NRC在学中
とある夏の夜、ふらりといつものように突然オンボロ寮に現れたマレウスを監督生は歓迎した。
「ツノ太郎、アイス好きでしょ? 一緒に食べましょ」
以前マレウスの誕生日のインタビューで氷菓が好きだと言っていたのを監督生は覚えていた。
「いいのか?」
「いいのよ。今日は夜になっても暑いからね~。あ、グリムには内緒ね。今は寝てるけど二人だけでアイス食べたの知られたら『オレ様食べてないのにズルいんだゾ!』ってうるさいから」
口元に人差し指を当てて悪戯っ子のような笑みを浮かべた監督生にマレウスは頷いた。
「フフフ、いいだろう」
「じゃあ、ちょっと待ってて」
監督生がキッチンの冷凍庫へ向かい、アイスを持ってマレウスのもとへ帰って来てアイスをパキッと分けて片方をマレウスに渡した。
「はい、どうぞ」
「こういうアイスもあるのか」
「友達と分けて食べるのにちょうどいいのよね。まぁ、一人でも一つだけ食べて残りを冷凍庫に仕舞えばいいだけだけど……」
「……友達」
今まで友と呼べる存在のいなかったマレウスにとって友と呼べる存在が出来るのは嬉しいことだ。
しかし、言葉に出来ないがなんだかモヤモヤした気持ちになった。
「ツノ太郎、食べないの? アイス溶けちゃうよ」
アイスを持ったまま動かないマレウスに監督生は身長差があるせいか上目遣いになりながら問いかけた。
「いや、なんでもない。これはどう開けるんだ?」
「下をしっかり持って、上の方にある輪っかに人差し指入れて上の方に向かって力を入れるの」
「こうか」
「そうそう。それで口をつけて吸うんだけど、まだカチコチ凍ってるから手の熱で溶かすといいわ」
手の中のアイスはひんやりと冷たいけれど、夏の暑さを少しだけ和らげてくれるような気がした。
そして少し溶け始めた頃に二人でアイスに口をつけた。
「ツノ太郎、甘さ大丈夫? これ甘いアイスなんだけど」
「これくらいの甘さなら問題ない」
「美味しい?」
「……ああ、美味しい」
「それなら良かった」
二人並んで食べたアイスは一人で食べるより美味しかった。
でも、どうして美味しいと思うのか二人はまだ知らない……。
「ツノ太郎、アイス好きでしょ? 一緒に食べましょ」
以前マレウスの誕生日のインタビューで氷菓が好きだと言っていたのを監督生は覚えていた。
「いいのか?」
「いいのよ。今日は夜になっても暑いからね~。あ、グリムには内緒ね。今は寝てるけど二人だけでアイス食べたの知られたら『オレ様食べてないのにズルいんだゾ!』ってうるさいから」
口元に人差し指を当てて悪戯っ子のような笑みを浮かべた監督生にマレウスは頷いた。
「フフフ、いいだろう」
「じゃあ、ちょっと待ってて」
監督生がキッチンの冷凍庫へ向かい、アイスを持ってマレウスのもとへ帰って来てアイスをパキッと分けて片方をマレウスに渡した。
「はい、どうぞ」
「こういうアイスもあるのか」
「友達と分けて食べるのにちょうどいいのよね。まぁ、一人でも一つだけ食べて残りを冷凍庫に仕舞えばいいだけだけど……」
「……友達」
今まで友と呼べる存在のいなかったマレウスにとって友と呼べる存在が出来るのは嬉しいことだ。
しかし、言葉に出来ないがなんだかモヤモヤした気持ちになった。
「ツノ太郎、食べないの? アイス溶けちゃうよ」
アイスを持ったまま動かないマレウスに監督生は身長差があるせいか上目遣いになりながら問いかけた。
「いや、なんでもない。これはどう開けるんだ?」
「下をしっかり持って、上の方にある輪っかに人差し指入れて上の方に向かって力を入れるの」
「こうか」
「そうそう。それで口をつけて吸うんだけど、まだカチコチ凍ってるから手の熱で溶かすといいわ」
手の中のアイスはひんやりと冷たいけれど、夏の暑さを少しだけ和らげてくれるような気がした。
そして少し溶け始めた頃に二人でアイスに口をつけた。
「ツノ太郎、甘さ大丈夫? これ甘いアイスなんだけど」
「これくらいの甘さなら問題ない」
「美味しい?」
「……ああ、美味しい」
「それなら良かった」
二人並んで食べたアイスは一人で食べるより美味しかった。
でも、どうして美味しいと思うのか二人はまだ知らない……。
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