ー新伝ー伝説を継ぐもの【4】

ー池袋:人気のない路地裏ー

弩躬「こうして……こうっと、よし、出来た。」

「うぎぎぎっ…!」

弩躬「下手にもがかない方がいいぞ。それは縄じゃなくてゴムだ。そのままでも収縮していく、お前が弦力30㎏を捻られた状態で引き伸ばせれるっていうのならやってみてもいいけど」

紅「弦力って?」

弩躬「弓を引く力のこと。普通の弓道で使う弓が男で18㎏、女で13㎏くらいだから……このゴムは約二倍の弦力がある。」

紅「なるほど、とりあえず。すげぇ力がいるって言うのが分かった」

弩躬「それでいいや。っで……お前はなんで俺らのことつけてた」

「つ、つけてねぇよ……。痛っ……」

紅「嘘つけ。逃げただろ」

「そ、それはアンタらが追ってきたからだよ……」

紅「なるほど、理にはかなってるな」

「だ、だろ。だから……」

紅「いや、そんな見え透いた嘘には引っかからない」

「う、嘘じゃ……うぅ……」

弩躬「まぁ、意地張るのはいいけどさ。素直にならないと締まり過ぎて血が止まって最終的には……壊死するよ?」

「ひっ……ほ、本当に着けて何かないって!」

弩躬「ふーん……」

紅「なぁなぁ」

弩躬「どした?」

紅「いしゅみんはいつもこれを腕に巻いてるんだよな?」

弩躬「腕って言うか腹に巻いて肩に這わすように通して腕で止めてる」

紅「絞め付けられて壊死しないのか?」

弩躬「上半身をしなやかな筋肉でおおってあるからな。さらにいうと常に腹に力を入れつつ……」

「おい!なに雑談してるんだよ!」

紅「ん?お前が話すまでのヒマつぶし」

「そんな……」

弩躬「安心しろ俺らはこれ以上手は出さない。だけど話さないなら、ゴムを解かずにここにお前を放置していく。」

「っ……」

紅「ここって、人通りが極端に少ないよな。助けを呼んでもなかなか来てくれなさそうだし……こんな時間に放置されたら明日になるまで……ってこともありえるかもな。」

「うぅ……」

弩躬「俺らも暇じゃないんだ。とっとと話して解散しようや」

「…………」

紅「じゃ、飯食いに行こうか。放置して」

弩躬「だな、両手を失っても口を笑ない覚悟に完敗だ」

「っ…………ま、待て!」

「そうそう、ちょっと待ってくださいよ」

紅「ん?」

弩躬「あ……」

「いったいなにしてるんだよ……弩躬くん」

紅「おい、知り合いか?」

弩躬「宗次」

紅「えっ?」

宗次「弩躬くん……いったい全体なにしてるんだよ……コレ」

「そ、宗次さん」

紅「しかも、コイツ知り合いだった系だよ……」

弩躬「これはこれは……色々と話しあいタイムだな」

宗次「ほんと、そうして欲しい」
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