暗雲
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6月も下旬に差し掛かり、梅雨の真っ只中の並盛はじっとりとした空気に包まれている。今は雨こそ降っていないが、午前中に降った雨が乾ききらずに地面にへばりついていた。
「クソっ……、蒸し暑ぃ……」
舌打ちしながら獄寺が愚痴る。ツナを挟んで獄寺の反対側を歩く炎真も、同じようにうんざりした顔で頷いた。
獄寺はカッターシャツのボタンを全開にして、赤いインナーを晒している。
そこまでの度胸がないツナと炎真もボタンを二つほど外しているが、風のない雨上がりにはあまり意味がなかった。
少し後ろを歩くレイも一番上のボタンを緩めているが、一方でその隣を歩くSHITT・P!は平然としている。今日は全身にフィットするように改造された制服を着ているのに、何故この湿度で汗一つかいていないのだろうか。
今日は山本達は部活、クロームは骸のところに用事があり、このメンツで帰宅することとなった。#2#もシモンファミリーの面々と悪くない関係を築けているようで、今となっては緊張する様子はかけらも見えない。
アスファルトに残る水たまりを踏み、スラックスの裾が濡れる感覚に眉を顰める。
「この状態のグラウンドで練習なんて、野球部も大変だよなぁ」
「野球バカ達にとっては楽しいんすかね」
「泥のついた服の洗濯って大変なんだよね……。今日の洗濯当番は僕だし」
中学最後の夏の大会に向けて、野球部含めあらゆる部活が全力を出す時期だが、生憎と帰宅部のツナ達にはほとんど関係ない。勿論、山本達には悔いがないようにしてもらいたいし、試合があれば応援にも行くだろう。
ちらりと後ろを見れば、レイはSHITT・P!に日本史の年号クイズを出されて頭を抱えている。
日々、予習復習を行ってはいるが彼女にとって完全に新しい知識になる古文漢文に続き、日本史でもかなり苦戦しているようだ。
ちなみに先日の理科の小テストにおいて、とうとうツナはレイに成績を抜かれた。喜ばしい限りだが、家庭教師の目は見られなかった。
山本も夏の大会が終わったら勉強に本腰を入れることだろうし、そうなると同級生の中で一番成績がよろしくないのはツナになるだろう。
高校受験も控える季節であり、周囲に引きずられるようにツナの中にも焦りが生じてくる。
できれば皆と、特に京子と同じ高校に進めたら嬉しい限りだが、現状の成績では大半の並中生が進学する高校への進学すら危うい。
かといって勉強にやる気が出るわけではないのが悲しい話だ。
とりあえずリボーンには「少なくとも高校は卒業しろ」と言われている。高校を卒業するまでマフィアだボンゴレだなんだかんだを先延ばしにしても許される、と解釈しているが、流石に都合がよすぎるだろうか。
不意に獄寺が歩みを止めた。
「どうしたの?」
「今、悲鳴のようなものが……」
獄寺は警戒するように周囲を見渡す。今度は後ろでレイが声を上げた。
「えっ、しとぴっちゃん?」
振り返ればSHITT・P!が空中に浮かんでいる。原理は不明だが、ふわふわと高度を上げ、民家の屋根を超えたところで止まった。そして空中で一回転してまた戻ってきた。
「どうしたの?」
駆け寄った炎真、彼女は「あっち」と東の方を指差した。
「クソっ……、蒸し暑ぃ……」
舌打ちしながら獄寺が愚痴る。ツナを挟んで獄寺の反対側を歩く炎真も、同じようにうんざりした顔で頷いた。
獄寺はカッターシャツのボタンを全開にして、赤いインナーを晒している。
そこまでの度胸がないツナと炎真もボタンを二つほど外しているが、風のない雨上がりにはあまり意味がなかった。
少し後ろを歩くレイも一番上のボタンを緩めているが、一方でその隣を歩くSHITT・P!は平然としている。今日は全身にフィットするように改造された制服を着ているのに、何故この湿度で汗一つかいていないのだろうか。
今日は山本達は部活、クロームは骸のところに用事があり、このメンツで帰宅することとなった。#2#もシモンファミリーの面々と悪くない関係を築けているようで、今となっては緊張する様子はかけらも見えない。
アスファルトに残る水たまりを踏み、スラックスの裾が濡れる感覚に眉を顰める。
「この状態のグラウンドで練習なんて、野球部も大変だよなぁ」
「野球バカ達にとっては楽しいんすかね」
「泥のついた服の洗濯って大変なんだよね……。今日の洗濯当番は僕だし」
中学最後の夏の大会に向けて、野球部含めあらゆる部活が全力を出す時期だが、生憎と帰宅部のツナ達にはほとんど関係ない。勿論、山本達には悔いがないようにしてもらいたいし、試合があれば応援にも行くだろう。
ちらりと後ろを見れば、レイはSHITT・P!に日本史の年号クイズを出されて頭を抱えている。
日々、予習復習を行ってはいるが彼女にとって完全に新しい知識になる古文漢文に続き、日本史でもかなり苦戦しているようだ。
ちなみに先日の理科の小テストにおいて、とうとうツナはレイに成績を抜かれた。喜ばしい限りだが、家庭教師の目は見られなかった。
山本も夏の大会が終わったら勉強に本腰を入れることだろうし、そうなると同級生の中で一番成績がよろしくないのはツナになるだろう。
高校受験も控える季節であり、周囲に引きずられるようにツナの中にも焦りが生じてくる。
できれば皆と、特に京子と同じ高校に進めたら嬉しい限りだが、現状の成績では大半の並中生が進学する高校への進学すら危うい。
かといって勉強にやる気が出るわけではないのが悲しい話だ。
とりあえずリボーンには「少なくとも高校は卒業しろ」と言われている。高校を卒業するまでマフィアだボンゴレだなんだかんだを先延ばしにしても許される、と解釈しているが、流石に都合がよすぎるだろうか。
不意に獄寺が歩みを止めた。
「どうしたの?」
「今、悲鳴のようなものが……」
獄寺は警戒するように周囲を見渡す。今度は後ろでレイが声を上げた。
「えっ、しとぴっちゃん?」
振り返ればSHITT・P!が空中に浮かんでいる。原理は不明だが、ふわふわと高度を上げ、民家の屋根を超えたところで止まった。そして空中で一回転してまた戻ってきた。
「どうしたの?」
駆け寄った炎真、彼女は「あっち」と東の方を指差した。