ー新伝ー伝説を継ぐもの【5】

ー池袋:民家ー

紅「それじやあ、あのベランダの窓を割って侵入しするってことで」

弩躬「OK」

宗二「おれはOKしてないよ?!弩躬君もなに手弓を準備してる!」

弩躬「大丈夫だ。この距離なら外さない。」

宗二「割ることが問題だって言っているんです!」

紅「あれ……」

弩躬「どした?」

紅「窓が開いたぞ」

宗二「え?」

バスッ!っと発射音がして金属の金具のようなものが射出された。

隣の家の屋根に引っ掛かったかと思うと次の瞬間にはギィィィィィンっとワイヤーが巻き込む音が鳴り響いて人影が飛び移った。

「ちっ……」

人影は紅達を一瞬見下ろすと舌打ちをこぼし猿のような動きで逃げていった。

紅「うっは……ルパンみてぇ」

弩躬「……あれが小型ウィンチか。結構な速度で射出、回収できるんだな。」

紅「ってか、いしゅみんだったら狙撃出来たんじゃないか?」

弩躬「普通に呆気に取られてたよ。失敗失敗。」

紅「今のは仕方ない。あんなワイヤーアクションじみた」

宗二「って、冷静ですね。随分と」

紅「犯人が確定したんだから……弩躬。ちょっと足場になってくれ。」

弩躬「いいぞ、ほら」

紅「よっ……とぉっ!」

弩躬が両手を組み腰を落した。そこへ助走をつけた紅が組んだ手を足場に上へと飛び上がった。

ベランダのパイプを掴むとよじ登って中へと侵入する。敵がルパンというならこっちは忍者といったらいいのかもしれない。

宗二「って……ちょっ?!なに侵入してるんだ」

弩躬「アレだ。今のうちに家捜ししたら……逃げたヤツの情報が簡単に調べられるだろ何せ本人はいないんだから荒らし放題」

宗二「やだもうこの人たち本当に怖い」

紅「おーい、いいものが見つかったぞ」

弩躬「なんだー?」

紅「制服だ」

弩躬「制服……?」

紅「おう。北条の制服だなこりゃ」

宗二「北条……」




ー北条高校校門前ー

紅「北条高校はある意味では有名な高校だ。その有名の意味は三つ、一は頭の悪さ。掛け算まで出来たら入学できるっていう脳細胞が死んでるんじゃないかっていう偏差値の低さの有名。二は不良率、男子校でなんとほぼ100%が不良かチンピラ。そして三、ここは滝野川にあって池袋とは紙一重で離れてる。いうなれば不良のデパートなのにS・ウルフの傘下にはなってい。まぁ、きっと調べたら何割かはS・ウルフと関わってるやつはいるんだろうれど。」

弩躬「要約すると馬鹿で不良の巣窟校。だけど、S・ウルフの傘下じゃないから中に居る奴らはほぼ敵ってことだな」

紅「正解」

宗二「それを分かってて何でどうどうとここに来たんだ……」

紅「犯人を捕まえにだよ」

宗二「今の話しの流れで向こうがすんなりと犯人を突き出してくるとは思えないんだけど」

紅「突き出さないんなら……引っ張り出すだけってことさ」

弩躬「ただ、まぁ……さっきから色んな奴がこっち見てるよな。ぎりぎり校内に入ってないけど……入ったらこれ襲い掛かってきそうだぞ」

紅「穏便には済ませたいんだけどなぁ」
1/1ページ
スキ