ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ー池袋:民家前ー

紅「さて、ここか」

弩躬「二階建のよくある民家だな」

宗二「だな。さて、それでどうす……」

こんこん!こんこん!
紅「すいませーん!」

宗二「わぁ……ストレートにいった」

弩躬「紅はRPGで序盤のおつかいで投げるっていってたしな」

宗二「それ、本編始まらないね。」

弩躬「始まらないだろうな。」

紅「おーい、誰もいないのかー?」
こんこん!こんこん!

弩躬「恐れを知らないってああいうタイプをいうんだろうな」

宗二「弩躬君だって相当恐れっていうか怖いもの知らずだよな」

弩躬「いや……そうでもない。少し前のことなんだけどな」

宗二「うん。」

弩躬「紙袋を被った日本刀を振りまわすモンスターにであったのは怖かった」

宗二「なにそれ、超怖い」

弩躬「いや、マジで怖かったよ。当たり前だけど俺は中遠距離が得意であって、近接戦闘を得意とする相手なら一方的にハチの巣にできるんだよ。」

宗二「知ってる。」

弩躬「だけど……その紙袋男。いくら撃っても撃っても向かってくるんだ。和装ジェイソンと闘った気分だった……ぶっちゃけ実際に死にかけたし」

宗二「マジで、弩躬君が?それホントに人間?」

弩躬「人間だったと願いたい……っが、考えてみたら先生も人かどうか疑わしい部分とかあるし……そういうヤバい系の相手だったと俺は自分に言い聞かせて納得させた」

宗二「夏場にはぴったりの怖い話だったよ…」

弩躬「ははっ、そうだな……っで、紅?」

紅「……」
スッ

宗二「ちょっと待った!そのバットなにする気だ!」

紅「いや、ノックしても出ないから……侵入しようかと」

宗二「犯罪!」

紅「あはは」

宗二「いや、笑い事じゃないよ!今までも結構犯罪ギリギリの線なのに!」

弩躬「……」

宗二「弩躬君もなにかいってくれよ!」

弩躬「人通りは五分に一度……ガムテープを窓に貼って割れば音は最小限。さらにいえば車が走るタイミングでやれば……行ける」

宗二「脳筋か技巧派かな犯罪だから!」

紅「大丈夫だって」

宗二「え?」

紅「悪い事してるのは向こうも同じだ。警察にはいけない」

宗二「ヤバいこの人……完全にヒール(悪役)だ」

弩躬「そうだぞ?」

紅「俺は不良だしな。」

弩躬「おれは不良じゃないけど、半軍人」

宗二「やだもう、この人たち怖い……」

紅「それでどうする?なんか中に人はいる感じなんだよな」

弩躬「そうなのか?」

紅「あぁ。だんまり決め込むヤツって……独特の気配が漂ってくるんだよ」

宗二「独特の気配って……」

弩躬「追い込みに長けてるやつは違うな」

紅「弩躬もだろ?」

弩躬「いや、俺は追いこむんじゃなくて……一方的に獲物を狩るのがメインだから」

紅「ああ、なるほどな」

宗二「やっぱり怖い…」
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