主人公の名前
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彼は昔から、気づけば側に女の子がたくさんいた。それはまるで少女漫画によくあるような人気者の男子生徒が多数の女の子に憧れや好意を抱かれるように。たとえ自らが望まずとも、嫌でも彼女たちは寄ってくる。最初の内はそうなる事は嫌では無かったのだが、やれ浮気だの、やれ身体目当てだのまったく見に覚えもない言葉を投げかけられたり、終いには見知らぬ男から逆恨みの様な事もたくさんされてきた。それを何度も繰り返せば誰だって嫌になる。彼、プロシュートも例外では無かった。
任務内容によっては自分の顔を使って任務を円滑に進めたりする事もあり、それはそれで便利だが正直やりたくはない。心にもない愛の言葉など考えるのも億劫で、面倒だから。そういった任務は全てあのアホ、メローネにでもやれせておけばいいとさえ思うほど。そして最近、チームのメンバーというわけではないがアジトに女が1人増えた。最初は彼女を疑いはしたものの、特に危害を加えるでもなく与えられた仕事をただただこなし、同じように生活をしている。プロシュートにとって彼女は友人でも無ければ赤の他人、または妹、そういったものではなく親戚の子のような近くもなく遠くもないそういったある程度の距離を保てる存在のように感じていた。
「海莉、今から出られるか?」
「海莉は俺と話し込んでるから無理だぜ」
リビングで他愛もない雑談をしていた海莉、メローネ。プロシュートの呼びかけに彼女は振り向いたが、それに答えたのはまったくもって求めていないメローネだった。
「30分後出かけるぞ、デートだ。早く用意してこい」
「デートって…普通に買い物って言ってくださいよもう…」
ブツブツと文句を言いながらも彼女はリビングを後に自室へと帰っていく。さらりと彼女をデートへ誘い、特に抵抗もなく彼女はそれを受けるというやりとりにメローネは口を挟まない訳もなく、はぁ!?と信じられないような声をあげた。
「何だよデートって」
「うるせぇな、前に約束してたんだよ。デートっつうのは冗談だ」
「…俺も付いていく」
「あぁ!?オメーは留守番でもしてろ!!」
「準備してくる」
そう言ってプロシュートの承諾も得ずに勝手に話が進み、メローネもまた同じように準備をするため自室へと戻っていった。何も1人増えたと所でさして問題はないのだが、それがメローネとなると話は違う。ただ単に面倒くさい、それだけだ。プロシュートは諦めたようにガシガシと頭をかき、仕方なく2人の準備が終わるのをリビングで待つ事にした。
一方海莉はというと、突然のデートという名のただの買い物の誘いに少々手間取っていた。一応男性と並んで街を歩く故、多少なりとも身なりには気を使うべきだと考えなかなか服が決まらない。だが変に気を張りすぎるのもなんだか癪なので、とにかく程良いものを選ぶ事にしたのだが。
「…ダメだ考えれば考えるほど分かんない。時間もないし…」
こうやって折れるのが女性として終わっているのは分かっているが、あのイケメンと並んだ時にどれだけいい服を着てもそもそも本体に問題があるので恐らく無意味だろう。そう自己解決をして、メイクや髪を整えて部屋を出た。リビングに戻ると、プロシュートとそれからやけに身なりを整えたであろうメローネがそこにいた。
「あれ?メローネも出かけるの?」
「あぁ、俺も一緒に行く事にした」
「え、」
「何だよ、何か問題があるっていうのか?俺はダメでプロシュートはいいのかよ」
「そんな事は言ってないでしょ!」
海莉は瞬間的に考えた。ただでさえプロシュートの隣を歩くのも別の意味で辛いのに、メローネも共にいるとなるとかなり目立つのではないだろうかと。イケメンの隣に立つのであれば美女がいいに決まっている。一気に気持ちが沈んでいくのが分かった。はぁ…と小さくため息を吐くと、プロシュートがじろじろと彼女の頭から足の先まで舐めるように見ているではないか。
「な、なん…ですか?」
「…65点だな」
「……それっていい方なんですか」
「いいと思うのか?」
「ですよね」
仕方ないじゃないか、突然でかけると言われて30分で用意をしろと言われればやれる範囲だって決まっている。だからといって1時間猶予があったら彼を満足させる身なりになれたのかと問われると少し言葉に詰まってしまうが。とにもかくにも3人はアジトを出て街へ向かった。