ー新伝ー伝説を継ぐもの

ー池袋:摩天楼ー

白嶺「失礼します。」

凍夜「お、おお、いらっしゃいませ。」

白嶺「……」

凍夜「あれ、ヨミちゃんか」

白嶺「また、寝てましたね。」

凍夜「ちょっと休憩してただけだよ。」

白嶺「よだれの跡ついてますよ」

凍夜「おっとと……。」

白嶺「ちゃんと集金いってきてくれてますよね」

凍夜「あー集金……集金ね…。」

白嶺「いってきてませんね?」

凍夜「い、行ったよ?けどほら、途中で雨が降ってたし……今も……止んでるね。」

白嶺「昼間一時間程度で止みましたよ。」

凍夜「そっかー。」

白嶺「ちょっと、もう、お願いしますよ?ただでさえ、返済日過ぎてるひといっぱいいるんですから」

凍夜「今夜いってくるって。お詫びに好きな出前とっていいよ。」

白嶺「それは社長の夕食のついでですよね?」

凍夜「鋭いなぁ。あはは」

白嶺「じゃあ、ピザがいいです」

凍夜「注文はするんだね。」

白嶺「しないと損じゃないですか。せっかく奢りなのに。」

凍夜「なんなら、食材買ってきてヨミちゃんが作ってくれてもいいんだよ。」

白嶺「私、料理できないんで」

凍夜「いま、反射的に納得しかけたけど嘘だよね?ときどき夜食作ってるよね?自分用の」

白嶺「社長はなににします?私アンチョビにしようかな」

凍夜「あれれ……。」

白嶺「あ、そうだ。」

凍夜「ん?」

白嶺「社長ってなにか格闘技してましたよね。」

凍夜「いきなりだね。空手を少し程ね。」

白嶺「裏当てとかってできます?」

凍夜「裏当てかぁ」

白嶺「(知ってはいるんだ)」

凍夜「……久々に見せちゃおっかな。これっ。」

白嶺「ビール瓶?」

凍夜「裏当てってアレでしょ?打点と力点のズレをどうこうの技術……こんなふうに。」

スパっ!ガシャッン……!
しゅわわわ……。

白嶺「瓶切り……。」

凍夜「おっとと、もったいない。コップコップ。」

白嶺「それって一週間くらいで覚えられますか?」

凍夜「そりゃ無理しょ。」

白嶺「やっぱり……。」

凍夜「ぷはっ……。何、ヨミちゃん。こんなん覚えたいの?」

白嶺「私というか知り合いがです」

凍夜「ふぅん。でもね、たぶん俺じゃ力になれないよ。」

白嶺「大丈夫です。聞いてみただけなのだ。」

凍夜「あれれ~」
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