血塊戦線編
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石畳に足をとられてよろける。
一瞬、ほんとうに一瞬だけ目を閉じて、ビックリした、と顔を上げた。
「は?」
さっきまで見ていた景色は、イタリア特有の年季の入ったレンガと涼しい水の音が聞こえる水の都だった。
しかし、今目の前に広がるのは、霧がかったビル群と、得体の知れない生き物と人間が普通に暮らしている異常な街だ。あっちで爆発音が聞こえたと思ったら、また違うところでも爆発音が響いた。
(なんじゃこりゃ、どうなってんだいったい…)
何が起こっているのかわからなかった。
しかし、俺に起こったトラブルである事に変わりはない。ならばリセット・Sで時間を巻き戻せば良い。
「……リセット・S」
人型を模したリセット・Sが俺のそばにあらわれた。横を通り過ぎていく者は誰もリセット・Sに反応しない。ここにもコイツをみれる奴はいないんだな。
(良かった。こんな姿誰かに見られでもしたら大騒ぎに「うわっ!…えっ?…ええっ!?」
「あ?」
見られた…?リセット・Sを…?
このいたって普通の少年に…?
騒がれでもしたら…ヤバい!
「おい、少年。」
「っひぇ…ぁ…」
「おびえる必要はない。聞きたい事があるだけだ。…お前……見えているだろう…?コイツが。」
「……は、ぃ」
少年の頭を包み込むように手を添えた。
少年は困惑しているみたいで、汗をかいている。
(大丈夫。そんなに不安がらなくて良い。
ただ、忘れるだけだ。今見たこと、全部を。
こんな事したことねえから力加減が出来ねえが、それぐらい、勘弁してくれよな。)
「『忘れろ、消えろ、巻き戻れ』」
ーーー
「ぉぃ、おい!」
「え?あれ、ザップさん?」
少しぼうっとしていたみたいで、気が付いたときには目の前にザップさんがいた。でも、あれ?
「あんた、入院してたんじゃあないんですか?
三日で退院とかやっぱ人間じゃねえよ。」
「は?何言ってんだ、てめえ。
その台詞、昨日も言ってたじゃねえか寝ぼけてんのか?」
「そんな訳ないでしょ。あんたじゃあるまいし。」
話がなぜかまるで噛み合わない。
愛人の一人にクスリでも使われたのか…?
「…っ!……いったあ。」
「なんだあ?またカス共に殴られたのか?」
「いや…なんか、頭がボンヤリするって言うか、痛いって言うか…。」
視界がぼやける。焦点がうまくあわない。
なんだろ…調子が悪いのはそうなんだけど、この痛みは、何かを無理矢理治そうとしてるみたいな痛みだ。例えるなら、タワシで力付くで汚れを落とそうとしてるみたいな……。
「あたま、大丈夫か?」
「その言い方、ムカつく。」
悪意しかない言い方するなこの人。
うーんとザップさんが唸る。
「とりあえず、番頭か旦那にでも聞いてみるか。おまえ、今日、普通じゃあねえみたいだからな。またいつもみたいに弱いくせにトラブる引き寄せた結果だろ?それ。」
「珍しくマトモなこと言いますね。珍しく!」
交わる世界は三つになって
(「珍しくは余計だ!陰毛頭!」「その呼び方やめてください!」「あぁん?陰毛頭は陰毛頭だろうが、この陰毛!」「短くすんな!」(…少年を一日戻してしまった……か、帰れねえ…!))
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