きたがるし、ハーツラビュル生(うちの寮生)はいつも薔薇の良い匂いがするとも言っていた」
「薔薇か。なるほど、ケーキにも使えそうだ」
「あと、タルトも好きだと思う。ボクがトレイの苺のタルトについて話した時もなんだか興味深そうにしていたからね」
「じゃあ土台はタルト、薔薇のクリームも良いな。ライチと合わせてイスパハンにしてみようか」
「うん、良いと思うよ。嫌いなフルーツは特に無いと言っていたし」
「よし、とりあえず大体のイメージは出来たな。ありがとう」
「いや、ボクにとっても彼は可愛い後輩だ。力になれて嬉しいよ。ボクも何か用意するかな」
「……ああ、それが良いだろう」
少し間を開けたことに対し、一瞬不思議そうな顔をしたリドルだったが、トレイはなんでもない風を装って、彼の気持ちを図ることは幼馴染たるリドルですら難しくなった。
「それじゃ、そろそろお暇するよ。おやすみ。あったかくして寝るんだぞ」
「ありがとう、トレイもおやすみ。いい夢を」
トレイを見送り、時計を見ればもうなかなかいい時間だった。そろそろ寝ようか、そう呟き、リドルは机の上を片付け始める。ふと、手に持ったシャープペンシルを見て、キラが目を輝かせていたことを思い出した。黒い軸に、銀でトランプのスートが描かれているものだ。黒が基調で、銀も程よいアクセントとして入った上品な仕上がりで、リドル自身も気に入っていた。
たしか色違いで軸が白のものがあったはずだ。誕生日プレゼントが決まり、受け取って喜ぶキラの笑顔を想像して、リドルの口元は柔らかに緩むのであった。
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