ー新伝ー伝説を継ぐもの

ー池袋西口三番街路地ー

拳二「ん?」

羅漢「おっ?」

拳二「こいつぁ、エラぇ奴に会った。」

羅漢「はは、なんだい。どこのゴロツキかと思ったらお前か。」

拳二「なにしてる?」

羅漢「普通に散歩さ」

拳二「お前さんは嘘が下手だろ」

羅漢「なに?」

拳二「ジャケットにパンツ。一見したらただの肥満(デブ)のオッサン。」

羅漢「俺ぁも年だ。十分オッサンだ。」

拳二「しかし、そいつは一種の擬態。特大のジャケットとぶっといパンツで肉体を隠して、不釣り合いなスニーカー……動きやすそうだな。」

羅漢「あつらえたんだよ。喧嘩用にな」

拳二「喧嘩用にわざわざ特注か。空手の先生ってぇのは儲かるんだな。かっかっか。」

羅漢「かっかっか。」

拳二「っで、まさか毎夜、毎夜、そうやって散歩してんのかい?」

羅漢「たまにさ、こーゆー街だ。もしかしたら、うろついてたら幸運に巡り合えるだろう。」

拳二「やれやれ、戦神と呼ばれた男が素人相手に喧嘩漁りかよ。門下生が聞いたら嘆くぞ」

羅漢「そう冷てぇこというなよ。」

拳二「かっかっか。ジョーダンだ。どうでぇ、幸運とは巡り合えたか?」

羅漢「ねぇなぁ……。しいていうなら……お前さんかな。」

拳二「残念だな。そんな易々とはやらねぇ。ま、どーしてもっーのなら、相手してやるけどな」

羅漢「かっかか。若造が「相手をしてやる」か……。」

拳二「……」

羅漢「ふんっ。お前さんとやるとココじゃ手狭すぎる」

拳二「おいおい。場所にこだわってたら喧嘩なんか出来ねぇだろ。」

羅漢「はっはっはっはっ!ソイツはそうだったな!!」

「オイ!コラ、兄ちゃん!!」

拳二「おっ、喧嘩か?」

羅漢「どうやら幸運が巡り込んだか」

長髪の男「なに、アンタ?」

チンピラ「何じゃねぇよ。誰の女に声かけてんだ?あぁ?」

長髪の男「あー、いやいや、別にナンパとかはコレっぽっちもしてないよ。ただ、スカウト的な?」

制服の女「やめてよ。てゆーか、アンタの女じゃないし」

チンピラ「お前は黙ってろ!」

長髪の男「ふぅー……てゆーか、もう行っていいかな。話しは終わったし」

チンピラ「ふっざけんな!」
ブンッ!

長髪の男「ボソッ(手出したのはソッチだぜ。)」

ガチンっ!
チンピラ「ぎ、ぎゃあああぁぁ!!?」

長髪の男「あーあ、折れちゃった。でも、許してあげない。」
シュ……ゴキュッ……!

チンピラ「ぴっ……」
ドシャ……。

長髪の男「次からは俺様が誰か知っといて喧嘩売るんだな。っで、キミ」

制服の女「は、はいっ?」

長髪の男「もし、興味があったらこの名刺の番号に連絡くれるか、事務所に来てよ。きみ、素質あるからさ。」

制服の女「わ、分かりました。」

長髪の男「あー、あと、彼氏潰してごめんね~。」

制服の女「いえ、彼氏とかじゃないんで……。」

長髪の男「そうなんだ。まぁいいや、それじゃサヨナラ。」
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