エルデナ王国物語

エンダー アイが示した方角『北西』に向かう為、オレ達はタイガを歩いていた。
広大なオーバーワールドの中でもタイガは初心者冒険者の登竜門ともいわれている。
冒険者が冒険をするにあたって基本となる資源(木材、石、その他もろもろ)が手に入りやすいといわれているからであった。
中でも道端に自生しているスイートベリーは採ってすぐに食料として食べることができる、そして少し時間がたてばまた赤い実を実らせる植物のためタイガの中での活動であれば食料にも困ることはないのだ。オレ達もスイートベリーの群生地があれば摘み取って口にしていた。


エンダーアイを投げて飛んだ先に向かって5キロほど歩き、そしてまたエンダーアイを投げる。
エルデナ城を出発してから5回目の投てきをしたとき、エンダーアイは相変わらず北西の方角を指し示し、ついに支給された1つのエンダーアイが壊れた。


「まだ、だいぶ先みたいだな。」


松明を囲うようにオレ、ゆあんくん、えとさん、のあさんは小休止をとっていた。
すでに20キロは優に超えて移動したはずだがエンダーアイは相変わらず北西をさしていた。
そして、だんだん気温が下がってきている、きっとこの先は「雪のタイガ」に入っていくことだろう。


「そうすると、今のうちに空腹感はなくしておくべきですね。」


スイートベリーを頬張りながらのあさんがいう。


「のあさん、足りる?あっちにまだ生えていたから私採ってくるよ。」


えとさんはそう言うと、松明の明かりが届く先に群生しているスイートベリーを取りに向かった。
のあさんはよく食べる…。こんなに小さな体なのにどこに入るのか?と思うほどよく食べるのだ…。
これはエルフという種族がらなのか、ヒーラーという特技を持っているからなのかその両方だからなのかわからないが、のあさんは燃費が悪く、起きていれば常に何かを口にしている気がする。


「雪のタイガに入るとスイートベリーは格段に減るから食料が潤沢なのはここまでだな。」


えとさんが向かったほうを目で追いながらゆあんくんは言う。
心配だったら一緒についていけばいいのに…。
変なところで遠慮している…というか臆病な今世の勇者様は難易度の高い素材集めや討伐依頼には無敗で無敵なのに惚れた相手となったとたんに、足踏み状況だ。



ーー好きな子にちょっかい出してそれで止まりなんて…まったく…クソガキなんだからよ…。




だれが見たってバレバレなゆあんくんの態度に気づいていないのは、そんなゆあんくんに惚れられているえとさんくらいだ。



惚れた相手が同じとか…それが戦闘中に唯一オレの背中を預けられるゆあんくんだとか…
まったく神様はオレの不幸にしたがっているとしか思えない。


「はぁぁ…」


今は、エンダードラゴンの討伐に集中しなければいけないことはわかっているけど
こうして意中の相手と、恋敵がじれったいことやり取りしているとやるせない気持ちになるのは許してほしい…。
そう思いながら誰にも気づかれないように小さくため息をついた。



「いったーー!!!」



えとさんの向かったほうで悲鳴が聞こえる。
敵か?!オレとゆあんくんは顔をしかめて瞬時にえとさんがいる方角へと向かおうと立ち上がったとき、
疾風のごとくのあさんが駆け出していた…。


「スイートベリーの棘がささったー!!」


籠にたくさんの摘み取ったスイートベリーを抱えながらえとさんがすでにのあさんの治療を受けながら騒いでいた。


「ヒール…。」


のあさんはえとさんがスイートベリーの棘でダメージを受けたであろう場所を両手で包み
呪文を唱えるとのあさんの手の中では虹色のオーラが発生し早々に治癒を終えていた。。
えとさんがのあさんに抱きついていう。


「ごめーん!のあさん。こんなことでヒールを使ってもらっちゃって…。でもありがとう、大好き―!!」
「いたいの、いたいのとんでいけです。」


えとさんに抱き着かれたのあさんは、そう言いながら小さな子供をあやすようにえとさんの背中をやさしくさする。
そして、ジト目でえとさん救出という行き場のなくなった俺たちを見て口パクでいった。


『遅いですよ。』


「「はい…すみません」」


息ぴったりでオレとゆあんくんは口をそろえていった。

えとさんに甘えてもらえるのあさんをうらやましく思っているのもきっと一緒だろう…。
11/26ページ
スキ