エルデナ王国物語
「のあさん、ここ濡れて滑るから足元気をつけて…。」
「はい……。うりさんも。」
えとさんとゆあんくんが落下していったあと、オレ達2人は交わす言葉数も少なくなりながら
2人の無事を願い安全を確保しながらえとさんとゆあんくんが落下した先へと向かっていた。
はじめは土や丸石で構成された断崖絶壁も安山岩や花崗岩へと変わってきた。
――降り始めて10分
すでに周囲の鉱石は深い場所でしか生成されない深層岩が中心となっていた。
地上の光は届かないので、光源確保・沸きつぶしのために松明をある程度の間隔で置いておく。
ようやく底まで降り着いたとき、右を見るとどこまで続いているのかわからない洞窟。
左を見るとぼんやりと青白く光る地面が広がっていた。
えとさんとゆあんくんが落下した方角は……青白く光る地面のほうだ……。
のあさんとその光に向かって歩みを進めていくとぽつりとのあさんがいった。
「うりさん……あれって……。」
「あぁ……どうやらあの2人最悪な場所に落ちたみたいだな。」
「…………。」
のあさんの顔を見なくたってわかる。きっとオレと同じように険しい表情をしているに違いない。
2人が落下した深さが心配だったのに落下した先がまさか「ディープダーク」だったなんて……。
しばらく進むとスカルクシュリーカーの金切り音が所かしこから聞こえてきた。
でも幸か不幸か伝説級の魔物「ウォーデン」の地を這うような叫び声は聞こえない。
これが出現後の暴れたあとなのか、出現前だからなのかわからないがオレとのあさんは急いで、でも物音を立てないようにスニーク状態でスカルクの中へと歩みを進めていった。
――――――――――
しばらく歩いていくと人工的に置かれた松明のオレンジ色の光が見えてきた。
「えとさん達だ……。」
か細いけれどはっきりとした口調でのあさんがいう。
松明までの距離はまだ、だいぶ先だけど目を凝らすと確かに人影がふたつ見えた。
ゆあんくんがオレとのあさんに気づくとこちらに向かって手を振る。
その様子を見たえとさんもオレ達の存在に気づいたようで振り返り大きく手を振っていた。
――生きていた……。
ゆあんくんを信じていなかったわけではないけど、これだけ色々な状況が重なれば最悪の状況のことも考えていた。
無事でいる様子を確認出来て安堵し、オレは自然と笑みが漏れていた。
「ふっ……うぅ……う――。」
のあさんは安心したのか手の甲で口を塞ぎ声を上げて泣くのをこらえている
オレはそんなのあさんの小さな頭に手を置いてポンポンと軽く撫でた。
無事ゆあんくんたちと合流してからはディープダークの中で物音をたてないように慎重に歩みを進め、危険地帯から離れること成功した。
合流できたオレ達「レッド・アイ」は、オレとのあさんが地下へ降りついたときに見つけた洞窟、道が奥まで続いていそうな道が
地上でエンダーパールが指し示した方角と同じ方向に向かっていることを確認したため、この後は洞窟探索をしながら先を進むことにした。
谷底深く落ちてしまった現在位置から再度もと来た道を辿って山の麓から雪山を登山するのはリスクが多いと判断したからだ。
――再出発までの小休憩
安全な場所まで戻ってきたことがわかると、のあさんはえとさんに抱き着いて大声で泣いた。
「もう……っく……自分のことを後回しにしちゃダメです!!」
のあさんはゆあんくんが一通り応急処置をしたと聞いても
えとさんを抱きしめ、ヒールをかけながらワンワンと泣き説教を続けていた。
えとさんが一番クリーパーの近くで爆発の衝撃を受けたのに、自分よりも先にオレとのあさんの治癒を優先したからだ。
「うん。ごめんね、のあさん……心配かけたよね。」
えとさんはされるがままになっている。
オレはそんな二人の様子を腕を組み、傍でみていた。
のあさんにとってえとさんは家族だ小さなころから心を配って大事に育ててきた娘のような、妹のような、大事な存在なのだ。
のあさんのお説教が少し落ち着くとオレは傍へと歩み寄りえとさんの頭を軽く小突いた。
「ほんと、のあさんの言うとおりだぞ。」
「うん、ごめん。…………うりも無事でよかった。」
えとさんの赤みがかったオレンジ色の瞳がオレの姿を映し、柔らかい笑みを浮かべた。
ゆあんくんも少し離れたところでそんなやり取りを見守りやわらかい表情を浮かべていた。
「ほんと、ゆあんくんのおかげなんよ…。あんな高さから気を失った状態で落ちたのに
こうして無事なのも…。気づいたら応急処置も済んでいて流石だなって。」
「確かにオレ達と合流する前にほぼ完治していたもんな……、どういう状況だったん?」
オレは何の気なしにゆあんくんに向かって尋ねると、のあさんも同じことを考えていたのか
えとさんに抱きつく力を弱めて3人で一斉にゆあんくんを見た。
するとゆあんくんはギクリとした様子で目を泳がせ、少し悩んだ様子を見せたが意を決したように
こちらに近づいてきて、えとさんの正面に立った。
どんなに強い魔物と対峙しても表情が変わらないゆあんくんが目を固く瞑り、一つ息を吐いたあとにいった。
「えとさん……殴っていいよ」
「えっ?!なんで??」
突然のゆあんくんの言葉に戸惑いを隠せないえとさんは、答えを探すように
のあさんとオレのほうを見たが、状況をなにも知らないオレ達は黙って首を横に振った。
「――気を失っているえとさんにポーションを飲ませたんだ。その___口移しで……」
ゆあんくんから発せられた状況がオレの頭の中をよぎる。
そして、口を金魚のようにぱくぱくとさせているえとさんと、殴られる覚悟で神妙な面持ちをしているゆあんくんの口元に視線がいったり来たりしてしまい、緊急事態で仕方ないことだとわかっていてもオレの胸は時間差で鈍い痛みを感じた。
いつの間にか、えとさんを解放していたのあさんは小さな声で「キャァ」と歓声を上げ両手で口を覆い
きょろきょろと2人を見比べている。
「口移し…って…でもそれは緊急事態だったわけだし…そうするしかなかったわけだし……
怒るわけないじゃん……っていうかむしろごめん」
動揺を隠しきれないえとさんだったが、徐々に冷静さを取り戻してきたのか
気を落としたように視線も声のトーンも下がっていった。
「ごめん?なにが?」
「えっ…だっていくら人命救助とはいえさ……るな、るな姫がいるのに…申し訳ないなって」
「は?」
「だから…ゆあんくんには、るな姫がいるのにさ。
このこと知ったらるなだって嫌な気分になるとおもうし……喧嘩するようなことになったらいってよ。私謝るし…。」
「なにいって…」
「ゆあんくんとるな姫は将来結婚する中で恋人同士でしょ
人命救助とはいえ…ゆあんくんも嫌だったよね、ごめん。
――まぁ、その辺に生えているひまわりに口が掠ったくらいだと思ってよ…」
「もう…やめてくれ。
――そろそろ、出発しよう」
心の底から傷ついたような表情をしたゆあんくんはオレ達からそっぽを向き洞窟の奥へと向かって歩き始めた。
そんなゆあんくんの背中を見たえとさんがぽつりといった。
「私…なにかおかしなこと言った?」
のあさんも少し目じりを下げて悲しそうな表情をしている。
オレはえとさんの頭に手を置いて言った。
「今のは、えとさんが悪いかな……。」
ゆあんくんとえとさんとの間にあった出来事に傷ついたオレだったけど
あれほどまでに分かりやすく寄せられている好意にまるで気づかないえとさんの発言に傷ついたゆあんくんを同情したのだった。
「はい……。うりさんも。」
えとさんとゆあんくんが落下していったあと、オレ達2人は交わす言葉数も少なくなりながら
2人の無事を願い安全を確保しながらえとさんとゆあんくんが落下した先へと向かっていた。
はじめは土や丸石で構成された断崖絶壁も安山岩や花崗岩へと変わってきた。
――降り始めて10分
すでに周囲の鉱石は深い場所でしか生成されない深層岩が中心となっていた。
地上の光は届かないので、光源確保・沸きつぶしのために松明をある程度の間隔で置いておく。
ようやく底まで降り着いたとき、右を見るとどこまで続いているのかわからない洞窟。
左を見るとぼんやりと青白く光る地面が広がっていた。
えとさんとゆあんくんが落下した方角は……青白く光る地面のほうだ……。
のあさんとその光に向かって歩みを進めていくとぽつりとのあさんがいった。
「うりさん……あれって……。」
「あぁ……どうやらあの2人最悪な場所に落ちたみたいだな。」
「…………。」
のあさんの顔を見なくたってわかる。きっとオレと同じように険しい表情をしているに違いない。
2人が落下した深さが心配だったのに落下した先がまさか「ディープダーク」だったなんて……。
しばらく進むとスカルクシュリーカーの金切り音が所かしこから聞こえてきた。
でも幸か不幸か伝説級の魔物「ウォーデン」の地を這うような叫び声は聞こえない。
これが出現後の暴れたあとなのか、出現前だからなのかわからないがオレとのあさんは急いで、でも物音を立てないようにスニーク状態でスカルクの中へと歩みを進めていった。
――――――――――
しばらく歩いていくと人工的に置かれた松明のオレンジ色の光が見えてきた。
「えとさん達だ……。」
か細いけれどはっきりとした口調でのあさんがいう。
松明までの距離はまだ、だいぶ先だけど目を凝らすと確かに人影がふたつ見えた。
ゆあんくんがオレとのあさんに気づくとこちらに向かって手を振る。
その様子を見たえとさんもオレ達の存在に気づいたようで振り返り大きく手を振っていた。
――生きていた……。
ゆあんくんを信じていなかったわけではないけど、これだけ色々な状況が重なれば最悪の状況のことも考えていた。
無事でいる様子を確認出来て安堵し、オレは自然と笑みが漏れていた。
「ふっ……うぅ……う――。」
のあさんは安心したのか手の甲で口を塞ぎ声を上げて泣くのをこらえている
オレはそんなのあさんの小さな頭に手を置いてポンポンと軽く撫でた。
無事ゆあんくんたちと合流してからはディープダークの中で物音をたてないように慎重に歩みを進め、危険地帯から離れること成功した。
合流できたオレ達「レッド・アイ」は、オレとのあさんが地下へ降りついたときに見つけた洞窟、道が奥まで続いていそうな道が
地上でエンダーパールが指し示した方角と同じ方向に向かっていることを確認したため、この後は洞窟探索をしながら先を進むことにした。
谷底深く落ちてしまった現在位置から再度もと来た道を辿って山の麓から雪山を登山するのはリスクが多いと判断したからだ。
――再出発までの小休憩
安全な場所まで戻ってきたことがわかると、のあさんはえとさんに抱き着いて大声で泣いた。
「もう……っく……自分のことを後回しにしちゃダメです!!」
のあさんはゆあんくんが一通り応急処置をしたと聞いても
えとさんを抱きしめ、ヒールをかけながらワンワンと泣き説教を続けていた。
えとさんが一番クリーパーの近くで爆発の衝撃を受けたのに、自分よりも先にオレとのあさんの治癒を優先したからだ。
「うん。ごめんね、のあさん……心配かけたよね。」
えとさんはされるがままになっている。
オレはそんな二人の様子を腕を組み、傍でみていた。
のあさんにとってえとさんは家族だ小さなころから心を配って大事に育ててきた娘のような、妹のような、大事な存在なのだ。
のあさんのお説教が少し落ち着くとオレは傍へと歩み寄りえとさんの頭を軽く小突いた。
「ほんと、のあさんの言うとおりだぞ。」
「うん、ごめん。…………うりも無事でよかった。」
えとさんの赤みがかったオレンジ色の瞳がオレの姿を映し、柔らかい笑みを浮かべた。
ゆあんくんも少し離れたところでそんなやり取りを見守りやわらかい表情を浮かべていた。
「ほんと、ゆあんくんのおかげなんよ…。あんな高さから気を失った状態で落ちたのに
こうして無事なのも…。気づいたら応急処置も済んでいて流石だなって。」
「確かにオレ達と合流する前にほぼ完治していたもんな……、どういう状況だったん?」
オレは何の気なしにゆあんくんに向かって尋ねると、のあさんも同じことを考えていたのか
えとさんに抱きつく力を弱めて3人で一斉にゆあんくんを見た。
するとゆあんくんはギクリとした様子で目を泳がせ、少し悩んだ様子を見せたが意を決したように
こちらに近づいてきて、えとさんの正面に立った。
どんなに強い魔物と対峙しても表情が変わらないゆあんくんが目を固く瞑り、一つ息を吐いたあとにいった。
「えとさん……殴っていいよ」
「えっ?!なんで??」
突然のゆあんくんの言葉に戸惑いを隠せないえとさんは、答えを探すように
のあさんとオレのほうを見たが、状況をなにも知らないオレ達は黙って首を横に振った。
「――気を失っているえとさんにポーションを飲ませたんだ。その___口移しで……」
ゆあんくんから発せられた状況がオレの頭の中をよぎる。
そして、口を金魚のようにぱくぱくとさせているえとさんと、殴られる覚悟で神妙な面持ちをしているゆあんくんの口元に視線がいったり来たりしてしまい、緊急事態で仕方ないことだとわかっていてもオレの胸は時間差で鈍い痛みを感じた。
いつの間にか、えとさんを解放していたのあさんは小さな声で「キャァ」と歓声を上げ両手で口を覆い
きょろきょろと2人を見比べている。
「口移し…って…でもそれは緊急事態だったわけだし…そうするしかなかったわけだし……
怒るわけないじゃん……っていうかむしろごめん」
動揺を隠しきれないえとさんだったが、徐々に冷静さを取り戻してきたのか
気を落としたように視線も声のトーンも下がっていった。
「ごめん?なにが?」
「えっ…だっていくら人命救助とはいえさ……るな、るな姫がいるのに…申し訳ないなって」
「は?」
「だから…ゆあんくんには、るな姫がいるのにさ。
このこと知ったらるなだって嫌な気分になるとおもうし……喧嘩するようなことになったらいってよ。私謝るし…。」
「なにいって…」
「ゆあんくんとるな姫は将来結婚する中で恋人同士でしょ
人命救助とはいえ…ゆあんくんも嫌だったよね、ごめん。
――まぁ、その辺に生えているひまわりに口が掠ったくらいだと思ってよ…」
「もう…やめてくれ。
――そろそろ、出発しよう」
心の底から傷ついたような表情をしたゆあんくんはオレ達からそっぽを向き洞窟の奥へと向かって歩き始めた。
そんなゆあんくんの背中を見たえとさんがぽつりといった。
「私…なにかおかしなこと言った?」
のあさんも少し目じりを下げて悲しそうな表情をしている。
オレはえとさんの頭に手を置いて言った。
「今のは、えとさんが悪いかな……。」
ゆあんくんとえとさんとの間にあった出来事に傷ついたオレだったけど
あれほどまでに分かりやすく寄せられている好意にまるで気づかないえとさんの発言に傷ついたゆあんくんを同情したのだった。