NRC在学中
ジェイド・リーチが嫌いなことは『予定調和』。それ故に予想外の出来事が起こることが大好きである。
そのため、何をするのか行動の読めないフロイドと一緒にいることが多い。
それに最近はフロイド以外に行動の読めない興味深い人物が出来た。
その名も『オンボロ寮の監督生』……異世界から来たひとりの少女であった。
あのイソギンチャク騒動で監督生がオンボロ寮を追い出されるとき、彼女はオンボロ寮を取り上げるのは止めてくれとか許してくれとか言ってジェイドやフロイドに縋らず、「だってあたしが勝てばいいだけでしょう?数日くらいなら平気よ」と言い放った。
監督生がオンボロ寮を追い出された後サバナクロー寮へ身を寄せたと聞いていたが、まさかレオナを味方につけるとは思わなかった。しかも王族であるレオナに対して脅しまで使うとは……。
そしてアズールは賭けに負け、賭けに勝った彼女は言った通りオンボロ寮を取り戻した。
そのときジェイドの中で監督生は『面白い人』と位置付けられた。
後日、モストロ・ラウンジのバイトの募集で面接をするときに彼女が来ていてジェイドは顔に出さずにワクワクしていた。彼女の面白い話が聞けるのではないかと思ったから。
面接の進行をしていたアズールが彼女に王道の質問である『志望動機を聞かせてください』を聞いたとき、ラギーのように生活費のマドルを稼ぐためと言うのかと思えば、彼女は良い笑顔で「マドルの札束で学園長の横っ面を思いきり殴りたいです!!」と言って、それを聞いたジェイドとアズールは吹き出した後笑いを堪えるためにブルブル震えていたし、フロイドは腹を抱えて大爆笑していて最後の方では息が出来ないとグッタリしていた。
そして彼女は無事にモストロ・ラウンジのバイトとして採用された。無断遅刻や無断欠勤することなく真面目に要領よく働く彼女はアズールから高評価だったし、彼女がいるとフロイドも飽きることなく働くことが増えた。
このときジェイドの中で監督生は『面白い人』から『傍にいたい人』にランクアップして位置付けられた。
しかし悲しいかな……彼女はジェイドに対して警戒心剥き出しだった。
ジェイドが近寄れば彼女はハリセンボンが威嚇するようにツンツンした態度だったし、困っているときに助けましょうかと言うと「何を要求する気ですか?」と後退りされ、微笑めば疑いの目を向けられる。
「僕はただ仲良くなりたいだけなのに、悲しいです……しくしく」
「そうやってウソ泣きしてるからじゃね?」
「整った顔してると思うんですけどね。海にいた頃は微笑めば簡単に女性は言うことを聞いてくれましたし」
「オレも同じ顔してんだけどー。っていうかジェイド、ただの雌の敵じゃん」
フロイドの言葉をスルーしてジェイドは監督生から警戒される以外の表情が見たいと思った。
そんなある日――
「あ……」
「ゲッ……」
「お二人とも酷いですね」
飛行術の授業でジェイドは監督生&グリムとペアになることになった。
色々と問題に巻き込まれやすい異世界人&魔獣や空を飛ぶのが苦手な人魚が余りものになるのは仕方ないと言えば仕方ないのかもしれない。
「子分、オレ様死にたくねぇんだゾ……」
「大丈夫よ、グリム。多分死ぬときは皆一緒」
「おやおや」
「よし、全員ペアになったな!今日は箒で二人乗りの練習をするぞ!」
「はい、バルガス先生!余りものチームは三人です!」
「じゃあ、順番で二人乗りをしろ!」
グリムがササッと逃げたので、箒の上に監督生とジェイドが乗った。
「……あの、リーチ先輩。すごい顔してますけど、大丈夫です?」
「ええ、大丈夫ですよ」
心配そうに見ている監督生へジェイドはいつもよりも力なく微笑んだ。
フラフラとしながらも監督生とジェイドを乗せた箒は空を飛んだ。
「リーチ先輩、思ったんだけど離れてるよりも、くっついてた方がバランスとりやすいんじゃない?」
そう言って監督生がジェイドの方へ身を寄せた。
「?!」
監督生の体の小ささや柔らかさ、良い匂いなどがダイレクトにジェイドへ伝わり、ジェイドの思考回路は一瞬停止した。
「わぁっ!先輩落ちてる!落ちてる!」
思考が止まったせいか箒は空を飛ぶのを止め、急降下した。
「監督生さん!」
ジェイドが監督生を庇うように腕の中へ抱き締めると、ガサガサガサッと木の上に落ちた。
木の枝や葉がクッション代わりになったのか掠り傷は出来たものの命に係わる大怪我にはならなかったようだ。
「監督生さん!大丈夫ですか?!」
ジェイドが慌てて監督生を見ると、監督生はポカンとした後、笑い始めた。
「一瞬どうなるかと思ったけど意外と楽しかった!」
ジェイドが今まで見たことがない、楽しそうな表情で笑っていて、監督生がジェイドの髪に触れた瞬間、ジェイドの心臓はバクバクと鼓動が速くなった。
「ほら、先輩の髪に葉っぱがいっぱいくっついてる」
ジェイドの髪にくっついてた葉をヒラヒラとさせて笑う監督生を見て、ジェイドは『今の情けない僕の前でそんな可愛い顔しないでください……そういう顔は僕がスマートにあなたをリード出来るときにしてください……』と思った。
「フロイド、監督生さんと家族になったら楽しいと思いませんか?」
「えー、なにそれ。超最高じゃん!」
「クシュン!う~ん、くしゃみ1回だから良い噂……かしらね?」
そのため、何をするのか行動の読めないフロイドと一緒にいることが多い。
それに最近はフロイド以外に行動の読めない興味深い人物が出来た。
その名も『オンボロ寮の監督生』……異世界から来たひとりの少女であった。
あのイソギンチャク騒動で監督生がオンボロ寮を追い出されるとき、彼女はオンボロ寮を取り上げるのは止めてくれとか許してくれとか言ってジェイドやフロイドに縋らず、「だってあたしが勝てばいいだけでしょう?数日くらいなら平気よ」と言い放った。
監督生がオンボロ寮を追い出された後サバナクロー寮へ身を寄せたと聞いていたが、まさかレオナを味方につけるとは思わなかった。しかも王族であるレオナに対して脅しまで使うとは……。
そしてアズールは賭けに負け、賭けに勝った彼女は言った通りオンボロ寮を取り戻した。
そのときジェイドの中で監督生は『面白い人』と位置付けられた。
後日、モストロ・ラウンジのバイトの募集で面接をするときに彼女が来ていてジェイドは顔に出さずにワクワクしていた。彼女の面白い話が聞けるのではないかと思ったから。
面接の進行をしていたアズールが彼女に王道の質問である『志望動機を聞かせてください』を聞いたとき、ラギーのように生活費のマドルを稼ぐためと言うのかと思えば、彼女は良い笑顔で「マドルの札束で学園長の横っ面を思いきり殴りたいです!!」と言って、それを聞いたジェイドとアズールは吹き出した後笑いを堪えるためにブルブル震えていたし、フロイドは腹を抱えて大爆笑していて最後の方では息が出来ないとグッタリしていた。
そして彼女は無事にモストロ・ラウンジのバイトとして採用された。無断遅刻や無断欠勤することなく真面目に要領よく働く彼女はアズールから高評価だったし、彼女がいるとフロイドも飽きることなく働くことが増えた。
このときジェイドの中で監督生は『面白い人』から『傍にいたい人』にランクアップして位置付けられた。
しかし悲しいかな……彼女はジェイドに対して警戒心剥き出しだった。
ジェイドが近寄れば彼女はハリセンボンが威嚇するようにツンツンした態度だったし、困っているときに助けましょうかと言うと「何を要求する気ですか?」と後退りされ、微笑めば疑いの目を向けられる。
「僕はただ仲良くなりたいだけなのに、悲しいです……しくしく」
「そうやってウソ泣きしてるからじゃね?」
「整った顔してると思うんですけどね。海にいた頃は微笑めば簡単に女性は言うことを聞いてくれましたし」
「オレも同じ顔してんだけどー。っていうかジェイド、ただの雌の敵じゃん」
フロイドの言葉をスルーしてジェイドは監督生から警戒される以外の表情が見たいと思った。
そんなある日――
「あ……」
「ゲッ……」
「お二人とも酷いですね」
飛行術の授業でジェイドは監督生&グリムとペアになることになった。
色々と問題に巻き込まれやすい異世界人&魔獣や空を飛ぶのが苦手な人魚が余りものになるのは仕方ないと言えば仕方ないのかもしれない。
「子分、オレ様死にたくねぇんだゾ……」
「大丈夫よ、グリム。多分死ぬときは皆一緒」
「おやおや」
「よし、全員ペアになったな!今日は箒で二人乗りの練習をするぞ!」
「はい、バルガス先生!余りものチームは三人です!」
「じゃあ、順番で二人乗りをしろ!」
グリムがササッと逃げたので、箒の上に監督生とジェイドが乗った。
「……あの、リーチ先輩。すごい顔してますけど、大丈夫です?」
「ええ、大丈夫ですよ」
心配そうに見ている監督生へジェイドはいつもよりも力なく微笑んだ。
フラフラとしながらも監督生とジェイドを乗せた箒は空を飛んだ。
「リーチ先輩、思ったんだけど離れてるよりも、くっついてた方がバランスとりやすいんじゃない?」
そう言って監督生がジェイドの方へ身を寄せた。
「?!」
監督生の体の小ささや柔らかさ、良い匂いなどがダイレクトにジェイドへ伝わり、ジェイドの思考回路は一瞬停止した。
「わぁっ!先輩落ちてる!落ちてる!」
思考が止まったせいか箒は空を飛ぶのを止め、急降下した。
「監督生さん!」
ジェイドが監督生を庇うように腕の中へ抱き締めると、ガサガサガサッと木の上に落ちた。
木の枝や葉がクッション代わりになったのか掠り傷は出来たものの命に係わる大怪我にはならなかったようだ。
「監督生さん!大丈夫ですか?!」
ジェイドが慌てて監督生を見ると、監督生はポカンとした後、笑い始めた。
「一瞬どうなるかと思ったけど意外と楽しかった!」
ジェイドが今まで見たことがない、楽しそうな表情で笑っていて、監督生がジェイドの髪に触れた瞬間、ジェイドの心臓はバクバクと鼓動が速くなった。
「ほら、先輩の髪に葉っぱがいっぱいくっついてる」
ジェイドの髪にくっついてた葉をヒラヒラとさせて笑う監督生を見て、ジェイドは『今の情けない僕の前でそんな可愛い顔しないでください……そういう顔は僕がスマートにあなたをリード出来るときにしてください……』と思った。
「フロイド、監督生さんと家族になったら楽しいと思いませんか?」
「えー、なにそれ。超最高じゃん!」
「クシュン!う~ん、くしゃみ1回だから良い噂……かしらね?」
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