暗殺チームの任務というものは文字通り暗殺が主な仕事である。基本は上からの命令によりターゲットととなる人物を殺すことになるのだが、その任務も疎ら。忙しい時はメンバーの半分以上がいなかったり、そうでもないときは全員が揃っている時もある。もちろん任務に出るも 時間帯もそのターゲットによってバラバラだ。現在はソルベとジェラート、それからホルマジオが任務中でアジトにいない。ソルベとジェラートは日をまたぐ任務内容だったたので、海莉は2人以外の人数分の食事を苦戦しながらも作っている最中だった。

「んー？ちょっと味薄い…？」

調味料のさじ加減が難しく味見をしながらという感じだが、全員の口に合うかは正直微妙な所である。まぁ美味しいよねと適当に自己解決してテーブルへと出来立ての料理を運んでいった。料理の匂いにつられて一番最初にやってきたのはイルーゾォだ。あいも変わらず、いくつかの束に分けて結んである彼の髪はサラサラで羨ましい。

「うわ、マジにできてる…見た目は良さそうだな。見た目はな」

「私も味に保証はできません」

「…そこは大丈夫って自信持てよ」

続いてリーダーのリゾット、プロシュート、ペッシがやってくる。リゾットは書類の整理に追われていたらしくどことなく目が虚な気がした。ペッシは目の前にある、久々に見たまともな手料理に感動したのか、すげぇ…と小さく呟いていた。ぞろぞろと集まってきた彼らは適当に椅子に腰をかけて料理に手をつけ始める。こちらに来てから日本食とはまた違った食材に慣れるまで結構時間がかかり、調理方法など色々調べたりして様になるまで苦労していた。果たして彼らの口に合うかどうか。スプーンで掬って口に運ぶメンバー。静かなこの空間に咀嚼音がよく分かる。不安げな表情で彼らを見る海莉に、ごくりと飲み込んでから一言。

「思っていたよりもうめぇ」

「あぁ、ここでこんなに美味い飯を食べたのは久々だ」

「まぁ不味くはねぇな」

「素直に美味いって言えよ」

「俺、これ好きだぜ！」

「よ…良かったです…」

順にプロシュート、リゾット、イルーゾォ 、ホルマジオ、ペッシがそれぞれ感想を述べていく。とりあえず食に関しては彼らを満足させる事ができたようで自分としても嬉しく、ホッとした。ここで不味い料理を提供しようものなら賃金が安くなってしまう、多分。良かったと一安心したところで残りの2人、ギアッチョとメローネを呼びに行こうとするとぶるりと体が震えた気がした。急な気温の変化にしてはおかしすぎる。メンバー全員が深くため息を吐いていた。

「うわ、また始まった…」

「ほっとけほっとけ。どうせ時間たてば落ち着くだろ」

「何でもいいが家を破壊しないでくれ」

「あの、一体何が…？」

尋ねるとホルマジオが苦笑いをこぼしながら答えた。

「ギアッチョがメローネにキレたんだよ、多分な」

「お前も暫くアイツに近づかねぇ方がいい。下手したらお前も凍らされるかもな」

「は、はぁ…」


凍らさられる、とはつまりそれがギアッチョのスタンド能力で、このあまりに不思議な寒さも彼が能力を使ったからという事になるのだろうか。今のところ他の人のスタンドを見たのはホルマジオのみ。危険だと言われつつも少しだけギアッチョのスタンドを見てみたいという好奇心に駆られるがやめといた。あいつら放っておいてお前も早く食えと言われたので海莉は席につき彼らと食事を楽しんだ。