ー新伝ー伝説を継ぐもの

ー天涯独の家付近(夜)ー

独「はあぁ!!」

コツン……ブラーン…ブラーン

釘夜「ダメだな。」

ゴォン…… ビュンビュン…

独「はぁはぁ……。なんで、釘夜もやってんの?」

釘夜「拳鍛えるトレーニングになるだろ。つきそいと思ってくれ。」

独「なるほど、嫌がらせじゃなかったのか」

釘夜「ときどきお前、卑屈になるよな。」

独「俺なりの冗談だったんだが。」

釘夜「っていっても、そろそろ帰るけど……お前はどーする?」

独「もう少しだけやってく。お疲れ」

釘夜「そっか。まぁ……頑張れよ。」

独「ありがと。」

釘夜「じゃあなー。」

独「……よし。」

コツン……ブラーン…ブラーン
コツン……ブラーン…ブラーン
コツン……ブラーン…ブラーン

神姫「……」

道玄「アレか……神姫よ。一週間というのは無茶だろう。お前でも裏当てに三週間はかかったのに。」

神姫「わからないわよ。どっかの馬鹿は一日も立たずに会得したじゃない」

道玄「一緒にしていい者ではないだろう。アイツは別格で手に負えん。」

神姫「……誰の話ししてるの?」

道玄「ぬ?」

神姫「私がいってるのは悠よ?」

道玄「ああ、そっちか。」

神姫「兄貴と勘違いしてるのならやめてよ。あんなのの話しだす訳無いじゃない。」

道玄「……悠にしても、あれは瓢箪から駒だぞ。」

神姫「運も才能の内でしょ。」

道玄「あの小僧に運があると?」

神姫「しりあって短いけど、運は無いわね。っていうか、イロイロと無い、わ。」

道玄「そんなのに、よく龍剄を教えてやるなんて言ったな。」

神姫「諦めるわよ。そういうタイプの男だわ。さのときはどうしてやるか楽しみだわ。」

道玄「無茶はするなよ」

神姫「たぶんね。」

道玄「……」

神姫「そんな無茶はしないわよ。それより、お父さん、私これからちょっと出てくるから。」

道玄「なんだ、がりゅーも誘って夕食でもいっしょにどうだ?」

神姫「また今度ね。」

道玄「……悠か」

神姫「変なかんくぐりは止めて」

道玄「はっはっは。冗談だ。だが、何かあるときは遠慮はいらんぞ。」

神姫「何になにがあるっていうのよ」

道玄「それは……孫の報告とか」

神姫「……」
ピッ……ドッ…ぴきき……ぴきき……

道玄「コラコラ。銀龍を震わすな。潰れてしまいそうになるだろう」

神姫「平然と立ってるくせによくいうわ。悠ならめり込んでるわよ。」

道玄「なにぃ?そいつは功夫(クンフー)が足りんみたいだな。よし、次の時、一度カツを入れんとな。雲水にも言伝をいれておこう。」

神姫「それがいいわね。」
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