主人公の名前
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名前変換
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今回のこの事件、海莉以外に生き残りがいなかったため海莉が直接会社に連絡するほか無かった。自分にもよく状況が分からないがそれでも社員全員が亡くなった事だけは確かだと伝えれば、そうか…と静かに上司は応えた。とにかく君だけでも無事でよかったと言われると、例えあの状況で何も出来なかったとは言え罪悪感のようなものが渦巻いて、その言葉を素直に受け止める事は出来ずにいた。
その後も会社を辞める事を伝えると大層驚かれ、そして海莉の罪悪感という気持ちを見透かすように君が責任を感じる事はないんだと言われたが、今更決意が変わる事もなかったのでお世話になりましたと言って、失礼だが一方的に電話を切った。
日本の職場に連絡を済ませて、気持ちを切り替えるようにくるりと彼らに向きを変えた。
「というわけでこれから家政婦としてここで働きます、香坂海莉です。もう存じてるかと思いますが日本人です。よろしくお願いします」
「名前がまだだったな、俺はこのチームのリーダー、リゾットだ。もう、いいのか…会社には」
「はい、辞めるとはっきり伝えましたので。家族にはもう少し落ち着いてから連絡します」
恐らく1番驚くのは他の誰でもない、自分の家族だろう。イタリアに働きに出る事自体にも不安がっていたのに、まさか娘が仕事を辞めてギャングの家政婦になるだなんて言ったら卒倒しそうだ。もちろん全てを正直に伝えるつもりはない。ただ新しい環境で新しい事に挑戦したいと言えば納得してくれるんじゃあないかと淡い期待をしておこう。
とにもかくにも、家政婦になるにあたって気になることが1つあった。
「あの…今更なんですけど住み込みの仕事なんでしょうか。それとも通うんでしょうか…」
今まで住んでいた家は、会社の寮であってアパートなど借りて住んでいたわけではない。今さっき会社を辞めた身である海莉はあそこに住める権利はもう持っていないのだ。通うとなると、まずは自分が住む場所から探さねばならない。
「あぁ…そうだったな。できれば何かあった時のために近くにいてもらえるとありがたいから、住み込みが可能ならそうしてほしい」
「私もその方がいいです、新居を探すのに手間かかるので」
「ただ…部屋はどうしようか…」
「今1人部屋満喫してるの、プロシュートだったよなぁ。アイツどっかの部屋に入れて3人部屋にして、そこに海莉入れたらいいんじゃあねぇの?」
そうイルーゾォが提案すると、いやいやと眉間に皺を寄せてリーダーは首を横に振った。プロシュートという人に海莉はまだ会ったことがない。どうやら今ここにいるメンバーが全員ではないようだ。あと何人いるんですかと近くにいたギアッチョに聞くと、2人だ。とぶっきらぼうだがちゃんと答えてくれた。
「…勝手には決められない。第一プロシュートはまだ海莉の事を知らないんだから」
「まぁそうだな。とりあえずよぉ、今日は時間も時間だしおめぇの自宅に戻れよ。部屋とか荷物とかは明日にしようぜ」
にかっと笑ってそう言ったのは坊主頭のホルマジオだった。最初は怖いイメージだったけどそんなことはないのかもしれない。
気づけば夕方が過ぎて、外は少し暗くなっていた。元職場からメローネに連れてこられたので、ここから自宅までの道がわからないのですが…。海莉がそういうとホルマジオは、しょォーがねェなーと言いながら腰を上げた。どうやら家まで送ってくれるらしい。家の住所を教えると、そこそこの距離だなぁと小さく呟いた。
「今ここにはいないプロシュートとペッシの2人があと数時間後に戻ってくる。先にお前の事は一通り話しておくとしよう」
「分かりました。よろしくお願いします」
一旦彼らに別れを告げ、玄関の扉を開ければほんの少しだけ冷たい風が海莉の髪を揺らした。これからここに住み、自分の職場になるのかと考えるとやはりまだ不思議に思うし、実感がわかない。行くぞと声をかけられたので、先を行くホルマジオを追いかけるのであった。
特別会話も弾む事もなかったが、ぽつりぽつりと世間話をすればあっという間に寮の前。当たり前だが、明かりはどの部屋もついていない。誰もいない寮の中で一晩過ごすのは怖くないと言えば嘘になる。
「じゃあ、明日からよろしくな」
「はい。送っていただきありがとうございます、ホルマジオさん」
ひらひらと手を振り、彼は来た道を帰っていく。ホルマジオの姿が見えなくなる辺りで海莉は玄関の鍵を開けて中へ入った。やはり人の気配が感じられないこの寮は、とても寂しい。
その後も会社を辞める事を伝えると大層驚かれ、そして海莉の罪悪感という気持ちを見透かすように君が責任を感じる事はないんだと言われたが、今更決意が変わる事もなかったのでお世話になりましたと言って、失礼だが一方的に電話を切った。
日本の職場に連絡を済ませて、気持ちを切り替えるようにくるりと彼らに向きを変えた。
「というわけでこれから家政婦としてここで働きます、香坂海莉です。もう存じてるかと思いますが日本人です。よろしくお願いします」
「名前がまだだったな、俺はこのチームのリーダー、リゾットだ。もう、いいのか…会社には」
「はい、辞めるとはっきり伝えましたので。家族にはもう少し落ち着いてから連絡します」
恐らく1番驚くのは他の誰でもない、自分の家族だろう。イタリアに働きに出る事自体にも不安がっていたのに、まさか娘が仕事を辞めてギャングの家政婦になるだなんて言ったら卒倒しそうだ。もちろん全てを正直に伝えるつもりはない。ただ新しい環境で新しい事に挑戦したいと言えば納得してくれるんじゃあないかと淡い期待をしておこう。
とにもかくにも、家政婦になるにあたって気になることが1つあった。
「あの…今更なんですけど住み込みの仕事なんでしょうか。それとも通うんでしょうか…」
今まで住んでいた家は、会社の寮であってアパートなど借りて住んでいたわけではない。今さっき会社を辞めた身である海莉はあそこに住める権利はもう持っていないのだ。通うとなると、まずは自分が住む場所から探さねばならない。
「あぁ…そうだったな。できれば何かあった時のために近くにいてもらえるとありがたいから、住み込みが可能ならそうしてほしい」
「私もその方がいいです、新居を探すのに手間かかるので」
「ただ…部屋はどうしようか…」
「今1人部屋満喫してるの、プロシュートだったよなぁ。アイツどっかの部屋に入れて3人部屋にして、そこに海莉入れたらいいんじゃあねぇの?」
そうイルーゾォが提案すると、いやいやと眉間に皺を寄せてリーダーは首を横に振った。プロシュートという人に海莉はまだ会ったことがない。どうやら今ここにいるメンバーが全員ではないようだ。あと何人いるんですかと近くにいたギアッチョに聞くと、2人だ。とぶっきらぼうだがちゃんと答えてくれた。
「…勝手には決められない。第一プロシュートはまだ海莉の事を知らないんだから」
「まぁそうだな。とりあえずよぉ、今日は時間も時間だしおめぇの自宅に戻れよ。部屋とか荷物とかは明日にしようぜ」
にかっと笑ってそう言ったのは坊主頭のホルマジオだった。最初は怖いイメージだったけどそんなことはないのかもしれない。
気づけば夕方が過ぎて、外は少し暗くなっていた。元職場からメローネに連れてこられたので、ここから自宅までの道がわからないのですが…。海莉がそういうとホルマジオは、しょォーがねェなーと言いながら腰を上げた。どうやら家まで送ってくれるらしい。家の住所を教えると、そこそこの距離だなぁと小さく呟いた。
「今ここにはいないプロシュートとペッシの2人があと数時間後に戻ってくる。先にお前の事は一通り話しておくとしよう」
「分かりました。よろしくお願いします」
一旦彼らに別れを告げ、玄関の扉を開ければほんの少しだけ冷たい風が海莉の髪を揺らした。これからここに住み、自分の職場になるのかと考えるとやはりまだ不思議に思うし、実感がわかない。行くぞと声をかけられたので、先を行くホルマジオを追いかけるのであった。
特別会話も弾む事もなかったが、ぽつりぽつりと世間話をすればあっという間に寮の前。当たり前だが、明かりはどの部屋もついていない。誰もいない寮の中で一晩過ごすのは怖くないと言えば嘘になる。
「じゃあ、明日からよろしくな」
「はい。送っていただきありがとうございます、ホルマジオさん」
ひらひらと手を振り、彼は来た道を帰っていく。ホルマジオの姿が見えなくなる辺りで海莉は玄関の鍵を開けて中へ入った。やはり人の気配が感じられないこの寮は、とても寂しい。