クリスマスはお墓でGO!
初めての、1人のクリスマス。
1人だからなんもしなくてもいいな。と思いつつもなんとなく寂しいから。キラキラときらびやかに飾り付けをした駅前のお店をいくつか周って、小さくて可愛い蒼いキャンドルを2つ買った。
1つはアロマキャンドルで、お兄ちゃんの写真の脇に置くつもり。
もう1つはお墓に置く事にした。
キレイだった夕焼けも終わってしまって、薄紫色の世界がどんどん闇色になっていく。
お墓を清める行為も、だいぶ手馴れてしまった。
クリスマスのこんな時間、墓所にはもちろん人の気配はない。
持参した袋から、キャンドルとシンプルで小さいリースを飾る。
そして紙のお皿にプラスチックの小さいフォーク、白い箱からショートケーキを手際よく出し墓前に供える。
「メリークリスマス……お兄ちゃん」
織姫は呟いた。
仲良くなった子たちや、たつきちゃんに一緒に集まろうと誘われたけど。
お兄ちゃんはどんなに仕事やお付き合いで大変でも、イベント事には必ず帰ってきて一緒にいてくれたから。
此処にはお兄ちゃんだった[カケラ]しかないけど。
「ヒメは……大丈夫だからね?」
いっぱい助けてくれる人がいるんだって、解ったんだ。
だから………大丈夫だよ。
長いお寺に行く坂道を下りきった辺りに人影が見えた。ぼんやりした外灯が男の子2人を照らしてる。
1人がこっちを見て手を振った。
「……オリヒメ!」
「たつきちゃん?」
もう、真っ暗な急な坂を急いで下るとたつきちゃんと男の子が走ってきた。
「ほら!足元危ないんだから……気をつけて」
「んん……?っっ!」
『気をつけて』で左足首がゴキッ。と鳴り体がふわっとよろめく。
「よっ……と」
「あぁっ大丈夫?」
転ぶ事はなかった。
男の子が受け止めてくれたから。たつきちゃんより速く走れるなんてスゴイなこの子。
「ん?うん、ありがとう」
たつきちゃんと男の子にお礼を言った。
「おぅ」
男の子は金髪だった。たしか幼馴染の……[苺]くん。だったかな?
「ったくもぉ~。でも、やっぱりこっち来てたんだね?」
ため息と一緒に心配そうにたつきちゃんがこっちを見る。
「なに?あ、たつきちゃんたちはどうして」
「電話しても出ないから。ここだと思ったワケ」
にやり、と笑う。
「気は済んだ?」
「うん。ごめんね?」
「すぐ謝らないっ」
「ごめっ……ぅぅう~っ」
やっぱり謝ってしまうのを誤魔化してコクコクと頷く。[苺]くんに大笑されたれた……ショックだ。
たつきちゃんがコレ!と親指で指して「覚えてる?幼馴染の一護ね」
「うん。苺、くんだったね。」
「イントネーションが違うっつーの!」
たつきちゃんが大喜びで、苺くんの背中をバンバン叩く。涙目で。指まで指して。
「あはっはっはっはっはぁーーーっ!!」
「っいてーぇよっ!バカ!!笑う所じゃねぇ!!!」
そうだよね。[苺]なんて恥ずかしいよね。男の子は。
「……なんか、ごめんなさい」
ペコリ。と謝った。
「ぅ……い・いいよ。別に」
「ん。いいのいいの。メンドクサイから[黒崎]で」
「メンドーって、なんだよ」
「そのまんまよ?でコイツの親父がゴハン食べに来なさいって。アタシとアンタも」
「へ?オトーサンっって……センセ?もしかして」
いまいちピンと来なかったけど、私がお世話になってる病院の先生が[黒崎]センセで。同い年の息子がいるっていってた。
「そーそ。黒崎センセ。クリスマスは1人でいちゃダメよ。ね?」
「うん。でも」
男の子の方を見ようとしたら腕を掴まれ引っ張られる。
「いくぞ。腹減って死にそう。寒ぃし!」
「ほ~んと寒いよね~お墓って。冷気漂うってカンジ!」
言いながらたつきちゃんが引っ付いてくる。くっついてる所が暖かいから私も引っ付く。
「イチャついてんじゃねーっつーの。重いんだって」
「ホントーは混ざりたいんでしょぉ?」
「……混ざってやろーか?」
「イチゴちゃんになるんならね~」
「タツキ……てめぇっ」
ケラケラ笑ってたつきちゃんと黒崎くん押したりして。坂道だから危ないんだけど。
お兄ちゃん。
『ヒメは……大丈夫だよ』
心の中で祈る。
いっぱい助けてくれる人がいるから。
もう、1人じゃないから………大丈夫。
1人だからなんもしなくてもいいな。と思いつつもなんとなく寂しいから。キラキラときらびやかに飾り付けをした駅前のお店をいくつか周って、小さくて可愛い蒼いキャンドルを2つ買った。
1つはアロマキャンドルで、お兄ちゃんの写真の脇に置くつもり。
もう1つはお墓に置く事にした。
キレイだった夕焼けも終わってしまって、薄紫色の世界がどんどん闇色になっていく。
お墓を清める行為も、だいぶ手馴れてしまった。
クリスマスのこんな時間、墓所にはもちろん人の気配はない。
持参した袋から、キャンドルとシンプルで小さいリースを飾る。
そして紙のお皿にプラスチックの小さいフォーク、白い箱からショートケーキを手際よく出し墓前に供える。
「メリークリスマス……お兄ちゃん」
織姫は呟いた。
仲良くなった子たちや、たつきちゃんに一緒に集まろうと誘われたけど。
お兄ちゃんはどんなに仕事やお付き合いで大変でも、イベント事には必ず帰ってきて一緒にいてくれたから。
此処にはお兄ちゃんだった[カケラ]しかないけど。
「ヒメは……大丈夫だからね?」
いっぱい助けてくれる人がいるんだって、解ったんだ。
だから………大丈夫だよ。
長いお寺に行く坂道を下りきった辺りに人影が見えた。ぼんやりした外灯が男の子2人を照らしてる。
1人がこっちを見て手を振った。
「……オリヒメ!」
「たつきちゃん?」
もう、真っ暗な急な坂を急いで下るとたつきちゃんと男の子が走ってきた。
「ほら!足元危ないんだから……気をつけて」
「んん……?っっ!」
『気をつけて』で左足首がゴキッ。と鳴り体がふわっとよろめく。
「よっ……と」
「あぁっ大丈夫?」
転ぶ事はなかった。
男の子が受け止めてくれたから。たつきちゃんより速く走れるなんてスゴイなこの子。
「ん?うん、ありがとう」
たつきちゃんと男の子にお礼を言った。
「おぅ」
男の子は金髪だった。たしか幼馴染の……[苺]くん。だったかな?
「ったくもぉ~。でも、やっぱりこっち来てたんだね?」
ため息と一緒に心配そうにたつきちゃんがこっちを見る。
「なに?あ、たつきちゃんたちはどうして」
「電話しても出ないから。ここだと思ったワケ」
にやり、と笑う。
「気は済んだ?」
「うん。ごめんね?」
「すぐ謝らないっ」
「ごめっ……ぅぅう~っ」
やっぱり謝ってしまうのを誤魔化してコクコクと頷く。[苺]くんに大笑されたれた……ショックだ。
たつきちゃんがコレ!と親指で指して「覚えてる?幼馴染の一護ね」
「うん。苺、くんだったね。」
「イントネーションが違うっつーの!」
たつきちゃんが大喜びで、苺くんの背中をバンバン叩く。涙目で。指まで指して。
「あはっはっはっはっはぁーーーっ!!」
「っいてーぇよっ!バカ!!笑う所じゃねぇ!!!」
そうだよね。[苺]なんて恥ずかしいよね。男の子は。
「……なんか、ごめんなさい」
ペコリ。と謝った。
「ぅ……い・いいよ。別に」
「ん。いいのいいの。メンドクサイから[黒崎]で」
「メンドーって、なんだよ」
「そのまんまよ?でコイツの親父がゴハン食べに来なさいって。アタシとアンタも」
「へ?オトーサンっって……センセ?もしかして」
いまいちピンと来なかったけど、私がお世話になってる病院の先生が[黒崎]センセで。同い年の息子がいるっていってた。
「そーそ。黒崎センセ。クリスマスは1人でいちゃダメよ。ね?」
「うん。でも」
男の子の方を見ようとしたら腕を掴まれ引っ張られる。
「いくぞ。腹減って死にそう。寒ぃし!」
「ほ~んと寒いよね~お墓って。冷気漂うってカンジ!」
言いながらたつきちゃんが引っ付いてくる。くっついてる所が暖かいから私も引っ付く。
「イチャついてんじゃねーっつーの。重いんだって」
「ホントーは混ざりたいんでしょぉ?」
「……混ざってやろーか?」
「イチゴちゃんになるんならね~」
「タツキ……てめぇっ」
ケラケラ笑ってたつきちゃんと黒崎くん押したりして。坂道だから危ないんだけど。
お兄ちゃん。
『ヒメは……大丈夫だよ』
心の中で祈る。
いっぱい助けてくれる人がいるから。
もう、1人じゃないから………大丈夫。
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