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NRC在学中

 オーバーブロットしたジャミルによって『ドッカーーーーーーーーーン!!!』された監督生達はスカラビア寮のある時空の果てまで飛ばされた。
 急いでスカラビア寮に戻るため、カリムのユニーク魔法で川を作っている最中のこと――

「うわーん! 寒いわ!」
 カリムのユニーク魔法で空から恵みの雨が降り注ぐ中、監督生はブルブルと震えていた。
 時空の果てはとても寒く、グリムは全身毛むくじゃら、元々寒い地域出身の人魚であるオクタヴィネル寮三人組はある程度寒さに耐えられても、毛むくじゃらでも寒い地域出身の人魚でもない監督生は寒さに耐えられなかった。
 監督生が周囲を見ると、現在カリムはユニーク魔法を使って川を作り中、ジェイド&フロイドは人魚の姿に戻ってスタンバイ中、何もせずにただ待っているのが監督生、グリム、アズールの三人(というよりは二人+一匹?)だけだった。
 だから監督生はどんな手段を使っても暖を取ろうと決意した。
「アーシェングロット先輩!」
「な、何ですか監督生さん?」
「ここに座って!」
 監督生は地面を指差して言った。
「何故ですか?」
「後で説明するからとりあえずお座り!」
「はぁ……?」
 監督生の勢いに押されたアズールは監督生の言う通りに地面に座った。
「あとはグリム!」
「ふなっ?!」
 監督生にガシッと掴まれたグリムは驚きの声を上げた。
「お邪魔します!」
 そしてグリムを腕に抱えたまま監督生はアズールにくっつくように足の間に座った。
「なっ?! 監督生さん、何をしてるんです!」
「滅茶苦茶寒いから先輩とグリムにくっついてます!」
 誰にも言ったことはないが秘かに監督生へ想いを寄せていたアズールは声を大にして「あなたには女性としての恥じらいが無いんですか!」と言いたいところだったが、監督生は周囲から男だと思われているのでアズールは何も言わず言葉を飲み込むしかなかった。
「う~! まだ寒い! グリム、火を吐いて! 今なら許す!」
「そう言われてすぐには吐けないんだゾ!」
「いつもは必要がない場面でバカスカ火を吐くのに~!」
「子分のくせに、その言い方は何なんだゾ!」
 監督生とグリムが言い争いを始めそうになった時、アズールは監督生を自分の着ていたコートで閉じ込めるように抱き締めた……ついでにグリムも。
「……先輩?」
「寒いんでしょう? 今あなたに死なれたら困るので」
 視線を逸らして素っ気なくアズールは言った。
「……ありがとう、先輩。さっきより温かい」
 ふふっと小さく笑ってお礼を言う監督生を見て、アズールはもう少しだけこのままで……そう願った。
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