歓迎会とその片付けが終わるころには、もう日の傾きが大きくなっていた。
10歩ほど先を歩いていた子供達とビアンキが勝手知ったる沢田家の中に入っていく。半歩後ろを見れば、レイがまぶしいものでも見るように、敷地の外から沢田家を眺めていた。

近所に建っていた瀬切家はもう土地ごと売り払われて、まったく別の家族が、全く別の家を建てて暮らしている。レイの知る並盛の家はおそらくここだけだ。

「おかえり」

気の利いた言葉一つ思い浮かばず、たった一言と右手をレイに差し出すことしかできなかった。そんなツナを見て、レイが笑みを浮かべる。

「ただいま」

レイの右の手のひらを一度だけ強く握り、少し緩めてから沢田家の敷地に足を踏み入れた。
繋いだ手は昔のような柔らかさなどない。自分より少しだけ小さく、しかし自分の知らない経験を重ねて少し硬くなっている手の皮。
それはきっと、自分も同じだ。レイには話していないいくつもの経験を経たこの手は、彼女の記憶よりずっとずっと固く傷だらけになっているだろう。

玄関の扉を開けると、廊下に奈々が立っていた。ツナは軽く手を引いて、レイを玄関の中に引き込む。
奈々は靴下のままで三和土に降りて、そしてレイを抱きしめた。

「おかえり、おかえりレイちゃん…！」

レイが来ること以外、ディーノが何を伝えたのかは知らない。しかし肩を震わせる母の姿につられて涙がにじむ。ゆらゆらと揺れる視界の中で、レイの手が奈々の服にしわを作っているのが見えた。
いつの間にか足元にいたリボーンがハンカチを差し出しながら奈々に声をかける。

「ママン、まだ冷える時期だ。上がってからでも抱き締めることはできるだろ？」
「そうね、歓迎会もしなきゃ！」

奈々はそう言うとハンカチで目元を拭って、もう一度だけレイを抱きしめてからキッチンに向かった。
奥の方からいい匂いが漂ってくる。もう一度待ち構えている歓迎会を行うため、少し目と鼻を赤くして俯いている主役の腕を引いた。


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蛇足的な夢主の荷解きと使用武器とツナとのわちゃわちゃ