ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ー池袋:人気のない路地裏ー

宗次「ええと……どういう状況なんですかコレ」

弩躬「ええとだな」

「宗さん逃げてください!コイツら家のまわりを嗅ぎまわってた奴らなんスよ!」

宗次「逃げろって……そういう状況なの?」

弩躬「んー、返答次第?」

宗次「じゃあ、いきなり殴られたりはしないんだ」

弩躬「そんなことはしないさ。俺がそんな悪人だと思う?」

「いきなり俺のことを縛り上げただろ!」

紅「それはお前が逃げるからじゃん」

宗次「なんかまた勘違いして追いかけたんだろお前。ごめんね、弩躬くん。コイツ馬鹿だから」

弩躬「いいよ。とりあえず解くけど暴れるなよ?」

宗次「暴れたら俺がぶん殴るから」

「そんなぁ……」

宗次「そんなぁ……じゃない。この前だってウチに尋ねて来てた主教勧誘のひとを追いかけ回しただろ」

「アレは気合入れてやったんすよ。神なんかに頼ってんじゃねーって、宗さんも困ってるって言ってたし」

宗次「だからって追っかけまわしていいもんじゃないだろ……。はぁ」

紅「お前、面白いな」

「うるせぇよ!」

宗次「お前がうるさいよ。」

「す、すんません…」

宗次「はぁ……弩躬君、なんか話しがあるんなら俺の部屋で良かったら行かない?座って話せるし」

弩躬「そうさせてもらおうかな。紅……こっちのヤツもいっしょで」

紅「悪いな」

宗次「いいですよ。狭いけど座る場所くらいはあるんで」

紅「ヒソヒソ(なんか感じいい奴だな)」

弩躬「ヒソヒソ(そうなんだよ。悪い奴じゃないはずなんだよ)」



ー池袋:宗次の部屋ー

宗次「いやー、汚くて申し訳ない。最近いろいろと忙しくて掃除する暇なくて」

紅「うっわ……なにこれ、工具か?」

「汚い手でさわんなよ」

宗次「コラ」

ゴン!
「痛っ!」

宗次「お前が偉そうにするなよ。けど、油とかつくから触らない方がいいのはホントだよ」

紅「あぁ、勝手に触ったりはしない。壊したりしたら大変だしな」

弩躬「忙しいっていってたけど……なにしてた?」

宗次「学校とバイトのローテーションかですよ。あと、資格取る勉強とか色々ですね」

弩躬「ふーん……単刀直入にきくけど」

宗次「はい」

弩躬「お前……闇討ちとかしてないよな?」

宗次「闇討ち?俺が……ですか?してませんよ。」

紅「じゃあ、小型ウィンチだっけ?そういうのは持ってるか」

宗次「……」

弩躬「どした?」

宗次「いや……小型のウィンチだったら少し前に売った事があります」

弩躬「マジか」

宗次「はい、もちろん俺の手製ですから材料費程度で譲ったんですけど……」

紅「そのウィンチって小さめのビルくらいになら一階から登り切れるか?」

宗次「出来ないことはないはずです」

紅「そいつが犯人か」

弩躬「ぽいな」
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