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体育館での始業式を終え、教室での自己紹介も全員一通り終えたところだった。突如、校内放送で担任が名指しの呼び出しを受けた。指定場所は応接室。
教室に緊張が走る。応接室イコール雲雀絡みだろうと予測はつくが、我らが担任に何の用だろうか。
担任の八木はいつも通りの様子で「おしゃべりはしてもいいですが他のクラスに迷惑はかけないように」とだけ言い残して教室を出た。
「なんの呼び出しだったんだろう、大丈夫かな」
「さすがに八木センは噛み殺さないだろ……噛み殺さないよな?」
やや青ざめた顔で生徒たちがざわつく。
八木は今年で定年を迎える国語担当の男性教諭で、物腰は柔らかく授業も丁寧なことから多く生徒から信頼を置かれていた。また本校に長く勤めていることから、雲雀からの評価が悪くないのも伺える。
雲雀は傍若無人を体現するような人ではあるが、さすがにあの担任相手に何かするとは思えない。ツナはそこまで不安を感じなかった。
担任が教室を出てすぐに、暇を持て余した獄寺と山本が寄ってきたので談笑しつつ担任を待つ。
ツナのいる列は先頭に黒川、次にクローム、獄寺と続き、間に空席、そして京子、ツナとなっている。空席は今席を立ってお喋りに興じる誰かのものだろう。
君の列の半数がマフィア関係者です、なんて言われたらたまらないだろうな、と勝手に同情する。いや、自分はマフィアになるつもりはないが。
少し左を向けば、陽光を浴びる山本の席が目に入った。今年は山本が出席番号の殿を務めるようだ。
いい具合に暖められたであろう山本の机を見ながら、今年こそは平和な一年を送ってやる、と人知れず心を決めた。
10分程度が経ったころ、担任が廊下からひょっこりと顔だけ出した。そしてちょうど目に留まったであろう山本に向かって手招きをする。
「誰か男子……ああ、山本さん、悪いけどちょっと手伝ってもらえますかね」
「オレっすか?」
「ええ、力仕事なんですけど」
山本はツナ達から離れて廊下に向かい、教室後方の扉を開いた。次の瞬間に「おっ!」と声を上げてそのまま扉を閉めて出て行った。
担任が戻ってきたことで生徒はのんびり席に戻り始める。
「なんか山本君嬉しそうだったね」
山本の表情が見えたらしい京子が振り返って言った。
「う、うん!てか、力仕事って何だろうね」
「応接室から何か持ってきたのかな?」
二人で首を傾げているうちに、廊下からガタガタという音が近付いてきた。
何事かと一番近い廊下側の生徒が扉を開けると、椅子が乗せられた机を抱えて山本が立っていた。ありがとな、と言いながら教室を横断し、自身の席の後ろに机を置く。
「なんで机?」
「すぐ分かるぜ!」
近くの席のクラスメイトと話しながら山本は机の上に乗った椅子を下ろし、その前の席に座った。全員の着席を見届けた担任は教壇に上がり、ゆったりと話し出す。
「皆さんお待たせしましたね。机で察した方もいるかもしれませんが、急遽転校生がうちのクラスに入ることになりました」
入ってきなさい、と廊下に向けて八木が声を掛ける。
「えっ」
思わず声が漏れた。視界に入る獄寺も遅れて気付いたのか、驚きを隠せずに体を揺らしたのが見える。
教室に入って担任の横に立ったのは、つい先日イタリアで再会し、そして別れたばかりのレイだった。
男子の制服に袖を通したレイが緊張した面持ちで口を開く。
「瀬切レイです、よろしくお願いします」
「はい、ありがとうございます。瀬切さんは長くイタリアに住んでいた、つまり帰国子女です。育った国が違えば『当たり前』も違いますから、瀬切さんも皆さんも、お互いを尊重しながら学校生活を送っていきましょうね」
お辞儀をするレイの姿にクラスから拍手が起きた
。
「瀬切さんの席ですが、窓側の一番後ろ……ああ、今手を挙げてる彼の後ろの席です」
横を見れば山本が笑顔で手を挙げている。知っている人の近くの席だからか、レイも表情も和らげながら着席した。
「よろしくな」
「うん」
という2人の会話が聞こえる。
レイが椅子を引いて着席したところで八木が口を開いた。
「ああ、一つ忘れてました。瀬切さんは沢田さんの従妹です。沢田さん、サポートよろしくお願いしますね」
途端、集中するクラスメイトの視線に、ツナは頭を抱えた。
教室に緊張が走る。応接室イコール雲雀絡みだろうと予測はつくが、我らが担任に何の用だろうか。
担任の八木はいつも通りの様子で「おしゃべりはしてもいいですが他のクラスに迷惑はかけないように」とだけ言い残して教室を出た。
「なんの呼び出しだったんだろう、大丈夫かな」
「さすがに八木センは噛み殺さないだろ……噛み殺さないよな?」
やや青ざめた顔で生徒たちがざわつく。
八木は今年で定年を迎える国語担当の男性教諭で、物腰は柔らかく授業も丁寧なことから多く生徒から信頼を置かれていた。また本校に長く勤めていることから、雲雀からの評価が悪くないのも伺える。
雲雀は傍若無人を体現するような人ではあるが、さすがにあの担任相手に何かするとは思えない。ツナはそこまで不安を感じなかった。
担任が教室を出てすぐに、暇を持て余した獄寺と山本が寄ってきたので談笑しつつ担任を待つ。
ツナのいる列は先頭に黒川、次にクローム、獄寺と続き、間に空席、そして京子、ツナとなっている。空席は今席を立ってお喋りに興じる誰かのものだろう。
君の列の半数がマフィア関係者です、なんて言われたらたまらないだろうな、と勝手に同情する。いや、自分はマフィアになるつもりはないが。
少し左を向けば、陽光を浴びる山本の席が目に入った。今年は山本が出席番号の殿を務めるようだ。
いい具合に暖められたであろう山本の机を見ながら、今年こそは平和な一年を送ってやる、と人知れず心を決めた。
10分程度が経ったころ、担任が廊下からひょっこりと顔だけ出した。そしてちょうど目に留まったであろう山本に向かって手招きをする。
「誰か男子……ああ、山本さん、悪いけどちょっと手伝ってもらえますかね」
「オレっすか?」
「ええ、力仕事なんですけど」
山本はツナ達から離れて廊下に向かい、教室後方の扉を開いた。次の瞬間に「おっ!」と声を上げてそのまま扉を閉めて出て行った。
担任が戻ってきたことで生徒はのんびり席に戻り始める。
「なんか山本君嬉しそうだったね」
山本の表情が見えたらしい京子が振り返って言った。
「う、うん!てか、力仕事って何だろうね」
「応接室から何か持ってきたのかな?」
二人で首を傾げているうちに、廊下からガタガタという音が近付いてきた。
何事かと一番近い廊下側の生徒が扉を開けると、椅子が乗せられた机を抱えて山本が立っていた。ありがとな、と言いながら教室を横断し、自身の席の後ろに机を置く。
「なんで机?」
「すぐ分かるぜ!」
近くの席のクラスメイトと話しながら山本は机の上に乗った椅子を下ろし、その前の席に座った。全員の着席を見届けた担任は教壇に上がり、ゆったりと話し出す。
「皆さんお待たせしましたね。机で察した方もいるかもしれませんが、急遽転校生がうちのクラスに入ることになりました」
入ってきなさい、と廊下に向けて八木が声を掛ける。
「えっ」
思わず声が漏れた。視界に入る獄寺も遅れて気付いたのか、驚きを隠せずに体を揺らしたのが見える。
教室に入って担任の横に立ったのは、つい先日イタリアで再会し、そして別れたばかりのレイだった。
男子の制服に袖を通したレイが緊張した面持ちで口を開く。
「瀬切レイです、よろしくお願いします」
「はい、ありがとうございます。瀬切さんは長くイタリアに住んでいた、つまり帰国子女です。育った国が違えば『当たり前』も違いますから、瀬切さんも皆さんも、お互いを尊重しながら学校生活を送っていきましょうね」
お辞儀をするレイの姿にクラスから拍手が起きた
。
「瀬切さんの席ですが、窓側の一番後ろ……ああ、今手を挙げてる彼の後ろの席です」
横を見れば山本が笑顔で手を挙げている。知っている人の近くの席だからか、レイも表情も和らげながら着席した。
「よろしくな」
「うん」
という2人の会話が聞こえる。
レイが椅子を引いて着席したところで八木が口を開いた。
「ああ、一つ忘れてました。瀬切さんは沢田さんの従妹です。沢田さん、サポートよろしくお願いしますね」
途端、集中するクラスメイトの視線に、ツナは頭を抱えた。