吐露(3月)
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<ツナに報告>
夜、獄寺を玄関から見送って自室に戻る。
本当に受験が終わったのだ、合格したのだ。
みんなと同じ場所に進むことができるという事実に、盛大に脱力してしまう。
ベッドに寝転んで天井をぼーっと眺めているうちに、じわじわと眠気が全身に広がってくる。腹いっぱい、母の料理を食べたのもあるだろう。
ナッツが勝手に出てきて、腹の上に乗ってきた。
視界の隅で軽く揺れるハンモック、そこにいるリボーンも今は何も言ってこない。平和だ。
解放感と腹部のぬくもりにうとうとしていると、人の気配とともにノックが転がり込んできた。
ナッツが跳ね起きて、ドアの前でそわそわとし始める。レイだ。
「入っていいよー」
怠惰に寝っ転がったまま呼びかければ、レイが部屋に入ってきた。足元にじゃれつくナッツを抱き上げ、何の遠慮もなく床のクッションに座る。
「何かあった?」
「ああ、ツナには伝えておこうと思って」
「何をー?」
ブ、と頭の横に置いた携帯電話が震えた。
「あ、リボーンもいいか?」
「ああ、いいぞ」
リボーンがハンモックから降りる。
レイの空気も緩いので、多少携帯を見ても許されるだろう。
「山本に告白して、恋人になった」
「へー、よかったじゃん」
携帯を開きながら、反射的に軽く返答する。山本からメールが来たようだ。何の用だろうか。
「なんだ、やっとか。随分かかったじゃねぇか」
「そんなに長かったか?」
「短くはねぇぞ」
レイとリボーンの呑気な会話を聞いて、ようやく脳に言葉が届いて、眠気が吹っ飛んだ。
「は!?」
大声と共にベッドから跳ね起きる。レイが「うわ、びっくりした」と呟いた。
びっくりした、じゃない。びっくりしたのはこっちの方だ。
「こっ、こい……!?わ、おめ……、え、ちょっと待っ……、いつ?どう?え?」
混乱して祝福と疑問が暴発する。
2人がほぼほぼ両想いなのは知っていたが、いつの間にそんなことになっていたのか全然分からない。
「今日。キミたちに先に帰ってもらった後、『好きだ』って言った」
「え、すご……」
潔い言葉に感嘆の声が漏れる。
そういえば、レイに「先に帰ってて」と言われはしたが、まさかその流れで告白するとは思いもしなかった。
リボーンが呆れたようにため息を吐いた。
「あれで気付かねぇのか、ダメツナが」
「いや、だってそんな……」
いや、だが隣を歩く獄寺が「こりゃアレっすね」と少し揶揄うような調子で言っていた。獄寺にはわかっていたのか。やっぱりダメツナかもしれない。
「あっ、まさか……」
ハッとして携帯電話に目線を落としてメールを開く。
そこにはこう書いてあった。
『改めて合格おめでとう!一応先にツナには言っとくけど、瀬切と付き合うことになった。またちゃんと話すな』
「おわぁ……」
色々な感情が湧いてきて間の抜けた声しか出せない。
一番大きいのは驚きだ。だがこれは、「今日告白して恋人になったばかり」という点に驚いているだけであり、2人が恋人になること自体はそこまで驚いていない。
「両想いなら付き合っちゃえよ」くらいの気持ちでいたのだ。
だから次に大きいのは純粋な祝福と喜びだった。
大事な親友と、大事な家族。2人が一緒に笑っているのなら、きっとそれは自分にとっても大きな幸せだ。
山本なら、レイが人間だろうがそうでなかろうが、問題なく受け止めてしまうことだろう。
そしてもう一つ。小さな羨望。
ほとんどといっていいほど京子と進展がない中、後に出会った2人の方が先に成立してしまった。
劣等感はないが、いいなぁ、とは思う。自分もどうにかあやかりたい。どうあやかればいいのか全く持ってわからないが。
ふと視線を感じる。
レイが、どこか不安そうにこちらを見ていた。反対するとでも思ってるのだろうか。バレンタインの時に背中を押してやったというのに。
勝手に浮かぶ笑顔をそのままに、従妹に向き直る。
「とりあえず、おめでとう。よかったな」
「……うん」
ようやく嬉しそうに顔を緩めたレイを見てから、山本に『今レイからも聞いた、お幸せに』と送信した。
<獄寺に報告>
合格発表翌日の教室は、悲喜こもごもといったところだった。
それでも獄寺には関係ない。ツナと同じ高校に進学が決まった、それだけで十分だ。
チャイムが鳴って昼食、ツナと山本と共に屋上に上がる。
あと少しで屋上の扉、というところで、ツナが「あっ」と声を上げた。
「ごめん、箸置いてきちゃったから取ってくる」
「オレも行きます!」
「いいよ、先に行ってて」
こちらの申し出を笑いながら受け流し、ツナは駆けていく。
山本が扉を開け、太陽光が顔に当たる。目を細めていると、山本が屋上に出ながら口を開いた。
「獄寺」
「あ?」
「瀬切と付き合うことになった」
「あっそ」
「なんだよ、軽くねーか?」
カラカラと笑う山本を睨む。ほかに何を言えというのか。
教室での山本とレイの様子に、特に大きな変化はなかった。
だが、昨日の帰り道で見たレイのあの声と顔、そこから先に何が起きるかなんて簡単に想像がつく。
そして、レイが告白して山本が断るはずがない。予定調和というやつだ。
強いて言うのであれば、山本が想像より遥かに慎重だったことには驚いた。
好きなものは好きとはっきり口に出し、過去に敵だった相手を許すどころか親しげに寄っていく。原則、距離も近ければ距離を詰めるのも早い男だ。
その山本が、レイを前に長く立ち位置を決め兼ねていた。
いや、早々に友人としての位置には立っていたが、色恋の進展は恐ろしく遅かった。
相手がやや特殊な存在だったからこそ、そして何より真剣だったからこそ、この能天気野球バカなりに考えたりしたのだろう。
山本は大雑把で直線的な感情構造をしてはいるが、決して浅慮なわけではないことくらい、獄寺だって知っている。
暖かい日差しと冷たい風に晒され、不思議な心地になる。
床に座り込んでパック牛乳にストローを突き刺す山本は、恋が成就したとは思えないほどにいつも通りだ。
そっちがいつも通りに過ごすのなら、こちらもいつも通りに過ごすまで。
だが、ひとつだけ確認すべきことがある。
「おい」
「ん?」
「10代目と瀬切のどっちも危険な状態だったら、どっちを守る」
ストローを加えた山本は、パチパチと瞬きをした。
それからいつも通りの笑みを浮かべ、いつも通りの軽い声で答えた。
「ツナ。たぶんアイツもオレよりツナだぜ」
「そうかよ」
であればもう、獄寺からしたら完全にどうでもよくなった。
しょうもない痴話喧嘩や惚気に、ツナや自分を巻き込まないのなら、あとは好きにすればいい。
塔矢の中の階段から足音が聞こえた。
少し待てば、弁当箱と箸を持ったツナが屋上に顔を出す。
さあ、彼とこの場所で昼食を食べられるのも、残り数回となった。
<クロームに報告>
授業と呼べるかも怪しい授業を終え、クロームは帰り支度を進める。
先に支度を終えたレイが近くに寄ってきた。ツナたちは見当たらない。
「ボスたちは?」
「古里たちとどっかで遊んで帰るって」
なるほど、と静かに納得してスクールバッグを肩にかける。何も言わずに、レイと並んで教室を出た。
もうすぐ卒業式だ。
今年の春に転入してきたレイよりは先輩だが、クロームも並盛中学に転入してきたのは2年生の途中からだった。
それでも、この学校には十分な思い出がある。
黒曜にいた時とは違う、ただの中学生として扱われた温かい日々は、きっとこれからもクロームを支えてくれる。
校門を出る時、校舎の陰になる場所に緊張した面持ちで立つクラスメイト2人を見た。
クローム自身は特別親しいわけではないが、あの2人は日頃からいわゆる『いい感じ』だった。
受験も終え、卒業も間近となった今、彼らは果たしてどうなるのだろう。
同時に、隣を歩くレイと山本はどうなるのだろうか、と疑問が湧いた。
他愛もない話をしながら学校の敷地を出て、さらに歩いて。道を歩く学生服は、いつの間にか自分たちだけになっていた。
「クローム」
レイが少しだけ声に緊張を混ぜながら呼び掛けてきた。
「なに?」と言いながら視線を向ければ、彼女は少しの間口を真一文字にしてから、ゆっくりと開いた。
「昨日、山本に告白して、恋人になったんだ」
聞こえた言葉を理解した瞬間、ぽわっ、と体が温かくなる。
そうか、そうなのか。2人がやっと。
「よかった」
それも、レイの方から気持ちを伝えられるほどに、信頼も積み重ねられていたのだ。
「ずっと山本君のこと好きだったもんね、よかった」
素直に祝福の言葉が出る。
少し照れたような顔をしていたレイは、クロームの言葉に「ん?」と首を捻った。
「クローム」
「どうしたの?」
「……ボクってそんなに分かりやすい?」
山本のこと好きだって、話したことなかったと思うけど。
その言葉に、クロームは思わず声を上げて笑ってしまった。
いつだったか、山本も真っ赤な顔で同じことを言っていたのだ。
ああ、似た者同士だ。
強くて、努力家で、頼りになって、素直で、優しくて、そしてちょっとだけ抜けたところがあって可愛らしい。
レイは「なんで笑うんだ……」と口を尖らせている。
その耳の端は赤い。
ドール故に顔色が変わることは滅多にないという彼女の耳が赤い。それはつまり、人間なら真っ赤な顔になっているということだろう。
ああ、本当になんて愛おしい友人たちだろう。
夜、獄寺を玄関から見送って自室に戻る。
本当に受験が終わったのだ、合格したのだ。
みんなと同じ場所に進むことができるという事実に、盛大に脱力してしまう。
ベッドに寝転んで天井をぼーっと眺めているうちに、じわじわと眠気が全身に広がってくる。腹いっぱい、母の料理を食べたのもあるだろう。
ナッツが勝手に出てきて、腹の上に乗ってきた。
視界の隅で軽く揺れるハンモック、そこにいるリボーンも今は何も言ってこない。平和だ。
解放感と腹部のぬくもりにうとうとしていると、人の気配とともにノックが転がり込んできた。
ナッツが跳ね起きて、ドアの前でそわそわとし始める。レイだ。
「入っていいよー」
怠惰に寝っ転がったまま呼びかければ、レイが部屋に入ってきた。足元にじゃれつくナッツを抱き上げ、何の遠慮もなく床のクッションに座る。
「何かあった?」
「ああ、ツナには伝えておこうと思って」
「何をー?」
ブ、と頭の横に置いた携帯電話が震えた。
「あ、リボーンもいいか?」
「ああ、いいぞ」
リボーンがハンモックから降りる。
レイの空気も緩いので、多少携帯を見ても許されるだろう。
「山本に告白して、恋人になった」
「へー、よかったじゃん」
携帯を開きながら、反射的に軽く返答する。山本からメールが来たようだ。何の用だろうか。
「なんだ、やっとか。随分かかったじゃねぇか」
「そんなに長かったか?」
「短くはねぇぞ」
レイとリボーンの呑気な会話を聞いて、ようやく脳に言葉が届いて、眠気が吹っ飛んだ。
「は!?」
大声と共にベッドから跳ね起きる。レイが「うわ、びっくりした」と呟いた。
びっくりした、じゃない。びっくりしたのはこっちの方だ。
「こっ、こい……!?わ、おめ……、え、ちょっと待っ……、いつ?どう?え?」
混乱して祝福と疑問が暴発する。
2人がほぼほぼ両想いなのは知っていたが、いつの間にそんなことになっていたのか全然分からない。
「今日。キミたちに先に帰ってもらった後、『好きだ』って言った」
「え、すご……」
潔い言葉に感嘆の声が漏れる。
そういえば、レイに「先に帰ってて」と言われはしたが、まさかその流れで告白するとは思いもしなかった。
リボーンが呆れたようにため息を吐いた。
「あれで気付かねぇのか、ダメツナが」
「いや、だってそんな……」
いや、だが隣を歩く獄寺が「こりゃアレっすね」と少し揶揄うような調子で言っていた。獄寺にはわかっていたのか。やっぱりダメツナかもしれない。
「あっ、まさか……」
ハッとして携帯電話に目線を落としてメールを開く。
そこにはこう書いてあった。
『改めて合格おめでとう!一応先にツナには言っとくけど、瀬切と付き合うことになった。またちゃんと話すな』
「おわぁ……」
色々な感情が湧いてきて間の抜けた声しか出せない。
一番大きいのは驚きだ。だがこれは、「今日告白して恋人になったばかり」という点に驚いているだけであり、2人が恋人になること自体はそこまで驚いていない。
「両想いなら付き合っちゃえよ」くらいの気持ちでいたのだ。
だから次に大きいのは純粋な祝福と喜びだった。
大事な親友と、大事な家族。2人が一緒に笑っているのなら、きっとそれは自分にとっても大きな幸せだ。
山本なら、レイが人間だろうがそうでなかろうが、問題なく受け止めてしまうことだろう。
そしてもう一つ。小さな羨望。
ほとんどといっていいほど京子と進展がない中、後に出会った2人の方が先に成立してしまった。
劣等感はないが、いいなぁ、とは思う。自分もどうにかあやかりたい。どうあやかればいいのか全く持ってわからないが。
ふと視線を感じる。
レイが、どこか不安そうにこちらを見ていた。反対するとでも思ってるのだろうか。バレンタインの時に背中を押してやったというのに。
勝手に浮かぶ笑顔をそのままに、従妹に向き直る。
「とりあえず、おめでとう。よかったな」
「……うん」
ようやく嬉しそうに顔を緩めたレイを見てから、山本に『今レイからも聞いた、お幸せに』と送信した。
<獄寺に報告>
合格発表翌日の教室は、悲喜こもごもといったところだった。
それでも獄寺には関係ない。ツナと同じ高校に進学が決まった、それだけで十分だ。
チャイムが鳴って昼食、ツナと山本と共に屋上に上がる。
あと少しで屋上の扉、というところで、ツナが「あっ」と声を上げた。
「ごめん、箸置いてきちゃったから取ってくる」
「オレも行きます!」
「いいよ、先に行ってて」
こちらの申し出を笑いながら受け流し、ツナは駆けていく。
山本が扉を開け、太陽光が顔に当たる。目を細めていると、山本が屋上に出ながら口を開いた。
「獄寺」
「あ?」
「瀬切と付き合うことになった」
「あっそ」
「なんだよ、軽くねーか?」
カラカラと笑う山本を睨む。ほかに何を言えというのか。
教室での山本とレイの様子に、特に大きな変化はなかった。
だが、昨日の帰り道で見たレイのあの声と顔、そこから先に何が起きるかなんて簡単に想像がつく。
そして、レイが告白して山本が断るはずがない。予定調和というやつだ。
強いて言うのであれば、山本が想像より遥かに慎重だったことには驚いた。
好きなものは好きとはっきり口に出し、過去に敵だった相手を許すどころか親しげに寄っていく。原則、距離も近ければ距離を詰めるのも早い男だ。
その山本が、レイを前に長く立ち位置を決め兼ねていた。
いや、早々に友人としての位置には立っていたが、色恋の進展は恐ろしく遅かった。
相手がやや特殊な存在だったからこそ、そして何より真剣だったからこそ、この能天気野球バカなりに考えたりしたのだろう。
山本は大雑把で直線的な感情構造をしてはいるが、決して浅慮なわけではないことくらい、獄寺だって知っている。
暖かい日差しと冷たい風に晒され、不思議な心地になる。
床に座り込んでパック牛乳にストローを突き刺す山本は、恋が成就したとは思えないほどにいつも通りだ。
そっちがいつも通りに過ごすのなら、こちらもいつも通りに過ごすまで。
だが、ひとつだけ確認すべきことがある。
「おい」
「ん?」
「10代目と瀬切のどっちも危険な状態だったら、どっちを守る」
ストローを加えた山本は、パチパチと瞬きをした。
それからいつも通りの笑みを浮かべ、いつも通りの軽い声で答えた。
「ツナ。たぶんアイツもオレよりツナだぜ」
「そうかよ」
であればもう、獄寺からしたら完全にどうでもよくなった。
しょうもない痴話喧嘩や惚気に、ツナや自分を巻き込まないのなら、あとは好きにすればいい。
塔矢の中の階段から足音が聞こえた。
少し待てば、弁当箱と箸を持ったツナが屋上に顔を出す。
さあ、彼とこの場所で昼食を食べられるのも、残り数回となった。
<クロームに報告>
授業と呼べるかも怪しい授業を終え、クロームは帰り支度を進める。
先に支度を終えたレイが近くに寄ってきた。ツナたちは見当たらない。
「ボスたちは?」
「古里たちとどっかで遊んで帰るって」
なるほど、と静かに納得してスクールバッグを肩にかける。何も言わずに、レイと並んで教室を出た。
もうすぐ卒業式だ。
今年の春に転入してきたレイよりは先輩だが、クロームも並盛中学に転入してきたのは2年生の途中からだった。
それでも、この学校には十分な思い出がある。
黒曜にいた時とは違う、ただの中学生として扱われた温かい日々は、きっとこれからもクロームを支えてくれる。
校門を出る時、校舎の陰になる場所に緊張した面持ちで立つクラスメイト2人を見た。
クローム自身は特別親しいわけではないが、あの2人は日頃からいわゆる『いい感じ』だった。
受験も終え、卒業も間近となった今、彼らは果たしてどうなるのだろう。
同時に、隣を歩くレイと山本はどうなるのだろうか、と疑問が湧いた。
他愛もない話をしながら学校の敷地を出て、さらに歩いて。道を歩く学生服は、いつの間にか自分たちだけになっていた。
「クローム」
レイが少しだけ声に緊張を混ぜながら呼び掛けてきた。
「なに?」と言いながら視線を向ければ、彼女は少しの間口を真一文字にしてから、ゆっくりと開いた。
「昨日、山本に告白して、恋人になったんだ」
聞こえた言葉を理解した瞬間、ぽわっ、と体が温かくなる。
そうか、そうなのか。2人がやっと。
「よかった」
それも、レイの方から気持ちを伝えられるほどに、信頼も積み重ねられていたのだ。
「ずっと山本君のこと好きだったもんね、よかった」
素直に祝福の言葉が出る。
少し照れたような顔をしていたレイは、クロームの言葉に「ん?」と首を捻った。
「クローム」
「どうしたの?」
「……ボクってそんなに分かりやすい?」
山本のこと好きだって、話したことなかったと思うけど。
その言葉に、クロームは思わず声を上げて笑ってしまった。
いつだったか、山本も真っ赤な顔で同じことを言っていたのだ。
ああ、似た者同士だ。
強くて、努力家で、頼りになって、素直で、優しくて、そしてちょっとだけ抜けたところがあって可愛らしい。
レイは「なんで笑うんだ……」と口を尖らせている。
その耳の端は赤い。
ドール故に顔色が変わることは滅多にないという彼女の耳が赤い。それはつまり、人間なら真っ赤な顔になっているということだろう。
ああ、本当になんて愛おしい友人たちだろう。
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