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NRC在学中

「エースとデュースが何かを追って走ってるかと思えば……これって何ですか?」
「一応ツムという名前を付けたんだけど、ボクにもこれが何かよく分からないんだ」
 ハーツラビュル寮のリドルの部屋で監督生はリドルに似たツムをじっと見つめる。
「でも本当にリドルさんにそっくりですね」
 リドルに似たツムの頬を優しく指先で撫でると、リドルに似たツムは気持ちよさそうに目を閉じた。
「ふふ、可愛い」
 目をパチリと開けたリドルに似たツムは監督生に何か伝えたいと言うように体を起こして前足をパタパタさせる。
「どうかしたの?」
 監督生がリドルに似たツムを持ち上げて目を合わせると、リドルに似たツムが監督生の唇にくっついた。
「こら!」
 リドルがすごい勢いで監督生の手からリドルに似たツムを取った。
「いいかい!突然女性の唇を奪ってはいけないよ!」
 リドルはリドルに似たツムにくどくどと説教をするが、馬の耳に念仏ならぬツムの耳にお説教である。
 リドルの言っていることが分かっているのかいないのか何も反応しないリドルに似たツムにリドルは溜息を吐く。
「はぁ、まったく……ボクだってそんなにしたことないのに」
 最後の方でボソリとリドルは言ったように、リドルと監督生は数えられるくらいしかキスをしたことがなかった。
 そもそも二人は学年も違えば所属する寮も違うため、一緒にいられる場所や時間が限られていたから。
 でもだからと言って、監督生と付き合ったのを後悔するかと聞かれたら、これっぽちも後悔なんてしていないとすぐに答えるくらいには満たされていた。
 クイッと寮服を引っ張られてリドルが監督生を見たら、監督生の頬が赤く染まっていた。
「あの、しますか?」
「何をだい?」
「その……キスを」
 さっきの言葉を聞かれていたのかという羞恥心とか恥じらっている監督生への愛しさとか色んな感情がグルグルとリドルの中を渦巻いた。
「迷惑だったら無理しなくていいですから……」
 そう言ってリドルの寮服から離れた監督生の手をリドルはパシッと掴んだ。
「いいのかい?」
「はい……あ、でもツムが……」
 リドルは寮服のマントをツムにかけた。
「悪いけど、少し大人しくしているように」

……リドルに似たツムがリドルのマントで視界が隠されたときに何があったのか?
 それは恋人達の秘密ということで……
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