再会
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「よぉ、ツナ!久しぶりだな。元気にしてたか?」
応接間には既にディーノがおり、ツナ達を見るなり歯を見せて笑った。いつもと変わらぬ笑顔に混乱した頭が少しだけ落ち着く。
「お久しぶりです。最近は変なこともないし、元気です」
「そりゃあいいな、やっぱ何もないのが一番だぜ。で、だ」
ディーノは応接室の棚を漁るレイを見る。
「レイ、お前は何やってんだ?」
「ディーノさんが前ここにツィッテさんとこのクッキー隠してたなーって思って」
「ゲッ!見てたのかよ!?」
「ボクだけじゃなくてイワンさんも見てましたよ」
二人のやり取りを眺める。レイの方は敬語でこそあるが、長年の付き合いを経た気安さが見て取れた。ディーノの手がレイの短い髪をグシャグシャとかき回すし、レイも笑いながらそれを受け入れている。
容姿こそ全く違うが、その距離感は兄妹のように見えなくもない。
二人を見る部下達の目も穏やかで、これが彼らにとっても日常の風景であることが分かる。レイはこのファミリーで一人の人間として尊重され、一人の子どもとして愛されているのだろう。
彼女がイタリアに暮らし始めて10年。その間に何があったのかをツナはほとんど知らない。
知っているのはただ二つ。
一つはレイの両親、ツナにとっての伯父と伯母が随分前に亡くなっていること。当時、母が自身の姉の訃報に泣き崩れていたのをおぼろげながら覚えている。
そしてもう一つ、レイとその兄である二人のいとこは現地の知り合いの家に身を寄せたということくらいだった。しかしその知らせを最後に、彼らとは連絡が取れなくなった。
たまに帰宅する家光に訊こうとしたこともあったが、軽くはぐらかされて終わってしまった。
今となっては「そういうことだったのか」と理解もできてしまう。
もしかしたらもう一人のいとこ、レイの兄であるヒロヤもここにいるのだろうか。叶うのならばまた会いたい。
レイにも会えたのだ、きっとヒロヤもこの町にいる。
こうして再会できるのなら、リボーンにイタリアまで拉致されたのも悪くないと思える。
「お茶、ボクが出します」
そう言ってレイが退室しようとすると、ランボも後を追った。
「ランボさんも一緒に探検するもんね!」
「あ、こら!お前!」
「大丈夫だよ、怪我はさせないように気をつけるから」
ランボを抱き上げてレイが廊下に出る。
「絶対に迷惑かけるなよ!わかったなランボ!」
わーい、と扉の向こうからはしゃいだ声が聞こえる。レイに迷惑を掛けないかももちろんだが、廊下にあった高そうな諸々を傷付けないかも不安で仕方がない。
足音が遠ざかるのを聞いてため息を一つ。
扉が完全に閉まると、急にディーノが頭を下げた。
「ツナ、まず最初に謝らせてくれ。すまなかった」
ぎょっとしたのはツナの方だ。
「なっ!どうしたんですか!?顔を上げてください!」
「いいや、こればかりはそうもいかねえ」
ディーノは頭を下げて床を見つめたまま続ける。
「オレはツナに二つ謝らないといけないことがある。一つはアイツがここにいることをお前に黙っていたことだ」
レイとヒロヤはやはり親を亡くしたから8年前から、キャバッローネファミリーに身を寄せていたという。
「本当はお前に会う前から、お前達が従兄妹だってことは知っていた。お前の名前も、お前の小さい頃の写真も……レイの母親から見せてもらってた。だからお前の写真をリボーンに見せられた時はすげえ面食らったんだ。『レイのいとこがボンゴレの次期ボスなのか』って。まあ、お陰で『絶対に犬死になんかさせない』、って気合は入ったけどな」
遠くを見るような目で、ディーノは穏やかに、しかし悔いるように話す。
「お前に会って、従兄だと確信してもアイツのことを話せなかった。最初はお前自身がマフィアを怖がってたのもあったし、オレもアイツも、お前やお前のママンに何て言えばいいかわからなかった。結果、情けないことにここまで引き延ばしちまったんだ……」
「あ、謝らないでください!レイだって元気そうだったし、みんなレイに優しくしてくれてるんだって、見たらすぐにわかりますし……、その。オレが言っていいか分からないけど、ありがとうございます」
ディーノはやっと笑みを浮かべて頭を掻く。
「弟弟子に気を遣われるなんてオレもまだまだだな」
一呼吸おいて、先ほどよりもゆっくりとディーノが口を開いた。
「もう一つ……。ツナ、ヒロヤのことは覚えてるか?」
待ち望んだ懐かしい名前に、ツナはパッと顔を輝かせる。
「は、はい!ヒロヤ兄ちゃんのことは覚えてます!」
彼のことも、ちゃんと覚えている。とはいっても日本にいた頃の彼の記憶しかないが。
学ランだった当時の並盛中の制服を着たまま、ツナの家で遊んでいたレイを迎えに来ていた。
確かディーノと年齢は変わらないはずだ。瀬切一家が日本を発つ日は、ヒロヤに会えなくなるのも嫌で泣いていた。
「もしかして、ヒロヤ兄ちゃんもここにいるんですか?」
期待を抑えきれないツナと、新しい名前に首を傾げる獄寺と山本。
「誰ですか?」
「もう一人のいとこで、レイのお兄さんなんだ」
「アイツ兄貴いたんだな」
「うん、オレも昔よく遊んでもらって……。すごい優しい人なんだ」
レイとヒロヤを取り合って喧嘩するほどには懐いていた。一人っ子の自分が兄と慕っていたほどだ。
「ヒロヤ兄ちゃん、元気ですか?」
笑みを抑えきれないままディーノに向き直る。彼を知っているならきっと同じように笑い返してくれる。そう思っていた。
が、ディーノの顔は予想に反して暗かった。ポジティブな表情の印象が強い彼だが、その顔に明らかな陰が落ちる。
何かを堪えているような、歯を食いしばっているような。そんな表情だ。
気のせいか、この部屋にいる彼の部下達の空気もわずかに重くなっている。
「ディーノさん……?」
「ツナ、よく聞いてくれ」
ディーノの息を吸う音だけが部屋に響く。
「ヒロヤは5年前に事件に巻き込まれた。遺体は見つかっていないが、恐らくもう……」
「え……?」
頭が真っ白になった。体も動かないし声も出せない。視界までもがディーノを中心にしてぐらつき始めた。
「う、そ……ですよね……?ヒロヤ兄ちゃんが……」
「本当にすまない。アイツの件は、間違いなくボスであるオレの責任だ。レイにも散々辛い思いをさせた」
「そ、そんな……」
ディーノは再度頭を下げて、そのまま動かない。膝の上で握られた拳がわずかに震えている。
両脇の友人達が案じるようにツナとディーノを伺っているが、何も言えない。
じわりじわりと視界が滲んで、喉の奥が破裂してしまいそうになったその時。
「弾き飛ばすわよ」
「ンガッ!!」
突如後頭部に衝撃が走り、溜まりかけていた涙がはじけた。ツナの頭を踏み台にしてテーブルに飛び乗ったのは、家庭教師だった。
「リ、リボーン……!お前ここにいたのか!」
「ちゃおっす。オレもこっちに用があってな。お前らより先に来てたんだ」
そう言いながら大きな黒い瞳がツナを見据える。
「オレも当然アイツらのことは知っていたが、当人の意思を尊重してお前には黙ってたんだ。お前がそういう顔になるのが分かってたからレイも連絡できずにいた。気持ちは分かるがその顔はアイツが茶を持ってくるまでに直しとけよ」
「……分かった」
正面から諭されて、少しだけ心が落ち着く。拳で目元を強く拭い、深呼吸をした。
「ディーノさん、教えてくれてありがとうございます。母さんにはオレから話します。オレも、きっと母さんも、誰が悪いとか思いません」
ツナの目がしっかりを自分を見つめるのを確認したディーノは、もう一度頭を下げて「ありがとう」と静かに言った。
「あの」
沈黙の中から遠慮がちに山本から声を上げる。
「アイツのこと、オレらが聞いてよかったんすか?」
「確かにな。聞かなかったことにしろってんならそうしてやるけどよ」
ふてぶてしく足を組みながら獄寺も言う。
「それについてはレイから許可をもらってる。お前ら三人がいつも一緒なのはアイツも知っててな。お前らが信頼のおける人間ということも、絶対にツナを傷付けないことも理解してる。それにツナやレイの口から話すよりオレが話した方がいいだろうってことでな」
そう言ってディーノはやっと笑った。
「てかリボーンも二人のこと知ってたんだな。今更もう驚かないけど」
「そりゃヒロヤとレイはディーノがへなちょこの頃からの知り合いだからな。アイツらはオレにしごかれて泣きながら逃げようとするディーノを目の当たりにしてるぞ」
「おいリボーン!その話は今いいだろ!!」
ディーノのダメエピソードをリボーンが語り始めたところで応接室の扉が開いた。レイはランボを抱えたまま茶器を乗せた台車とともに入室した。
「この子の髪の毛から飴と手榴弾とトカゲのしっぽが出てきた。あと全然いうこと聞かないな」
相当ウザさを振りまかれたのか、レイはやや疲れた顔でランボをツナに差し出した。ランボははしゃぎ疲れたのか少しおとなしい。ツナとレイでランボの受け渡しが行われる間も静かにしている。
「ランボのことありがとう」
「うん。でも、この子も守護者なんだよね、すごいや」
「自覚があるのか分からないけどな……」
きっと彼女はこの部屋で何の話がされていたのか知っている。それでもこうして普通に振る舞ってくれるのが、今はありがたかった。
応接間には既にディーノがおり、ツナ達を見るなり歯を見せて笑った。いつもと変わらぬ笑顔に混乱した頭が少しだけ落ち着く。
「お久しぶりです。最近は変なこともないし、元気です」
「そりゃあいいな、やっぱ何もないのが一番だぜ。で、だ」
ディーノは応接室の棚を漁るレイを見る。
「レイ、お前は何やってんだ?」
「ディーノさんが前ここにツィッテさんとこのクッキー隠してたなーって思って」
「ゲッ!見てたのかよ!?」
「ボクだけじゃなくてイワンさんも見てましたよ」
二人のやり取りを眺める。レイの方は敬語でこそあるが、長年の付き合いを経た気安さが見て取れた。ディーノの手がレイの短い髪をグシャグシャとかき回すし、レイも笑いながらそれを受け入れている。
容姿こそ全く違うが、その距離感は兄妹のように見えなくもない。
二人を見る部下達の目も穏やかで、これが彼らにとっても日常の風景であることが分かる。レイはこのファミリーで一人の人間として尊重され、一人の子どもとして愛されているのだろう。
彼女がイタリアに暮らし始めて10年。その間に何があったのかをツナはほとんど知らない。
知っているのはただ二つ。
一つはレイの両親、ツナにとっての伯父と伯母が随分前に亡くなっていること。当時、母が自身の姉の訃報に泣き崩れていたのをおぼろげながら覚えている。
そしてもう一つ、レイとその兄である二人のいとこは現地の知り合いの家に身を寄せたということくらいだった。しかしその知らせを最後に、彼らとは連絡が取れなくなった。
たまに帰宅する家光に訊こうとしたこともあったが、軽くはぐらかされて終わってしまった。
今となっては「そういうことだったのか」と理解もできてしまう。
もしかしたらもう一人のいとこ、レイの兄であるヒロヤもここにいるのだろうか。叶うのならばまた会いたい。
レイにも会えたのだ、きっとヒロヤもこの町にいる。
こうして再会できるのなら、リボーンにイタリアまで拉致されたのも悪くないと思える。
「お茶、ボクが出します」
そう言ってレイが退室しようとすると、ランボも後を追った。
「ランボさんも一緒に探検するもんね!」
「あ、こら!お前!」
「大丈夫だよ、怪我はさせないように気をつけるから」
ランボを抱き上げてレイが廊下に出る。
「絶対に迷惑かけるなよ!わかったなランボ!」
わーい、と扉の向こうからはしゃいだ声が聞こえる。レイに迷惑を掛けないかももちろんだが、廊下にあった高そうな諸々を傷付けないかも不安で仕方がない。
足音が遠ざかるのを聞いてため息を一つ。
扉が完全に閉まると、急にディーノが頭を下げた。
「ツナ、まず最初に謝らせてくれ。すまなかった」
ぎょっとしたのはツナの方だ。
「なっ!どうしたんですか!?顔を上げてください!」
「いいや、こればかりはそうもいかねえ」
ディーノは頭を下げて床を見つめたまま続ける。
「オレはツナに二つ謝らないといけないことがある。一つはアイツがここにいることをお前に黙っていたことだ」
レイとヒロヤはやはり親を亡くしたから8年前から、キャバッローネファミリーに身を寄せていたという。
「本当はお前に会う前から、お前達が従兄妹だってことは知っていた。お前の名前も、お前の小さい頃の写真も……レイの母親から見せてもらってた。だからお前の写真をリボーンに見せられた時はすげえ面食らったんだ。『レイのいとこがボンゴレの次期ボスなのか』って。まあ、お陰で『絶対に犬死になんかさせない』、って気合は入ったけどな」
遠くを見るような目で、ディーノは穏やかに、しかし悔いるように話す。
「お前に会って、従兄だと確信してもアイツのことを話せなかった。最初はお前自身がマフィアを怖がってたのもあったし、オレもアイツも、お前やお前のママンに何て言えばいいかわからなかった。結果、情けないことにここまで引き延ばしちまったんだ……」
「あ、謝らないでください!レイだって元気そうだったし、みんなレイに優しくしてくれてるんだって、見たらすぐにわかりますし……、その。オレが言っていいか分からないけど、ありがとうございます」
ディーノはやっと笑みを浮かべて頭を掻く。
「弟弟子に気を遣われるなんてオレもまだまだだな」
一呼吸おいて、先ほどよりもゆっくりとディーノが口を開いた。
「もう一つ……。ツナ、ヒロヤのことは覚えてるか?」
待ち望んだ懐かしい名前に、ツナはパッと顔を輝かせる。
「は、はい!ヒロヤ兄ちゃんのことは覚えてます!」
彼のことも、ちゃんと覚えている。とはいっても日本にいた頃の彼の記憶しかないが。
学ランだった当時の並盛中の制服を着たまま、ツナの家で遊んでいたレイを迎えに来ていた。
確かディーノと年齢は変わらないはずだ。瀬切一家が日本を発つ日は、ヒロヤに会えなくなるのも嫌で泣いていた。
「もしかして、ヒロヤ兄ちゃんもここにいるんですか?」
期待を抑えきれないツナと、新しい名前に首を傾げる獄寺と山本。
「誰ですか?」
「もう一人のいとこで、レイのお兄さんなんだ」
「アイツ兄貴いたんだな」
「うん、オレも昔よく遊んでもらって……。すごい優しい人なんだ」
レイとヒロヤを取り合って喧嘩するほどには懐いていた。一人っ子の自分が兄と慕っていたほどだ。
「ヒロヤ兄ちゃん、元気ですか?」
笑みを抑えきれないままディーノに向き直る。彼を知っているならきっと同じように笑い返してくれる。そう思っていた。
が、ディーノの顔は予想に反して暗かった。ポジティブな表情の印象が強い彼だが、その顔に明らかな陰が落ちる。
何かを堪えているような、歯を食いしばっているような。そんな表情だ。
気のせいか、この部屋にいる彼の部下達の空気もわずかに重くなっている。
「ディーノさん……?」
「ツナ、よく聞いてくれ」
ディーノの息を吸う音だけが部屋に響く。
「ヒロヤは5年前に事件に巻き込まれた。遺体は見つかっていないが、恐らくもう……」
「え……?」
頭が真っ白になった。体も動かないし声も出せない。視界までもがディーノを中心にしてぐらつき始めた。
「う、そ……ですよね……?ヒロヤ兄ちゃんが……」
「本当にすまない。アイツの件は、間違いなくボスであるオレの責任だ。レイにも散々辛い思いをさせた」
「そ、そんな……」
ディーノは再度頭を下げて、そのまま動かない。膝の上で握られた拳がわずかに震えている。
両脇の友人達が案じるようにツナとディーノを伺っているが、何も言えない。
じわりじわりと視界が滲んで、喉の奥が破裂してしまいそうになったその時。
「弾き飛ばすわよ」
「ンガッ!!」
突如後頭部に衝撃が走り、溜まりかけていた涙がはじけた。ツナの頭を踏み台にしてテーブルに飛び乗ったのは、家庭教師だった。
「リ、リボーン……!お前ここにいたのか!」
「ちゃおっす。オレもこっちに用があってな。お前らより先に来てたんだ」
そう言いながら大きな黒い瞳がツナを見据える。
「オレも当然アイツらのことは知っていたが、当人の意思を尊重してお前には黙ってたんだ。お前がそういう顔になるのが分かってたからレイも連絡できずにいた。気持ちは分かるがその顔はアイツが茶を持ってくるまでに直しとけよ」
「……分かった」
正面から諭されて、少しだけ心が落ち着く。拳で目元を強く拭い、深呼吸をした。
「ディーノさん、教えてくれてありがとうございます。母さんにはオレから話します。オレも、きっと母さんも、誰が悪いとか思いません」
ツナの目がしっかりを自分を見つめるのを確認したディーノは、もう一度頭を下げて「ありがとう」と静かに言った。
「あの」
沈黙の中から遠慮がちに山本から声を上げる。
「アイツのこと、オレらが聞いてよかったんすか?」
「確かにな。聞かなかったことにしろってんならそうしてやるけどよ」
ふてぶてしく足を組みながら獄寺も言う。
「それについてはレイから許可をもらってる。お前ら三人がいつも一緒なのはアイツも知っててな。お前らが信頼のおける人間ということも、絶対にツナを傷付けないことも理解してる。それにツナやレイの口から話すよりオレが話した方がいいだろうってことでな」
そう言ってディーノはやっと笑った。
「てかリボーンも二人のこと知ってたんだな。今更もう驚かないけど」
「そりゃヒロヤとレイはディーノがへなちょこの頃からの知り合いだからな。アイツらはオレにしごかれて泣きながら逃げようとするディーノを目の当たりにしてるぞ」
「おいリボーン!その話は今いいだろ!!」
ディーノのダメエピソードをリボーンが語り始めたところで応接室の扉が開いた。レイはランボを抱えたまま茶器を乗せた台車とともに入室した。
「この子の髪の毛から飴と手榴弾とトカゲのしっぽが出てきた。あと全然いうこと聞かないな」
相当ウザさを振りまかれたのか、レイはやや疲れた顔でランボをツナに差し出した。ランボははしゃぎ疲れたのか少しおとなしい。ツナとレイでランボの受け渡しが行われる間も静かにしている。
「ランボのことありがとう」
「うん。でも、この子も守護者なんだよね、すごいや」
「自覚があるのか分からないけどな……」
きっと彼女はこの部屋で何の話がされていたのか知っている。それでもこうして普通に振る舞ってくれるのが、今はありがたかった。