主人公の名前
18
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リゾットは少々困っていた。彼の目の前に座り書類の整理を手伝っている海莉が先ほどから眉間に皺をよせて難しい顔をしたかと思えば、ほんの少し顔を赤らめたり、突然頭を横に振り何かをはらう素振りをしたりなど1人百面相をしているようで面白いのだが、ちょっと怖い。恐らく彼女の頭はその別の何かに夢中でリゾットが見ているという事に気づいていない。リゾットは手を止めて、海莉に声をかける。
「海莉、どうかしたのか?変だぞ」
かなり直球である。
「え、何がですか?」
「…さっきから1人で変顔ばかりしてる。疲れたのならもう休んでもいいぞ」
「し、してませんよぉ変顔なんて!!」
無意識か。
あり得ないとでも言うように全否定する海莉に、何を言っても無駄だと、見なかった事にしようかと諦めたリゾットは静かにそうか、と一言言うとまた作業に戻った。そしてさらに数分経った後にちらりと海莉を盗み見るとやはり百面相をしている。彼女自身それをしている事に気付いていなくても、そうしてしまう理由があるはずなのだ。しかしこちらがいくら気にかけたとしても言ってはくれないのだろう。そこでふと、リゾットはある事を思い出した。
「海莉、1つ俺から頼まれごとをしてくれないだろうか」
「いいですよ!私が出来る範囲であれば」
「大丈夫だ。備品の調達だからな」
「………備品の…?まぁいいですけど」
備品と聞くと、そう言ったものはしっかり会社の方から届くものかと思っていたのだが、そうではないらしい。経費は渡してもらえるが自分たちで決められた金額内で必要な物を買えという事のようだ。リゾット曰く海莉だけでは無理なので、部屋で暇しているギアッチョを連れて行けとの事。彼なら車も運転できるし、その店の場所も知っている。そしてギアッチョに声をかける時は俺の名前を出せ、とも言った。
海莉は暇しているであろうギアッチョの部屋を訪れると、ソファに座ってマンガ本を読んでいた。彼女の存在に気づくと、意識をこちらに少しだけ向けてからまたマンガ本へと戻っていく。
「何だよなんか用か」
「えっと、買い物…?に付き合ってほしいんだ」
「…おい俺は荷物持ちかぁ!?面倒くせぇな」
「リーダーが、ギアッチョも連れて行けって言ったんだよね。車、出せるだろうって」
「…………仕方ねぇな!!!付き合ってやるよ!!!」
リゾットが言っていた通り、名前を出すとピクリと反応し、少しだけ間を開けてから立ち上がった。行くなら早く行くぞ、そう言ってギアッチョはリビングへと向かうその背中を彼女も追う。
「リーダー、それじゃあ行ってきますけど…」
「必要な物はメモに書いておいた。ギアッチョ、お前なら分かるだろう。いつもの所だ」
ギアッチョはリーダーからそのメモ用紙を受け取ると、普通の買い物じゃあねえのか?と眉間に皺を寄せながら、あぁ…と何を要求されているのかは瞬時に理解した。
「なるほどな、それで俺を…。ったく…」
「頼んだぞ」
ひらひらとギアッチョは手を振り、玄関の扉を勢いよく開けて外へと出て行く。先を行く彼を慌てて追いかけながらリゾットに行ってきますと告げた。
ーーーーーーーーーーー
「ギアッチョって免許持ってるんだね」
「お前は持ってねぇのか?」
「持ってるよ。日本では普通に運転してたし」
車から眺めるイタリアの景色は初めてで、流れていく1つ1つの景色がとても新鮮だった。目的地は車でおよそ30分程度の所で、いつもメンバーの誰かしらがそれを買いに行っているらしい。車内はギアッチョ好みの曲が流れており、海莉も気に入ったらしく曲に合わせて静かに足でリズムをとる。因みに海莉は助手席に座っており、ちらりと横を見れば運転するギアッチョの姿があるわけなのだが、いつも荒々しい彼が意外にも丁寧な運転をするので驚きである。そして、そんな姿の彼がなんだかかっこよく見えてしまうのは何故なのだろうか。
「他のみんなは免許は?」
「あー大体持ってんじゃあねぇか?メローネの野郎は車よりバイクに乗る方が多いかもな」
「そうなの!?…意外」
海莉の中で外見は無駄にかっこいいだけが取り柄となっているメローネだが、そんな彼がバイクを乗ればそれはそれは絵になりそうだ。そんなぼんやりとした会話を交わしていれば気づけば既に目的地に到着していた。降りろ、とギアッチョに言われ助手席から降りると街から少し外れたような人気の少ない場所にこじんまりと小さなお店…とは言い難いような、隠れ家と言えばいいのだろうか、そんな建物が建っていた。雰囲気も少し独特で薄暗い。海莉は身を縮めギアッチョの後ろに隠れるように進んでいく。
「よぉ、ジジイ」
「…誰かと思えばお前か、久しぶりだな」
ギアッチョはその建物の中にいる、年老いたおじいさんに声をかけた。おじいさん…といってもがたいが良く、戦えば普通にやられてしまいそうなくらい大きい。リゾットよりも大きいのではないだろうか。
「何だお前、いつの間に女作ったのか」
「ちっげぇよ!!!こいつは…あー、色々あって………ま、俺たちの敵じゃあねぇから」
「は、初めまして…!海莉と言います…」
「おう…よく見りゃあ東洋人か!俺はスパーダ。あと俺が30年若けりゃあイケたかもなぁ」
「んな事よりジジイ、これ全部用意してくれ」
冗談を言って豪快に笑う彼を無視し、ギアッチョは先程リゾットから手渡されたメモ用紙をスパーダに見せた。スパーダはそれを受け取るや否や手際よく物を集めていく。今回リゾットから頼まれた内容は備品の調達、そう聞いていた。しかし今目の前に並ぶそれらは、想像していた備品とは全く違っていて、正真正銘、武器だった。切れ味のよさそうな小型ナイフ、素人が扱ってはいけない爆弾のような物、様々だ。そこで海莉はふと、1つの疑問を抱いた。
「…みんなって武器使うの?必要ない気もするんだけど…?」
何せスタンド使いの集まりだ。各々とても強いスタンド能力だと聞いている。武器などなくても戦えるのではないだろうか。
「たまに、だな。何でもかんでもスタンドで処理する訳じゃあねぇんだよ。つっても、殆どがソルベとジェラート用だ」
「そう、なんだ」
「お前も護身用になんか持っとけよ。ナイフでも何でもよぉ!」
「いらないって!どうせ持ってたって使えないし。ギアッチョが守ってよ」
「だぁから!!俺が近くにいねぇ時お前を守れねぇだろうがよ!!つか何で俺がお前を…!」
「喧嘩すんなよ2人とも。おら、メモに書いてあるもの全部詰めいたぜ」
大きな麻袋にガチャガチャと備品…いや武器がてんこ盛りだ。ギアッチョはそれらを受け取り必要な金額を払う。この武器屋は暗殺チームがよく世話になっている武器屋で、かなり前から交友があるとかないとか。もちろん彼らがギャングというのと知っているらしい。
「グラッツェ。じゃあ行くわ」
「リゾットの野郎によろしく言っといてくれ」
「あぁ」
ギアッチョは軽く手を振り、そのまま車へと戻っていく。海莉も彼の後を追うべく、スパーダに礼をしようと振り向けば彼から待てと声をかけられた。手招きをするスパーダへ、多少の不安を抱きながら近づいた。
「あいつ、いい顔するようになった。他の連中も少し気になるなぁ」
「へ?」
「ギアッチョの事、あぁ他の奴らもよろしく頼むぜ、嬢ちゃん」
「は、はい……」
言われている意味をあまり理解出来なかったが、とりあえずそう返事を返す。今度こそ礼をして、早くしろ!!と怒鳴るギアッチョを宥めながら、アジトへ戻るべく車を走らせたのだった。
「海莉、どうかしたのか?変だぞ」
かなり直球である。
「え、何がですか?」
「…さっきから1人で変顔ばかりしてる。疲れたのならもう休んでもいいぞ」
「し、してませんよぉ変顔なんて!!」
無意識か。
あり得ないとでも言うように全否定する海莉に、何を言っても無駄だと、見なかった事にしようかと諦めたリゾットは静かにそうか、と一言言うとまた作業に戻った。そしてさらに数分経った後にちらりと海莉を盗み見るとやはり百面相をしている。彼女自身それをしている事に気付いていなくても、そうしてしまう理由があるはずなのだ。しかしこちらがいくら気にかけたとしても言ってはくれないのだろう。そこでふと、リゾットはある事を思い出した。
「海莉、1つ俺から頼まれごとをしてくれないだろうか」
「いいですよ!私が出来る範囲であれば」
「大丈夫だ。備品の調達だからな」
「………備品の…?まぁいいですけど」
備品と聞くと、そう言ったものはしっかり会社の方から届くものかと思っていたのだが、そうではないらしい。経費は渡してもらえるが自分たちで決められた金額内で必要な物を買えという事のようだ。リゾット曰く海莉だけでは無理なので、部屋で暇しているギアッチョを連れて行けとの事。彼なら車も運転できるし、その店の場所も知っている。そしてギアッチョに声をかける時は俺の名前を出せ、とも言った。
海莉は暇しているであろうギアッチョの部屋を訪れると、ソファに座ってマンガ本を読んでいた。彼女の存在に気づくと、意識をこちらに少しだけ向けてからまたマンガ本へと戻っていく。
「何だよなんか用か」
「えっと、買い物…?に付き合ってほしいんだ」
「…おい俺は荷物持ちかぁ!?面倒くせぇな」
「リーダーが、ギアッチョも連れて行けって言ったんだよね。車、出せるだろうって」
「…………仕方ねぇな!!!付き合ってやるよ!!!」
リゾットが言っていた通り、名前を出すとピクリと反応し、少しだけ間を開けてから立ち上がった。行くなら早く行くぞ、そう言ってギアッチョはリビングへと向かうその背中を彼女も追う。
「リーダー、それじゃあ行ってきますけど…」
「必要な物はメモに書いておいた。ギアッチョ、お前なら分かるだろう。いつもの所だ」
ギアッチョはリーダーからそのメモ用紙を受け取ると、普通の買い物じゃあねえのか?と眉間に皺を寄せながら、あぁ…と何を要求されているのかは瞬時に理解した。
「なるほどな、それで俺を…。ったく…」
「頼んだぞ」
ひらひらとギアッチョは手を振り、玄関の扉を勢いよく開けて外へと出て行く。先を行く彼を慌てて追いかけながらリゾットに行ってきますと告げた。
ーーーーーーーーーーー
「ギアッチョって免許持ってるんだね」
「お前は持ってねぇのか?」
「持ってるよ。日本では普通に運転してたし」
車から眺めるイタリアの景色は初めてで、流れていく1つ1つの景色がとても新鮮だった。目的地は車でおよそ30分程度の所で、いつもメンバーの誰かしらがそれを買いに行っているらしい。車内はギアッチョ好みの曲が流れており、海莉も気に入ったらしく曲に合わせて静かに足でリズムをとる。因みに海莉は助手席に座っており、ちらりと横を見れば運転するギアッチョの姿があるわけなのだが、いつも荒々しい彼が意外にも丁寧な運転をするので驚きである。そして、そんな姿の彼がなんだかかっこよく見えてしまうのは何故なのだろうか。
「他のみんなは免許は?」
「あー大体持ってんじゃあねぇか?メローネの野郎は車よりバイクに乗る方が多いかもな」
「そうなの!?…意外」
海莉の中で外見は無駄にかっこいいだけが取り柄となっているメローネだが、そんな彼がバイクを乗ればそれはそれは絵になりそうだ。そんなぼんやりとした会話を交わしていれば気づけば既に目的地に到着していた。降りろ、とギアッチョに言われ助手席から降りると街から少し外れたような人気の少ない場所にこじんまりと小さなお店…とは言い難いような、隠れ家と言えばいいのだろうか、そんな建物が建っていた。雰囲気も少し独特で薄暗い。海莉は身を縮めギアッチョの後ろに隠れるように進んでいく。
「よぉ、ジジイ」
「…誰かと思えばお前か、久しぶりだな」
ギアッチョはその建物の中にいる、年老いたおじいさんに声をかけた。おじいさん…といってもがたいが良く、戦えば普通にやられてしまいそうなくらい大きい。リゾットよりも大きいのではないだろうか。
「何だお前、いつの間に女作ったのか」
「ちっげぇよ!!!こいつは…あー、色々あって………ま、俺たちの敵じゃあねぇから」
「は、初めまして…!海莉と言います…」
「おう…よく見りゃあ東洋人か!俺はスパーダ。あと俺が30年若けりゃあイケたかもなぁ」
「んな事よりジジイ、これ全部用意してくれ」
冗談を言って豪快に笑う彼を無視し、ギアッチョは先程リゾットから手渡されたメモ用紙をスパーダに見せた。スパーダはそれを受け取るや否や手際よく物を集めていく。今回リゾットから頼まれた内容は備品の調達、そう聞いていた。しかし今目の前に並ぶそれらは、想像していた備品とは全く違っていて、正真正銘、武器だった。切れ味のよさそうな小型ナイフ、素人が扱ってはいけない爆弾のような物、様々だ。そこで海莉はふと、1つの疑問を抱いた。
「…みんなって武器使うの?必要ない気もするんだけど…?」
何せスタンド使いの集まりだ。各々とても強いスタンド能力だと聞いている。武器などなくても戦えるのではないだろうか。
「たまに、だな。何でもかんでもスタンドで処理する訳じゃあねぇんだよ。つっても、殆どがソルベとジェラート用だ」
「そう、なんだ」
「お前も護身用になんか持っとけよ。ナイフでも何でもよぉ!」
「いらないって!どうせ持ってたって使えないし。ギアッチョが守ってよ」
「だぁから!!俺が近くにいねぇ時お前を守れねぇだろうがよ!!つか何で俺がお前を…!」
「喧嘩すんなよ2人とも。おら、メモに書いてあるもの全部詰めいたぜ」
大きな麻袋にガチャガチャと備品…いや武器がてんこ盛りだ。ギアッチョはそれらを受け取り必要な金額を払う。この武器屋は暗殺チームがよく世話になっている武器屋で、かなり前から交友があるとかないとか。もちろん彼らがギャングというのと知っているらしい。
「グラッツェ。じゃあ行くわ」
「リゾットの野郎によろしく言っといてくれ」
「あぁ」
ギアッチョは軽く手を振り、そのまま車へと戻っていく。海莉も彼の後を追うべく、スパーダに礼をしようと振り向けば彼から待てと声をかけられた。手招きをするスパーダへ、多少の不安を抱きながら近づいた。
「あいつ、いい顔するようになった。他の連中も少し気になるなぁ」
「へ?」
「ギアッチョの事、あぁ他の奴らもよろしく頼むぜ、嬢ちゃん」
「は、はい……」
言われている意味をあまり理解出来なかったが、とりあえずそう返事を返す。今度こそ礼をして、早くしろ!!と怒鳴るギアッチョを宥めながら、アジトへ戻るべく車を走らせたのだった。