・アンスール
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アンビル(性別なし)
「ああ アンスールがとても好き」
二人でまどろみながら、ベッドの上でたゆたうように寝転ぶ午後───あなたはこの世の全ての幸福をとろかしたような微笑みで、うわ言のように呟く。
波打つシーツが、光を反射して、本物の水面のように見えた。
「アンスールが 好きだよ」
あなたは目を閉じて、最後の一息のように告白を終えると、そのまま静かに寝入りについた。
美しいと思った。
私の隣で優しい寝息を立てる、美しいひと。
部屋には、このひとの全てを守りたいと思わせる、神聖な空気が満ちていた。
その空気を取り込むために、私は呼吸をする。
「愛しいひと……」
眠りを妨げないように、細心の注意をはらって、その寝顔を覗きこむ。
瞼、それを縁取るように生えたまつ毛、鼻筋、くちびる、顎のライン、喉、すべてがそこにあった。
呼吸でわずかに上下する体を、ただ見つめる時間が、他の何よりも私に幸福を与えてくれた。
石を積み上げるように、慎重に整えられた時間の中を、あなただけが自由に生きている。
「 ナナシ 」
あなたの頬を撫でる。
「 ナナシ 」
あなたの唇を撫でる。
「 ナナシ 」
あなたの手を握りしめて、
願うようにあなたの名前を三回唱えた。
叶えたい望みを全て叶えてもなお、私は願わずにはいられなかった。
この世界の終わりまで、あなたの横でただこうして戯れていたい。
なんでもないように、ただ、そうしていたかった。
終わり
「ああ アンスールがとても好き」
二人でまどろみながら、ベッドの上でたゆたうように寝転ぶ午後───あなたはこの世の全ての幸福をとろかしたような微笑みで、うわ言のように呟く。
波打つシーツが、光を反射して、本物の水面のように見えた。
「アンスールが 好きだよ」
あなたは目を閉じて、最後の一息のように告白を終えると、そのまま静かに寝入りについた。
美しいと思った。
私の隣で優しい寝息を立てる、美しいひと。
部屋には、このひとの全てを守りたいと思わせる、神聖な空気が満ちていた。
その空気を取り込むために、私は呼吸をする。
「愛しいひと……」
眠りを妨げないように、細心の注意をはらって、その寝顔を覗きこむ。
瞼、それを縁取るように生えたまつ毛、鼻筋、くちびる、顎のライン、喉、すべてがそこにあった。
呼吸でわずかに上下する体を、ただ見つめる時間が、他の何よりも私に幸福を与えてくれた。
石を積み上げるように、慎重に整えられた時間の中を、あなただけが自由に生きている。
「 ナナシ 」
あなたの頬を撫でる。
「 ナナシ 」
あなたの唇を撫でる。
「 ナナシ 」
あなたの手を握りしめて、
願うようにあなたの名前を三回唱えた。
叶えたい望みを全て叶えてもなお、私は願わずにはいられなかった。
この世界の終わりまで、あなたの横でただこうして戯れていたい。
なんでもないように、ただ、そうしていたかった。
終わり
