主人公の名前
18
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
買い物を終わらせた2人はアジトに戻る途中、バールへと寄り軽食を食べようとしていた。半分は海莉がお腹空いたので寄ってくれ、という要望ではあるが、ギアッチョは仕方ねぇなと言わんばかりの面倒くさそうな顔をしつつも、近くにあるバールへと車を停めたのだった。車を出してくれた事、このおつかいに付き合ってくれた事への感謝の意味で海莉はギアッチョに奢ると言った瞬間、彼は容赦なくエスプレッソやらドルチェやら、そしてパニーニを3つ分も頼むという、とても遠慮のない注文をし出した。
「いいけどね、いいけどね別に。お金ならあるし、お礼だし」
「テメェが言ったんだからな」
「分かってるって!!付き合ってくれてありがとう」
ばくっとパニーニを頬張るギアッチョ。海莉も続いて、頼んだカプチーノを口に含んだ。あまりお腹は空いていなかった海莉だが、人が食べている姿を見ると人間不思議なもので食べたくなるのだ。海莉は頬張るギアッチョをジーっと子どものように見つめる。
「何見てんだよ、コラ」
「美味しそうだなって…」
「………チッ!仕方ねぇなぁ!!食えばいいだろう、元はテメェの金だ」
「グラッツェ!!ギアッチョは優しいなぁ」
マジにそんな事、思ってねぇだろう。ギアッチョは心の中でボソッと呟いた。優しい、そんな訳ない。本当に優しい人間なら、人なんて殺せないのだから。こんな仕事、やれるはずもないのだ。彼女が深い意味を持って放った言葉ではないにしろ、それでもギアッチョはそう思わずにはいられなかった。優しいのは、目の前にいる女の方だ。操られ、自分の心を強引に他者に向けられ、好きでもない男を好きだのなんだのと言って。それでも、海莉はあの男を笑って許した。現場こそ直接彼は見ていないが、そう聞いていた。
「優しいのは…テメェだろ」
「…ん?」
ボソッと呟いた彼の言葉は、彼女には届かない。自分なんて、面倒が起きる前に殺せばいいとさえ思っていた。
「ムカついたんだ、あいつらがお前を心配して様子を見に行って…そしたら男と付き合ってました、なんてよぉ!!」
「…あ、あれは…その、スタンドが…」
「分かってんだ、そんな事。けど俺はそのスタンドのせいだって気づかなくて、海莉にふざけんなって怒鳴っただろ…手も、怒りに任せてかなり強く握っちまった」
ギアッチョは自身の手で前髪をぐしゃっと握り、悪りぃ…そう言って俯いた。彼なりに、深く反省しているのがきちんと分かる。だから謝罪なんて、求めてはいない。
「ねぇギアッチョ。私言ったでしょ?覚えてないんだって…だから、もういいんだよ」
「お前が良くても俺がだな…!!」
「それに私は、謝罪されるよりも…あの日心配してお店に来てくれた事の方がよっぽど嬉しかったよ。ありがとう」
「…………そうかよ」
過ぎた事、本人が覚えてない事。それでも彼はずっと気にして、悔いていた。そうやって悔いて、悪いと言う彼をどうやってこちらは攻めればいい。
風邪を引いた時、面倒くさいと、嫌がりながらも彼はずっと看病してくれた。今回の件も、なんだかんだ言って気にしてくれていた。普段は短気で怒りっぽくて、ぶっきら棒なギアッチョだが。垣間見える彼の優しは、彼女はとても好きだった。
「私ギアッチョの事好きだ、うん!!」
「………は!?はぁぁ!??」
ギアッチョは海莉の突然のカミングアウトに、エスプレッソが入ったカップを落とすところであった。もちろん、彼の顔はこれでもかと言うほど一瞬で赤く染まっている。
「て、テメェ!!頭沸いてんのかぁ!?何で…き、急に…!!」
「あ!いや、そういう恋愛的な意味ではなく、友達として…」
「……………知ってるわボケ!!!!!!」
一瞬でも恋愛の方だと捉えてしまった自分を殴りたい衝動に駆られていた。しかしギアッチョ自身、友達として好きだと、素直に好意を寄せてくれた事自体は嫌ではなかった。寧ろ、自分でも引くほどに嬉しいと思ってしまっている。
「だからさ、私は君といい関係になれたらなって…思ってるんだ。もしギアッチョが何か悩んでたら聞くし、一緒に悩みたいし、笑ったり泣いたり…そういう…やつ」
「……あぁ?もうしてんじゃあねぇかよ、そういうの」
今だってそうだろ。
海莉は言われて初めて気づいた。年が同じの彼と他愛もない事で笑ったり、それから悩んだり、悲しんだり。そういう気兼ねない関係になれたらとずっと思っていた。イタリアに来てそういう友人が1人もいなかったから。しかし、自分がそうなりたいと思えた人が、既に、そんな関係なっていると言った。素直に嬉しかった。つまりギアッチョはもうそういう関係だと思っていてくれているのだから。
「何かありゃ聞いてやる、泣き言だってな。まぁ、上手い事は言えねぇだろうがな」
「ううん…それだけで十分。ありがと」
照れた顔を隠すみたいに、彼はフンとそっぽを向く。彼女もまた嬉しさで思わずニヤニヤしてしまうが、キモい。と超ストレートにギアッチョは言い放つのだった。
ーーーーーーーーーーーーー
「ただいま帰りましたー!」
「おかえり。ご苦労だったな2人とも」
アジトに帰宅し、ドアを開けるとリゾットが出迎えてくれた。買ってきた武器は既に倉庫へ保管済みだ。疲れた、そう言ってギアッチョは真っ直ぐに自室へと帰っていく。そんな彼に一緒に行ってくれてありがとうね、と伝えると後ろを向いたままひらひらと手を振った。
デスクの方をチラリと見ると書類は広げられているので、まだリゾットの書類整理は終わってはいないようだ。
「リーダー、ちゃんと休み休みやってました?」
「…………?まぁ、ほどほどにな」
「………、」
彼女が書類の手伝いを抜けて、買い物へ行った為恐らく今日中に片付けなければならない書類は終わっていないように見える。これまでの経験で、リゾットは程よく休むというのをあまりしない人のようでぶっ続けで仕事する姿を幾度も目にしている。尚、本人に自覚はないようだ。ほどほどに、と言ったがどうせろくすっぽ休んではいないのだろう。
海莉は袋に入っている小さな箱を開ける。フォークを取り出して、買ってきたそのティラミスを小さく切り分けそのままリゾットへと差し出した。
「……何だ?」
「お土産です!!美味しそうだったので。疲れた時には甘い物って言いますから……少し休みましょうよ」
突然差し出されたそれに、若干の戸惑いを見せるリゾットであったが、彼女の厚意無下にするわけにもいかない。自分を気遣って買って来てくれたのなら尚更だ。彼は分かったと、少しだけ微笑む。海莉はティラミスが刺さったままのフォークを手渡そうとすると、リゾットはそのまま彼女の手を掴み自分の口へと運んでいった。予想出来なかった突然の彼の行動に驚き、固まる海莉。
「……うん、美味いな……どうした?」
「いいえ!!別に!!!気に入ってくれたのなら良かったです」
リゾットの不意打ちすぎる行動に、どかどかと胸が大きく鳴る。本人は悪びれもなく、平然としているので天然ゆえの行動なのか。それにしたって心臓に悪い。非常にだ。
リゾットはそんな彼女の気持ちなど知る訳もなく、じーっと彼女を見つめていた。出かける前、海莉は何かに悩んでいたが、ギアッチョとお遣いを頼み外へ出た事で、少しは気晴らしになっただろうか、そんな事をぼんやりと考えていた。いや…それどころか、まさか自分が心配されるだなんて思ってもいなかったのが正直なところだ。情けないな…そう自嘲するリゾットだったが、しかし口元は確かに弧を描き笑っている。普段から無口で無愛想なリゾットの笑顔を初めて見た海莉は、思わずかわいい、なんて思ったのは秘密である。
「海莉」
「はい?」
「…今度は、お前が作ったドルチェが食べたい」
「いいですけど…私そういうのはあんまり得意じゃあないですよ?期待しないでくださいね?」
「いい、お前が作ったものが食べたいんだ」
「いいけどね、いいけどね別に。お金ならあるし、お礼だし」
「テメェが言ったんだからな」
「分かってるって!!付き合ってくれてありがとう」
ばくっとパニーニを頬張るギアッチョ。海莉も続いて、頼んだカプチーノを口に含んだ。あまりお腹は空いていなかった海莉だが、人が食べている姿を見ると人間不思議なもので食べたくなるのだ。海莉は頬張るギアッチョをジーっと子どものように見つめる。
「何見てんだよ、コラ」
「美味しそうだなって…」
「………チッ!仕方ねぇなぁ!!食えばいいだろう、元はテメェの金だ」
「グラッツェ!!ギアッチョは優しいなぁ」
マジにそんな事、思ってねぇだろう。ギアッチョは心の中でボソッと呟いた。優しい、そんな訳ない。本当に優しい人間なら、人なんて殺せないのだから。こんな仕事、やれるはずもないのだ。彼女が深い意味を持って放った言葉ではないにしろ、それでもギアッチョはそう思わずにはいられなかった。優しいのは、目の前にいる女の方だ。操られ、自分の心を強引に他者に向けられ、好きでもない男を好きだのなんだのと言って。それでも、海莉はあの男を笑って許した。現場こそ直接彼は見ていないが、そう聞いていた。
「優しいのは…テメェだろ」
「…ん?」
ボソッと呟いた彼の言葉は、彼女には届かない。自分なんて、面倒が起きる前に殺せばいいとさえ思っていた。
「ムカついたんだ、あいつらがお前を心配して様子を見に行って…そしたら男と付き合ってました、なんてよぉ!!」
「…あ、あれは…その、スタンドが…」
「分かってんだ、そんな事。けど俺はそのスタンドのせいだって気づかなくて、海莉にふざけんなって怒鳴っただろ…手も、怒りに任せてかなり強く握っちまった」
ギアッチョは自身の手で前髪をぐしゃっと握り、悪りぃ…そう言って俯いた。彼なりに、深く反省しているのがきちんと分かる。だから謝罪なんて、求めてはいない。
「ねぇギアッチョ。私言ったでしょ?覚えてないんだって…だから、もういいんだよ」
「お前が良くても俺がだな…!!」
「それに私は、謝罪されるよりも…あの日心配してお店に来てくれた事の方がよっぽど嬉しかったよ。ありがとう」
「…………そうかよ」
過ぎた事、本人が覚えてない事。それでも彼はずっと気にして、悔いていた。そうやって悔いて、悪いと言う彼をどうやってこちらは攻めればいい。
風邪を引いた時、面倒くさいと、嫌がりながらも彼はずっと看病してくれた。今回の件も、なんだかんだ言って気にしてくれていた。普段は短気で怒りっぽくて、ぶっきら棒なギアッチョだが。垣間見える彼の優しは、彼女はとても好きだった。
「私ギアッチョの事好きだ、うん!!」
「………は!?はぁぁ!??」
ギアッチョは海莉の突然のカミングアウトに、エスプレッソが入ったカップを落とすところであった。もちろん、彼の顔はこれでもかと言うほど一瞬で赤く染まっている。
「て、テメェ!!頭沸いてんのかぁ!?何で…き、急に…!!」
「あ!いや、そういう恋愛的な意味ではなく、友達として…」
「……………知ってるわボケ!!!!!!」
一瞬でも恋愛の方だと捉えてしまった自分を殴りたい衝動に駆られていた。しかしギアッチョ自身、友達として好きだと、素直に好意を寄せてくれた事自体は嫌ではなかった。寧ろ、自分でも引くほどに嬉しいと思ってしまっている。
「だからさ、私は君といい関係になれたらなって…思ってるんだ。もしギアッチョが何か悩んでたら聞くし、一緒に悩みたいし、笑ったり泣いたり…そういう…やつ」
「……あぁ?もうしてんじゃあねぇかよ、そういうの」
今だってそうだろ。
海莉は言われて初めて気づいた。年が同じの彼と他愛もない事で笑ったり、それから悩んだり、悲しんだり。そういう気兼ねない関係になれたらとずっと思っていた。イタリアに来てそういう友人が1人もいなかったから。しかし、自分がそうなりたいと思えた人が、既に、そんな関係なっていると言った。素直に嬉しかった。つまりギアッチョはもうそういう関係だと思っていてくれているのだから。
「何かありゃ聞いてやる、泣き言だってな。まぁ、上手い事は言えねぇだろうがな」
「ううん…それだけで十分。ありがと」
照れた顔を隠すみたいに、彼はフンとそっぽを向く。彼女もまた嬉しさで思わずニヤニヤしてしまうが、キモい。と超ストレートにギアッチョは言い放つのだった。
ーーーーーーーーーーーーー
「ただいま帰りましたー!」
「おかえり。ご苦労だったな2人とも」
アジトに帰宅し、ドアを開けるとリゾットが出迎えてくれた。買ってきた武器は既に倉庫へ保管済みだ。疲れた、そう言ってギアッチョは真っ直ぐに自室へと帰っていく。そんな彼に一緒に行ってくれてありがとうね、と伝えると後ろを向いたままひらひらと手を振った。
デスクの方をチラリと見ると書類は広げられているので、まだリゾットの書類整理は終わってはいないようだ。
「リーダー、ちゃんと休み休みやってました?」
「…………?まぁ、ほどほどにな」
「………、」
彼女が書類の手伝いを抜けて、買い物へ行った為恐らく今日中に片付けなければならない書類は終わっていないように見える。これまでの経験で、リゾットは程よく休むというのをあまりしない人のようでぶっ続けで仕事する姿を幾度も目にしている。尚、本人に自覚はないようだ。ほどほどに、と言ったがどうせろくすっぽ休んではいないのだろう。
海莉は袋に入っている小さな箱を開ける。フォークを取り出して、買ってきたそのティラミスを小さく切り分けそのままリゾットへと差し出した。
「……何だ?」
「お土産です!!美味しそうだったので。疲れた時には甘い物って言いますから……少し休みましょうよ」
突然差し出されたそれに、若干の戸惑いを見せるリゾットであったが、彼女の厚意無下にするわけにもいかない。自分を気遣って買って来てくれたのなら尚更だ。彼は分かったと、少しだけ微笑む。海莉はティラミスが刺さったままのフォークを手渡そうとすると、リゾットはそのまま彼女の手を掴み自分の口へと運んでいった。予想出来なかった突然の彼の行動に驚き、固まる海莉。
「……うん、美味いな……どうした?」
「いいえ!!別に!!!気に入ってくれたのなら良かったです」
リゾットの不意打ちすぎる行動に、どかどかと胸が大きく鳴る。本人は悪びれもなく、平然としているので天然ゆえの行動なのか。それにしたって心臓に悪い。非常にだ。
リゾットはそんな彼女の気持ちなど知る訳もなく、じーっと彼女を見つめていた。出かける前、海莉は何かに悩んでいたが、ギアッチョとお遣いを頼み外へ出た事で、少しは気晴らしになっただろうか、そんな事をぼんやりと考えていた。いや…それどころか、まさか自分が心配されるだなんて思ってもいなかったのが正直なところだ。情けないな…そう自嘲するリゾットだったが、しかし口元は確かに弧を描き笑っている。普段から無口で無愛想なリゾットの笑顔を初めて見た海莉は、思わずかわいい、なんて思ったのは秘密である。
「海莉」
「はい?」
「…今度は、お前が作ったドルチェが食べたい」
「いいですけど…私そういうのはあんまり得意じゃあないですよ?期待しないでくださいね?」
「いい、お前が作ったものが食べたいんだ」